【感想・ネタバレ】「群れない」生き方 ひとり暮らし、私のルールのレビュー

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Posted by ブクログ

人をたよらず、自分の力で、人生を拓いてきた著者のことば、奥ゆかしく、押しつけない、その姿勢がいさぎよい。

帯:孤独の中にこそ、人生の輝きがある。世間にとらわれないあらたな老いの愉しみ。生涯、魂の自由人であれ

気になったことは以下です。

・人間の基本的な性質は「利己」ということだ。野生の動物がそうであるように、餌をもってなければ、他の個体の持っているものを奪ってでも食べる。それが生存本能の原則である。唯一の例外は母性本能だけだということになっているが、それさえも確実ではない。

・言葉は、もっとも温和な武器です

・人間はたやすく集団で理性を失える性格をもっているのだ。それが万人に共通の弱点なのだから、自分だけが例外ではないと覚悟すべきである。

・疑ってもなお、用心しつつ、助けるべき人は助けることはできるのだ。理由なく信じることはいいことではない。それは愚かなことである

・愛は知識を前提とする。前もって知らなけば、誰も愛さない。というのは謙虚な姿勢で、私たちはやはり知ろうとして勉強し続ける他はないらしいのである。

・和、を意識するには、和、が必要とされる社会の概念が存在する必要があるだろう。ほおっていても、皆が仲良くしているのなら、何も、和、をもって美徳とする必要もないのだ。

・人生とは何もかも意外なことだらけである。自分の人生の一部さえ、ほとんど誰一人として予測できない。予測できないから、時々こうした艶やかな別れを贈られるのである。

・観察の闘い―相手を見極め、人生の闘いに穏やかに勝つ

・それにしてもなんというでたらめな情報というものが流れるのだろう。人間は、自分が直接見聞きしたこと以外、信じてはいけないのだ。世間の噂、マスコミの記事、ついでに歴史小説も、それを真実だとして処世訓にしたりするのは、やはり、まちがいなのである。

・人から嫌われた場合、その人の視野から消えてあげるのが、一番穏やかな方法なのである。

・人は、自分の思考や行動を守るために、静寂を侵されない自由があると思う。世間は実に多くの考え方から、成り立っている。その個人の自由を守ることは、最低の礼儀だと言っていい。

・人間の能力の限界などたかが知れている。疲れれば自然に、思考をやめる。新しい解決方法の展開など期待する方が無理だ。

・信仰の世界には、後年長くあらゆる人の立場を超えるような普遍的な影響を残す行動、魂を打つ言葉を書き残した人がいるのはほんとうだ。

・子供も中年も読書をしなければ人間にならない。テレビやインターネットの知識と読書のもたらす知識とは全く質が違う。さらに日本語の文章を毎日書き、よく人と語らなければならない。その訓練をした人だけが将来、自由で解放された人生を送るのである。

・人間の仕事というものは、ほんとうはすべて命を賭けるものだ、という思いが、今の私には強い。

・自国語でいいから、完全に読み書き語ることができる人になることが、人間の最低の条件である。裁判、商売、恋愛、共同事業、人づき合い、学問研究、すべて国語で、完全に読み書き語る能力が必要だ。
・現代の日本人で、手紙や書類で、自分の心を示せる人は実に少なくなった。下手でもいいから、自分の文章で、人情の機微を伝えられる能力はなくなったのだ。

・日本人の中に自分の言葉で読み書き語る能力を持つ人があまりいなくなった時、日本は内部崩壊したのだと私はおもっている。

・日本民族を救いたいなら、まず読書と作文教育を復活させることだが、政治はいつになってもこういう治療法を実行しない

・働かざるもの、くうべからず。
・たくさん働いた人と怠けものが同じ結果を得るのではおもしろくない。人間が助けたいと思う相手は、病気などで働こうにも、働けなかった人である。

・四季が忙しく巡り来る日本の風土が、厳しく煩雑な暮らしの変化を私たちに強いた。その忙しさこそが、日本人の魂の中に勤勉さと職人根性を作ったのは間違いないようである。

・人間が不当に思い上がることもなく、動物ど同じに天気の顔色を見ながら暮らす。私はそういう生き方が、人間の分際を越えなくていいような気がするのである。

目次

まえがき
第1章 最期まで群れず、ひとりを生きぬく
第2章 新しい発見を栄養剤に
第3章 ひとり暮らしを支える心と体
第4章 自分自身の芯を鍛える
第5章 変化を味方につける

ISBN:9784309028613
出版社:河出書房新社
判型:B6変
ページ数:216ページ
定価:1000円(本体)
発売日:2020年02月28日初版発行

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

曽野節は面白くはないのだが嫌いでもない、痛いところを厳しくついてくるところが小気味よい。若い頃にわりとよくエッセーは読んでいた。タイトルにひかれて(母が借りたので)久々に手にとってみたが過去に出した単行本からの抜粋再編集だったのでどこかで目にしたような内容だった。タイトルな無理につけた感があるし。1983年に初めてサハラ砂漠を旅した時のことが何度か出てくるが、その時リアルタイムで現地にいたのだということを思い出した。吉村作治先生もメンバーだった。

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2020年08月22日

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