あらすじ
人類が植物の生理機能を演算に応用する技術「フロラ」を生み出した未来。東京は23区全体を取り囲む環状緑地帯により巨大な計算資源都市へ発展していた。フロラ企業に勤める砂山淵彦は、とある事故調査の過程で天才植物学者の折口鶲と出逢う。若者たちを通して描かれる、植物と人類の新たなる共生のヴィジョンとは? 第5回SFコンテスト大賞受賞作、本篇のその後を描いた中篇を追加して文庫化。解説/ドミニク・チェン
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Posted by ブクログ
植物を演算に応用する技術が発展した近未来東京の物語。
SFとは画であると思い知らされる。全てを理解しているわけではないが、それでも頭の中に広がるイメージの強烈さ。それが静謐な文章と相まって清々しい印象を与える。
いつもと違う部分の脳が刺激され、それが実に心地よい。
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植物を計算資源に取り込むというアイデアが面白い。実現できれば地球温暖化の対策と一石二鳥な気がするけど、作中で書かれている通り、これはこれでいろいろな問題が出てくるんだろう。
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植物をコンピュータとして利用する近未来が舞台の短篇SF。表題作ともう1篇が収録されている。
うーん、なんとなくイメージはできるのだが、全体を理解するのは難しかった。ある意味、“新サイバーパンク”とでも呼びたくなるほど斬新なアイディアだと思うが、著者の力不足でうまく説明できないのか、こちらの能力不足ゆえに理解できないのか(おそらく後者)、なんとも言えないもどかしさがある。設定がすべてと言える小説なので悔しい。
第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
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ハヤカワ文庫のコンテストで秀作ということで、購入。
人類も結局動物の一部であるのだ、という視点はSF作品上でもさることながら、私たちも日常生活レベルでは決して持つことがないため、それに気付かされる作品であるという点で特徴的だと思う。
Posted by ブクログ
植物が、ひいては、ヒトを含む生物までもが計算リソースなる、というザ・SFな時代でのヒューマン・ドラマだが、そこまでぶっ飛んだ設定ではなく、現在あるコンピューティング研究のいち志向が現実化したら、こんな世界観になるのかもしれない、と思わせる非常に「質のよい」SFだと思う。
正直、各登場人物はその「設定」を際立たせるために動き回っていると言っても過言ではない。
個人的には好きな部類。
あと、本部とは関係ないが、巻末の解説の一部が付け焼刃的な知識で説明がされているフシがあり(機械学習の定義間違いや、FPGAをFGPAと言ってしまうなど…)、全体として信憑性に欠けてしまっているのが残念である。ただ、SF作品に対して、専門家の解説や見解が含まれることは、とても興味深いことなので、その点は評価したい。
Posted by ブクログ
植物を演算のリソースに使うって発想が面白いなぁ。緑地がスーパーコンピューターの代わりになるなら確かに熱帯雨林地方は有利かも。でも結局は人間の作った人工林じゃないとダメらしいので環境問題まではクリアできないのかな~
と、そういう話ではないのだけれども(笑)
面白かったんだけれども、何故そういう事件が起きるのか、という所まで得心が行かなかったのか、結局ソウナンダーで終わってしまったというか。ムクドリの話も恋愛モノだっけ?ぐらいの感想で終わってしまったのがなんとなくもったいない感じが。いや、別に環境問題とかを大々的に取り上げてほしいわけでは無かったんですけれども。