あらすじ
聖徳太子は、偉人だったのか、ただの皇子だったのか。古代史研究の第一人者が、史料をもとに、丁寧にその実像に迫ります。手がかりは、法隆寺の釈迦三尊像に刻まれた銘文や、太子の自筆とされるお経の注釈書など。著者独自の視点で史料を読み解き、見えてきた姿とは? 教科書の丸暗記ではない、歴史学のおもしろさを味わおう。
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東野治之 とうの-はるゆき
1946- 昭和後期-平成時代の日本史学者。
昭和21年12月20日生まれ。45年奈良国立文化財研究所にはいる。奈良大助教授をへて平成6年阪大教授。11年奈良大教授。古代文化の中央アジア,中国からの受容過程の解明にとりくむ。昭和63年第1回浜田青陵賞。平成20年「遣唐使」で毎日出版文化賞。22年紫綬褒章。同年学士院会員。兵庫県出身。大阪市立大卒。著作に「木簡が語る日本の古代」「書の古代史」など。
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緻密で説得力ある内容。ジュニア新書と言いながら、本格的。聖徳太子の実像に迫るには一体、どんな史料があるのか? そうした史料にもとづいてどんなことが言えるのか? 様々な説があるなかで、著者はどのような結論にいたったのか? 実証的研究の成果をわかりやすく示してくれている。
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聖徳太子の実像について、残された史料の性格とそれを踏まえて読み取れること、法隆寺関連の考古学調査から得られた成果を、新書にしては細かく述べてあり、聖徳太子研究の入門書的な雰囲気。
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東大国史出身の研究者が「不在」説を唱えるほど、21世紀の現在もとかく新説・異説・珍説の多い聖徳太子だが、本書は現在では最も伝統的・守旧的な立場からの聖徳太子小伝と言えよう。後世の偽作説の強い十七条憲法や、やはり後世の追刻説の強い法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘を全面肯定、舶来説のある法華義疏も太子真筆説を採っている。さすがに「摂政」「皇太子」や蘇我馬子との共治説をそのままでは採らないが、馬子のアドバイザー・ブレーンという位置づけで事実上旧説を引き継いでいる。それだけに新鮮さは全くないが、いわゆる教科書的な通説がどのような研究史を経て形成されたか簡便に知る上では有用で、聖徳太子や太子信仰を学習する上での「出発点」としての価値はあろう。