あらすじ
GDPからQoL(クオリティ・オブ・ライフ)へ、価値観の転換で地方はよみがえる
■私たちが今、思考すべきは「ポスト・コロナ(コロナ後)」の世界における新たな価値観や常識だ。これを機に、社会のデジタル化が一層加速し、テレワークや在宅医療、遠隔教育などが定常化すれば、地方社会にとっては大きな恩恵となるだろう。同様に、平常時では一定の時間がかかる「ニュー・ノーマル」へのシフトが、一気に進む可能性もある。(中略)誰もがどこからでも仕事をこなせる社会を経験した後、都市、および職場という「場」の持つ本質的な意味合いとは何なのか。大都市であれ、地方であれ、再考を迫られている。物事の本質的な価値や意味合いの変化と、「ポスト・コロナ」時代の世界のあり方に関して、真剣に検討を始める時が来た。(本書『はじめに』より)
■日本の各地方が、内在的な価値を発掘し、個性を極めていくことは、企業・住民に選ばれ、生き残るために必要な要素の一つだ。人口が減少する中、多様化するニーズに大都市とは異なる独自性で応えられなければ、地方に経済と人の流れを取り戻すことはできない。しかし、「収入ではなく働きがい」「都心ではなく地方」を選ぶQoLエコノミーの台頭の兆しとも言える価値観が生まれてきている。GDP的価値が中心だった時代は都市が強かったが、QoL的価値を取り入れれば、地方でも十分差別化が可能で、人を呼び込むことができるだろう(第7章『各都市の価値をどうやって向上させるか』より)。
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Posted by ブクログ
仕事関係で献本していただいた。(お礼申し上げます)
地方創世の問題が整理されていて分かりやすかったです。
私も、将来自分の故郷と何か関りを持ちたいと思っているので、自分の考えを整理するためにとても参考になる情報、アドバイスが書かれていたと思います。
ただ最近少し思うのは故郷のために、と、大上段に構えず自分のやりたいことをやる、という路線でも良いのかな、ということ、
これからいろいろ考えます。
Posted by ブクログ
人口減、超高齢化社会に突入した日本において、再度成長軌道に載せるために何ができるのか?
課題先進地域とも呼ばれる地方において、再生モデルを構築することができればという思想もあるのか、地方創生が叫ばれて久しい。そんななか東日本大震災の復興支援という切り口ではあったが、著者が率いいる国際的にも著名なコンサルティング会社アクセンチュアは会津若松に拠点を起き、昨今話題のスーパーシティ構想の礎とも言える仕組み構築に取り組んでこられたことを中心に書かれた作品。
新型コロナ感染症拡大に伴い、感染リスクを避けるために三密回避対策が取られ、イベントの開催ができなくなったり、感染が多く見られる外食利用が減ったりと経済ダメージは非常に大きいが、デジタル化が一気に進むというメリットもあり、居住地を選ばずに仕事ができるリモート環境が整備され、職住近接の必要性がなくなってきた。
結果地方への移住も注目されるようになり、地方を紹介するメディア等も充実する昨今において、各地が地域の魅力を発信するために地域のことをより深く知るような動きが進んできたのではないだろうか。
スーパーシティの区域指定公募にも31の地域・団体が応じたと発表されたが、数千人の地域から数十万人の地域までバラエティに飛んだラインナップ。
デジタルによる改革を通じよりよい社会、サステイナブルな社会を築いていく思想は非常に素晴らしいと思う。
その仕組みを作る事に対する投資対効果を先行的に選択された地域で具体化されることを期待する。
特区ということで特別財源が当てられるとしても、継続的にその仕組が維持・運用、更には発展しないと意味がないが、国家予算が打ち切られたあと、自治体単位での予算内で運用できるものなのか不安はあるが、デジタル化による効率化を通じ、自治体職員の担う職務が大きく変わることで、より住みやすいまちになり、たくさんの人々が居住地を移す、もしくは多拠点生活やワーケーションというスタイルを通じ、関係人口が増えることで地域活性化が進む、地域財源が充足されることで、地域創生が図れるのではないか?
非常に時間のかかる話ではあるが、生活者と向き合い、超高齢化社会における課題を解決し、その解決策を他の地域、はたまた諸外国に向けて提供していくことで、日本という国の世界における立ち位置も大きく変わるであろう。