【感想・ネタバレ】日本の神話のレビュー

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Posted by ブクログ

1964年に出版。この文庫は2019年11月。
50年以上前に出版された本ではあるけれど、「アマテラスの誕生」は、教えれられることが多かったので、著者の名前を見て購入。

折口信夫の民俗学の系譜の人。
中沢新一「古代から来た未来人 折口信夫」にも柳田国男も折口も古代には異界は水平方向に、つまり海の彼方にあると信じていたとあったが、本書では伊勢の海辺の神が、やがて天の神に変じ、川上の神として降りてくる神となる推移が具体的に述べられている。
川ばたの「ゆかわだな」に「たなばたつめ」を住まわせて、神を水流から救い上げていたというのは、折口の“たなばた”の展開。伊勢の神や京都の賀茂の神と貴船社との関係、また桃太郎が川上から下って現れ、常世のクニの財宝を齎したという信仰の形式は同じという論は面白い。

しかし、全体の論考は伊勢中心史観というべきか、大いに不満。
伊勢の度会氏、宇治土公氏の伊勢の氏族が日本神話の編纂に関係したのは、天武持統のときとしている癖に、それ以前を元々日本中には同じような神話があったで済ましている。そして曰く、因幡の白兎は伊勢の話だろうとか、大国主が越のヌナカワヒメに送った歌が伊勢の寿歌だという。全体を述べず、チマチマ細部を伊勢だ、伊勢だと言い立てるばかり。

個人的な興味では、古事記に先行すると思われる物部氏の私記、先代旧事本紀にも神武天皇の熊野侵攻があるのが不思議だが、本書では天武帝の壬申の乱の侵攻ルートが反映されたものという。納得。でも、そうすると、先代旧事本紀の成立がちょっと不思議かな。

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2020年05月04日

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