【感想・ネタバレ】ルポ 技能実習生のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主にベトナムからの技能実習生を対象に、実習生本人や送り出し機関、監理団体や受け入れ企業を取材し、技能実習制度の実態を記載したルポ。こういった外国人労働者問題を扱った図書では、著者が自分の信念を強く訴えるような書き方になることが多いように思いますが、本書はあくまで、この制度の実態はこうですよ、というある意味で中立的な描き方に専念しているように思われて、読み応えのある1冊でした。


本書を読む限りでは、ベトナムからの技能実習生は日本での労働が"劣悪な環境ではあるが、期間限定の一獲千金の場"であることを予め知ったうえで来ているので、そういった意味ではこの制度は実習生にとっても受け入れ企業にとってもWinWinである制度なのかしらと思いました。

ただ、やはり以下のような点で、これが国として行っている公的な制度の実体か?と思わずにはいられませんでした。

〇「技能実習」制度の趣旨である「前職要件」はほぼ偽造
日本サイドの実習実施企業が求めるのは「単純作業に就く労働力」であり、実習生が求めるのは知識や技術ではなくお金(p.79)なので、公然の秘密として偽造が行われている。

〇送り出し機関から監理団体や受け入れ企業への接待費用が実習生の自己負担として重くのしかかっている
ベトナム側の送り出し機関が求人票を得たり、契約を得たりするために、日本の監理団体や企業を接待したり、裏金を渡したり、付加的なサービスを提供したりすることが常態化している。これらの費用が最終的には実習生自身から徴収されており、実習生の借金額を大きく増やしている。
このことが詳細に記載されている第2章「なぜ、派遣費用に一〇〇円もかかるのか」は圧倒される内容でした。実習制度に関わっている日本人たち(もちろん全員ではないわけですが)のひどさに、本当に胸糞悪くなりました。


結局のところ、実習生を助ける立場であるはずの監理団体は受け入れ企業とずぶずぶで、「監理団体」という役割を到底果たしていなさそうに思われました。これがこの制度の一番の欠陥のように思われました。
実習生が本当に困った立場になったときに、助けてくれるところがない、という意味で、結局は「現代の奴隷制度」のそしりをまぬかれないだろうなと思いました。

そしてこういう実態を知りつつ、日本という国はこの制度をそのまま続行しているわけで、とても国際社会に誇れたものではないなと改めて思ってしまいました。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

技能実習生の実態を筆者が実際に現場に行き、リアルを書いた良書である。
よくある技能実習への単なる批判ではなく、実習生が醜悪な環境でもなぜ日本に働きに来るのか、正確に書かれていると感じた。
最初に描かれているベトナム人の300万円の自宅は写真の掲載があったが、
圧巻であった。なるほどこのような夢を求めてベトナム人は日本に来るのか。。

もちろん、メディアで騒がれているように明るい現実だけがあるのではない、
ベトナムの送り出し機関に登録するために、実習生は100万円程度用意が必要。
大抵は前借りをする。場合によっては実家の家や土地を担保にする。
やっと日本に来られても、残業が少なく給料が少ない場合、失踪し、他の場所で働くことになる。失踪者の斡旋人も数多くいる。

なぜ100万円も必要になるのか、それは技能実習制度で賄賂が多くまかり通っているからだ。送り出し機関が監理団体に賄賂を渡し、ベトナム人がきた際に監理団体を猛烈に歓迎するためにお金が必要となる。そのお金を実習生が払っている。
それだけお金をもらっている監理団体は、受け入れ企業の監理業務を怠り、ベトナム人が制等にお金を貰えていなかったりしている。

特定技能が新設されたが、まだ合格者は非常に少ないという現実がある。

とにかく非常に勉強になった。

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2021年05月26日

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