【感想・ネタバレ】図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本のレビュー

あらすじ

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MMT(現代貨幣理論)は、海外の大物経済学者を巻き込み、論争を起こしてきた異色の経済理論です。日本でも2019年からMMTに関する著作や報道が相次いで注目が高まっています。本書は、MMT経済理論の概要や構造を図解でわかりやすく解説し、よくある批判と誤解について解答する入門書です。MMTの名を半端に振りかざした粗雑な議論が増えている今「そもそもMMTとはなんぞや」というところを平易な形で入門者にもわかりやすく解説します。

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Posted by ブクログ

シンプルな内容だが、MMTの基礎がものすごくよくわかった。
●通貨発行権のある政府の下での社会では、租税が貨幣の価値を支えている。租税の役割は価値の根拠として存在することであり、決して財源ではない。
●政府財政支出により貨幣を創造し、徴税により破壊する。商業銀行は預金の貸出により貨幣を創造し返済によって破壊する。どういう政策を実行し市中のどのセグメントにどれだけの貨幣を流通させるかが財政支出の役割であり、社会経済の健全な成長と安定だけが財政支出の課題であって、その結果としての累積赤字の額などは何の課題にもつながらない。
●誰かの黒字は誰かの赤字。財政が累積黒字になる場合は民間か海外が赤字。成長する経済社会では、財政赤字が常態。
●国債は財政支出により市中にベースマネー(準備預金)が過剰になって金利が下がりすぎないように、事後に発行して売りオペで準備預金を減らす金融調節のために存在しているだけで、財源では決してない。
●変動相場制であれば中央政府の財政支出の結果は為替相場の変動に表れるだけで果たすべき経済社会の成長と安定のほかに気にすべき制約はない。固定相場制だと財政拡張時の自国通貨増の上限が外貨調達能力によって制約を受ける。
●以上、MMTは理論であって特定の政策提言をするものではない。
●そのうえで、著者は、ジョブギャランティ(就職環境の最終保証)で社会の安定を底支えしつつ労働力を維持育成する施策が最低限必要と主張する。

確かに労働力の維持と社会的尊厳を確保できるジョブギャランティの方がベーシックインカムよりも優位性がある。目から鱗。
そして、様々な誤解への反論も気持ちよかった。むしろ、一見味方と見られ勝ちな積極財政派との意見の相違を明確に示しているところが極めて明瞭で、素晴らしかった。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

MMTとはなんぞや?
という人はとりあえずこれを読めば良いと思う。
経済学に疎い自分にとっては、MMT以外の経済学理論との関係性まで学べたことも良かった。

MMTの理屈では言えば、適切な赤字範囲で歳出を行い続けなければ民間からお金は干上がっていく。
という考え方は新しかった。
他の経済学も学んでみないと何とも言えないが、MMTがなぜ主流にならないのか?という疑問を抱いた。メリット、デメリット含めて色々な本を読んでみたい。


途中のバランスシートの出納が図が少なく理解しづらいことだけがマイナスかな。

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2020年09月01日

Posted by ブクログ

素人の私がこれを読んでMMTがよく分かったというレベルにまでは当然達しなかったが、MMT理論を理解するための下地が少し出来上がった気がする。

MMT理論はどちらかと言えば理論が先に立つ経済学を、実務面から読み解き新たな理論を構築、経済を理解しようとする試みのように感じた。


●租税貨幣論
税による貨幣の駆動、スペンディング・ファースト、国債発行は金利操作、税は財源ではない
●機能的財政論
財政の実際の経済上の機能にフォーカスして財政を評価
●信用貨幣論・内省的貨幣供給理論
銀行の投融資は無から創造される
●債務ヒエラルキー
下位の負債は上位の負債で弁済できるが、上位の負債を下位の負債で弁済することは難しい
●ストックフロー一貫モデル
誰かの黒字は誰かの赤字
●ジョブ・ギャランティ
一定賃金の雇用を無制限に供給する政策

ある程度読んでくると、やはりMMT理論の観点から日本の経済、政策を見るとやはりずれているんだなと感じてしまう。
緊縮政策やプライマリーバランスを気にしている時点ですでに方向が間違っているのだなと。
減税するには財源が必要、氷河期世代の誕生と少子化、金融緩和によるデフレ脱却(これに関しては財政出動が伴わなかった方の影響が大きいと思う)などなど、現状の日本の問題点がMMT理論に沿って考えることで腹にスンと落ちる。

少し経済用語などが多く、字引きして読まないと進まないが、良書であることは間違いないと思う。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

MMT、リフレ派、積極財政派の違い。
MMTは、金融政策は有効ではないとする点でリフレ派と違う。リフレ派は、マンデルフレミング効果により財政政策は有効でないとするが、MMTはそうではない。
積極財政派とは、財政政策の有効性については同じだが、MMTでは、通常の財政出動では利潤の偏りがあるため庶民の厚生を向上させないとして、ジョブギャランティを推奨する。

モズラーの名刺モデル=名刺をお金替わりに子供たちに家の掃除をさせる手法。
政府は民間の貯蓄需要のために、財政赤字になる必要がある。
裁量的財政政策では、規模が不安定であり、利潤も偏る。自動安定化のために、ジョブギャランティ―が好ましい。
呼び水政策は、民間の過大な投資を期待するため、不安定で完全雇用の長期達成は難しい。完全雇用に到達する前にインフレになる可能性がある。
住空間立方フィート税を提案している。住空間に課税する。
望ましい税制は、転嫁されない税制、経済状況によって課税が変化するもの。法人税は転嫁される、消費税は安定税収だが、経済が悪くても課税される。累進所得税のほうが望ましい。
リバーサルレート=金利が高いほうが好況になる場合があるのではないか。ミンスキーの金融不安定性理論。
内生的貨幣供給論=貨幣は民間借入支出によって決まるのであって、貨幣量を先に決めても景気には影響しない。
好景気なら貨幣需要は増加するが、潜在的に貯蓄過剰なら、政府か海外部門の赤字が必要。
コストプッシュインフレの時に価格統制をすれば、生産意欲がなくなり自壊することでさらにインフレになる。ジンバブエ、ベネズエラのハイパーインフレの要因。
債務ヒエラルキー=上位の負債で下位の負債を決済できるが、逆はできない=国が最上位なので、国は銀行の債務を負担できる。
経済のドル化=自国通貨の最上位性が崩れて、ドルを最上位としたヒエラルキーが生まれる。ソマリアシリングの例。内戦の終了を人々が予測したため、ドル化から免れることができた。
ミンスキー「誰でも貨幣を発行できる。問題はそれをいかに受け取らせるかだ」
ストックフロー一貫モデル=誰かの黒字は誰かの赤字。国際的にもそれは同じ。すべての国が経常黒字になることはできない。
需要主導型の方程式体系。主流派は供給主導の方程式を使っている。これだと金融と実物を切り離しているため、金融危機を見逃しやすい。
ゴルディロックスエコノミー=財政黒字と好況の状態。単に民間の過剰借入に頼っているという意味なので、永続しない。将来の不況の前触れになる。モズラーの予言。
財政黒字は民間の赤字=民間の赤字は、借入によるものなので長続きしない。財政黒字は民間の維持不能な信用膨張の証し。
労働力をバッファーストックにする=ジョブギャランティ。労働力の陳腐化防止、産業変革の円滑化。
総需要だけにフォーカスすると、不平等の拡大とインフレが起きる。労働者層へ直接配布する。最低限の瀬策であり万能薬ではない。
ベーシックインカムより優れている。
変動相場制による小国の不都合は、国際的機関による短期的な買い支えや、コモディティの安定供給などで解決するほうがよい。
輸出は費用、輸入は便益、との考え方。通常とは逆。貿易赤字が持続できるのは、資源国に投資資金が入り続けるか、アメリカのように決済通貨を供給する場合だけ。
貿易赤字と、不完全雇用は別の話しであり、貿易赤字でも完全雇用は達成できる。輸出振興や輸入代替策を取るべき。
国債経常収支もストックフロー一貫モデルでは総和は0になる。マーストリヒト条約は実現不可能。
レンズとしてのMMT=現実の経済を記述しただけ。政策の選択とは別。財政黒字を目指すべきではない、量的緩和によって経済は刺激できない、財政出動による景気刺激は財政再建にはつながらず不平等を増やすだけ、政府債務の大きさと民間貯蓄の大きさは関係ない、など。
クラウディングアウトとマンデルフレミングモデルによる財政出動無効説は金利を国債によってコントロールすれば、無効にはならない。
経済理論の誤謬のパターンはふたつだけ。
1,通貨財政システム。財政赤字は財政危機を直接には引き起こさない。過大な財政赤字によるインフレの心配があるだけ。
2,貨幣金融システム。貨幣は民間の投融資の結果発行されるもの。
信用創造廃止論=銀行による信用創造を廃止するべき。法定準備率を100%にする。
国債廃止論=国債は資金調達ではなく金利調整手段として存在する。

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2021年03月10日

Posted by ブクログ

信用創造、
本当の意味での将来へのツケ回しは、将来の生産水準の低下
債務ヒエラルキー、
ストックフローモデル、誰かの黒字は誰かの赤字
ジョブギャランティvsベーシックインカム
金利政策での不確実性、不安定性、不平等性の論理に基づく問題、国債廃止論

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2021年08月22日

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