【感想・ネタバレ】図解ポケット MMT(現代貨幣理論)のポイントがよくわかる本のレビュー

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Posted by ブクログ

タイトルの通り.わかりやすい.

・MMTの肝
 「自国建通貨は破綻し得ない」
 「租税が貨幣を動かす」
 →自国建で通貨が準備できる国家(日本やアメリカ)はいくらお金を使っても財政破綻し得ない.むしろ国の赤字は誰かの黒字.とはいえ無秩序にお金を刷ってたら誰も信任しなくなる.ー>租税=納税手段としての貨幣を紙切れではないものとしての意味を与える

「MMTは現象学的方法である」という説明がとてもしっくりきた.国と家計の同一視による思い込み,固定観念でMMTが受け付けられないと否定するのではなく,現象としてそうなっていて,事実,日本やアメリカといった国ではそれが成立しているという事実はMMTが無視できるものではないということを示しているのではないだろうか.

・MMTは国家が市場への影響力を強めることを肯定する立場でありその意味ではケインズの大きな政府の延長にあると言えるし,その究極系は市場を国家が統制する社会主義,共産主義何だと思う.目的は違えど国家の干渉という意味ではこれらは介入の程度の違いに過ぎない.

・本の最後の方にも書かれていたが,MMTにおいて最も重要なのは万年筆マネーで生み出したマネーをどう使うか,つまり分配をどう賢く行うかであろう.
東証にじゃぶじゃぶお金を注ぎ込んで海外の機関投資家に貪られるような使い方はとても賢いとは思えず,寧ろ日本の相対的貧しさを加速させているようにも見える.またアベノミクスで株価は大幅に上がったため株主は資産を増やせたが,株主ではない人は,同僚貨幣の購買力の低下という形でダメージを負っているだろう.

・日本は間接的財政ファイナンスでMMT的なことをしているのに「増税をしないといけない」とのたまうのは何でだろう.まあ増税も金融緩和・財政政策(インフレ税)も「人々の購買力を奪う」という意味でやっていることは一緒なんだけど.

・経済理論の派閥争いは「徴税と分配の考え方」「国家はどこまで市場に対し力を持つべきか」という観点で俯瞰するとうまくとらえられられるんじゃないだろうかという気づきを得た.

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・国家は自国通貨を自在に発行できる
・租税が貨幣を動かす。

"ケインズ主義は需要サイドの刺激して不景気を解消しようとするのに対して、マネタリズム供給サイド(労働力や生産設備からのアプローチを重視する点がその特徴になっています"

つまりケインズは、政府の手である程度市場をコントロールする必要があるとする立場です。この立場は、政府の介入を極力減らし、市場の調整メカニズムに任せる新古典派経済学と激しく対立します。

ブードゥーとは配置の実績民間信仰のことで、科学的根拠に欠けると言う揶揄です

MMTが用いる方法論は、この現象学的方法の経済学への応用とも言えるのです。あらゆる先入観を排して目の前の経済現象あるがまま観察します。そうすることで、常識にとらわれない日を掴むように努めます

貨幣はそれ自身に価値があるとする立場を金属主義とも呼びます。これに対して不換紙幣は本来価値を持ちません。そのため権力者によって貨幣の価値が決定されます。このような立場を名目主義あるいは表券主義と呼びます。


花柄のうち「政府により発行される効果、紙幣、準備預金)が通過です。ちなみに、準備預金とは「中央銀行に預け入れられた民間銀行の預金」のことを指します。

モズラーの名刺税

私たちの一般的な経済間では「政府の財政赤字は悪玉」「政府の財政は黒字化すべし」と考えます。しかしながら一切の予断を配して現実を直視すると、貨幣の発行主体である国の赤字なくして民間部門には貨幣は蓄積しない、つまり黒字化しません。

政府及び金融機関以外が所有する、企業や個人の預金通貨と現金通貨の合計をマネーストックといいます
銀行の貸出により預金通貨が創造されたと言う事はマネーストックが増えたことを意味します。マネーストックが拡大傾向にあるときは景気が上向きだといえます。もちろん数の上昇は過剰なインフレになります

マネタリーベースは、政府や中央銀行が発行した紙幣と貨幣の残高と金融機関の決済等のために中央銀行に預けている当座預金残高の合計です。

日本の場合主権通過酷であり債務は自国通貨建てしかも日本が諸外国荷物(対外資産)から諸外国が日本に持つ資産(対外負債)を差し引いた値が1純資産は黒字であるためGDPの2倍に及ぶ公的債務を抱えていても国際的な信頼を保持していると考えます

中央銀行が政府発行の国債を直接引き受けることを財政ファイナンスと呼んでいます

エムエムティーに従うと「租税が貨幣を動かす」
→貨幣の信任が失われる時とは日本の徴税システムが機能不全に陥った時です。それは債務の増加によってではなく国家存立の危機によってもたらされるものです

労働者が完全雇用されている状態とは、その国の生産力を最大化できることを意味しています。逆に不完全雇用だと、人的資源を有効に使用しておらず、社会にとっては損失です。このようなことからエムエムティーでは完全雇用重要公共目的として捉えます。完全雇用の考え方はケインズ理論にまで遡ることができます

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

秀和システムからMMT解説本が2冊出ているが、その1冊目。筆者は多くの分野でさまざまな解説本を書いている人で、本書は、租税貨幣論と特に政府の財政オペレーションの記述が詳細なのが特徴だ。第2章が租税貨幣論の章で、第3章と第4章が財政オペレーションの具体的な仕訳にページが割かれている。

租税貨幣論を扱った第2章では、モズラーの名刺モデルや、従来の貨幣理論の特徴である「ババ抜き」貨幣理論への批判、「無税」国家論批判、債務ピラミッド、スペンディングファーストなどが概ね抑えられており抜かりはない。第3章と第4章では、レイの教科書(通称:金ピカ本)の最初の方に載っている統合政府の財政オペレーションについて具合的かつ丁寧に仕訳がされている。金ピカ本に挫折した人は、自分で手を動かしながら仕訳を書いていけば、必ず理解できるようになるだろう。(余談ながらP.76以降の仕訳の200億円はすべて100億円の誤植だと思われる)

後半の第5章と第6章は、藤井聡氏、島倉原氏といった京都大学周辺のMMT受容グループ(通称:京都学派)の著作のほぼ要約で、MMTと主流派経済学との折衷案的な内容(デフレ脱却がどうたらの話)。あまりMMT自体と関係ない話が続き、JGPの話は触り程度でミンスキーの話題は出てこない。本書は、JGPが少々、ミンスキー成分抜きのMMTの解説なので、MMTを知っている人には大いに不満があると思うが、第4章の統合政府の財政オペレーションの具体的な仕訳は、知っている人でも改めて読む価値はあると思う。初めてMMTに触れる人は金ピカ本よりもこちらを薦めたい。MMTに初めて触れる人には悪くはない本です。

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2021年05月29日

Posted by ブクログ

現代貨幣理論入門をわかりやすく書き直したものである。それに加えて、日本の事情に則した記述もあるので、現代貨幣理論入門とダブルで読むとより理解が深まる。

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2020年06月27日

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