【感想・ネタバレ】総理通訳の外国語勉強法のレビュー

あらすじ

世界最難関のアラビア語を24歳になってから始め、
天皇通訳、総理通訳まで務めた現役外交官が、
苦難の道のりの中で編み出した
秘伝の外国語習得術を惜しみなく伝授!
グローバル社会で外国語を武器にしたいビジネスパーソン、
英語を一からやり直したい日本人必読の書。

第一章 総理通訳への苦難の道のり
第二章 外国語習得のエッセンス
第三章 「ネイティブ脳」より「日本語脳」
第四章 「インプット」より「アウトプット」
第五章 外国語習得の具体的メソッド
第六章 通訳のすすめ

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

880

中川浩一
一九六九年、京都府生まれ。慶應義塾大学卒業後、外務省入省。一九九八~二〇〇一年、パレスチナ日本政府代表事務所勤務。二〇〇一~二〇〇八年、外務本省勤務。天皇陛下、総理大臣、外務大臣などの通訳を務める。二〇〇八~二〇一一年、在米日本大使館勤務。二〇一一~二〇一五年、在エジプト日本大使館勤務。現在、外務本省勤務。

総理通訳の外国語勉強法 (講談社現代新書)
by 中川浩一
 もっとも、私は、はじめから総理大臣の通訳になりたいと思って外交官になったわけではありません。  高校まで京都の田舎で外国とは縁遠い生活をしていた私でしたが、大学受験の際に予備校の友人が貸してくれたある本に書かれていた「外交官」という職業を単純にかっこいいなと思った、いわゆるビビッときたのをきっかけに、私はそれ以降、何かに取り憑かれたかのように国際社会で活躍したいと思い、大学時代から外務省、外交官を目指すようになったのです。

そして、1年留年してなんとか外務省の採用試験に合格したのですが、私を待ち構えていたのは、まさかのアラビア語でした。  そもそもアラビア語ってどの国で話されているの?(答えは中東のアラブ諸国 22 の国と地域) そんなレベルでした。  本当にショックでしばらく放心状態でしたが、よく考えれば、留学経験もまったくない私が、外務省の採用面接で伝えられたのは、外交官になりたいという意気込みと、国際社会の多様な価値観を知って自分を成長させ、ひいては日本という国に貢献したいという外務省を目指す人なら誰でも言うようなことでした。  ですので、実は人事課は私の希望を叶えてくれたのかもしれません。イスラム世界ほど、日本と価値観の違う世界はありませんよね。アラビア語はこのイスラム世界の多くの国、地域で話されている言語なのです。

こうして、徐々に気を取り直した私は、アラビア語に立ち向かうことを決意し、1994年4月に外務省に入ると、早速アラビア語の勉強が始まりました。  しかし、その難しさは生半可なものではありませんでした。

 だったら、この恵まれた環境を活かして、英語の勉強も最初から「日本語ファースト」で始めれば良いのではないかと思うようになりました。これが、この本の基本的な考え方になっています。  当時習っていたイギリス人の先生にも、週2~3回、トンシー教授のスタイルで徹底的なアウトプット中心の授業と、私のスピーキングの間違いの修正をお願いしました。

皆さん、外国語が 流暢 に話せる日本人を見ると、帰国子女だからとか特別な才能を持っているからだとか、あるいは器用でセンスがあるからだとして、別世界の人間のように見がちですが、それは違います。  私は帰国子女ではないし、社会人になるまで留学したこともありませんでした。  また、私は不器用で、決して要領の良い男ではありませんし、暗記力が特別優れていたわけでもありません。  それでも、世界最難関のアラビア語で天皇陛下や総理大臣の通訳を務めるレベルに達することができました。  振り返れば、登り始める前は、どれぐらいの高さかも、またその道のりの長さもわかりませんでしたが、結果的には、正しい方法で、最短の道のりで、100パーセントの努力をしたからだと思います。  努力は気持ちさえあれば誰にでもできるものです。  器用さとかセンスは気にする必要はありません。しかし正しいやり方、最短の道のりがわからず苦労する日本人は多いと思います。  この本で、皆さんには、私が紆余曲折の末に摑んだ最短の勉強法をお伝えしたいと思います。

私が、アラビア語を短期間でマスターできたのは、これから述べる正しい方法や最短の道のりを選べたのもさることながら、自分が器用でないこともあって、ひたすら先生の指導どおり謙虚に素直に愚直に学習に取り組んだからだと思います。  謙虚で素直という日本人の特性は、外国語を学ぶうえで大きなアドバンテージなのではないかと思うのです。

 また、日本人の小学1年生はさすがに「あいうえお」の発音練習をする必要はありませんが、私の場合はアラビア語なので、「あいうえお」の発音から始め(ちなみに、実際はアラビア語に「え」「お」にあたる母音はありません。なのでアラブ人には、「こういち」ではなく「くういち」と呼ばれていました)、 28 の文字一つ一つの発音を、大きな声で、喉の奥から、アラブ人の先生の前でマスターするまで繰り返すことになりました。

「リーディング」から始めない。それは「悪魔のささやき」  その典型的な失敗が、外国語の学習をアウトプットを伴わないリーディング(インプット) から始めることです。  これまでの習慣で「リーディング」から始めると、その対極にあるアウトプットを意識することが難しくなるうえに、リーディングは自己完結しやすく、黙々と努力すれば成果が最も出やすいので、ついつい自分の語学力が伸びたような錯覚をしがちです。  これは「悪魔のささやき」とでも言うべきものです。  文章を読むこと自体が本番のビジネスシーンで問われることは、まずありません。  リーディングは、語学の学習というより各トピックの理解を深める一助の位置づけにすべきであり、それが真に必要となるのは、その外国語を通じてしか知識、情報を得られないことも多い上級者だけです。  要は、リーディングは「最後の仕上げ」なのです。  それまでは、とにかくインプット過多にならないよう留意することが、実は語学攻略の最短の道だと思います。

0
2024年06月14日

Posted by ブクログ

日本語で考え外国語へ置き換える訓練が最短の道、という主張は初めて聞いたが納得でき励みになる。
海外勤務になったとき、結局日本語で知識ながければ大したことを話せないこと、逆に中身のある話であれば相手が熱心に聞き取ろうとしてくれることを体感したことを思い出す。いまの語学学習の目的は出張や旅行で使える程度の日常会話力であるので、英語学習ではインプットとアウトプットの乖離を埋める作業を行いつつ、新しい外国語の学習では自己発信ノートやオリジナル単語帳を試して効率を上げたい。

0
2021年06月07日

Posted by ブクログ

今までに読んだ外国語学習本の中で最も衝撃を受け、かつ最も学びが多かった。
著者の経験に基づいて書かれているため、説明がわかりやすく実践しやすい。

0
2021年01月02日

購入済み

「スピーキング(アウトプット)ファーストでやりなさい、あなたも外国人と日本語で話す時、スピーキング能力で相手の日本語力を計るでしょ」、と。そりゃそうですね。納得しました。

0
2020年08月30日

Posted by ブクログ

英語に限らず、外国語を習得するための大原則が書かれている。具体的には、自己発信ノートや、オリジナル単語帳など自分のレベルにあった効果的な学習方法が書いてあった。
アラビア語の総理通訳として、活躍してきた著者が感じた外国語は日本と外国を繋ぐ「架け橋」だということに共感した。自分も日本に限らず、様々な場面で活躍できるように英語の勉強を頑張りたいと思った。

0
2020年08月16日

Posted by ブクログ

数ある「個人の体験に基づく語学本」の中でも出色の一冊。ゼロからはじまるアラビア語練達への道乗りがとてもおもしろく、語学好きにはこたえられない魅力のある本になっている。「総理通訳」というバッチがなくてもこの本の価値は変わらないと思う。後半に記されたメソッドは具体的であり実践しやすい。
筆者には是非、「はじめてのアラビア語」を書いてほしい。

0
2020年07月25日

Posted by ブクログ

非常に合理的な外国語の勉強法が書かれており参考になりました。

あくまでもビジネスで使える英語で、自分でも尻に火がついた時にやってた事をやれば良いんだと、とても腹落ちしました。

何を学べばいいかどう学べばいいか最短ルート
毎日やらなければというプレッシャーで自滅する必要はない。
自分のゴールに必要な単語なのか耐えず自問自答する。
とにかくスピーキング、スピーキングファースト
アウトプットのためのインプット。

日本語の会話力の向上にもなるし、改めて自己発信ノートをつけてみようと思う。

0
2020年04月05日

Posted by ブクログ

総理や天皇の通訳という最もハードな最前線で通訳を務めた人だからな内容で、勉強の技術もそうだし語学に対するマインドへの影響という意味でもかなりの好著。入省からエジプトやパレスチナでの経験、勉強法について。
勉強法に関しては、ネイティブ脳ではなく日本語脳を鍛え、日本語で話す内容を考えて外国語に置き換えていくスタイル。インプットとアウトプットを半々の割合にして、スピーキングを重視。これにより一番重要な発信能力を鍛えていくことができる。具体的なところではイチローの引退という例題を見ながら自己発信ノートやオリジナル単語帳の作成、パラフレージングや類語を用いての表現力の向上、クイックレスポンスやリプロダクション、サマライジング、相手の長い発言を理解し自分の意見を論理的に発信するDLSといったトレーニングも紹介されている。

0
2020年03月08日

Posted by ブクログ

語学習得に対するマインドセット。
泥臭く、当たり前のことを愚直に遂行できた者だけが立つことの出来る舞台。
血も滲むような努力があったのでしょう。

0
2020年02月05日

Posted by ブクログ

経験に基づく“通訳”指南書とでも言うべき内容。大変参考になりました。
単語帳を改めて作ってみよう、と思った次第です。

0
2020年01月26日

Posted by ブクログ

【皆さんにも外国人の心の「扉」を開ける快感を是非味わってほしいと思います】(文中より引用)

自身の語学への取組や総理通訳としての経験を基に、どうやったら外国語を習得できるかについてわかりやすく紹介した作品。著者は、外務省へ入省してからアラビア語に触れたと語る中川浩一。

「インプットよりアウトプット」など、通訳云々というよりは外国語と親しむためにはどうすれば良いかを初心者目線で解説した一冊。アラビア語を始めとする著者の外国語への情熱がひしひしと伝わってくる書きぶりでした。

具体的な勉強法が最も参考になるかと☆5つ

0
2020年01月20日

Posted by ブクログ

とにかく日本語で考えてから、スピーキングでアウトプットせよ。読んだり、ながら聴きのインプットばかりでは、上達はしないのだ。

0
2024年01月21日

Posted by ブクログ

新たに外国語を学ぼうとしている人におすすめ

【概要】
●日本人は外国語学習に向いている。
 リスニングで「聞き流し」勉強は絶対ダメ。
●日本語ファースト。日本語で話す内容を考え、外国語に置き換える。
●インプットよりアウトプットが重要。スピーキングファースト。
自分が発声したことのない単語は、脳には残らない。
●外国語習得の具体的メソッド

【感想】
●「日本語ファースト」は目から鱗であった。
●スピーキングの大切さを認識した。
●「自己発信ノート」の作成に興味を持った。やってみようと思う。

0
2021年08月03日

Posted by ブクログ

よく日本語に直して考えると良くないと言われていますが、初学の段階では言いたいことを日本語→外国語という形で蓄積することが有効だと学びました。

0
2021年07月18日

Posted by ブクログ

アウトプット重視の言語学習の大切さが説かれていた。

自分が言いたいことを、まず日本語で考える。
それを外国語にして、何度も口に出して、練習する。
それも大きな声で。
そして、類義語、類義表現を豊かにしていく。
そのためのネタ帳を作る。

骨子はこんなところ。
伸び悩んでいる自分には、ああ、なるほど、と思うところがある。

一つだけ自分にとって意外だったのは、大きな声で口にすることの大切さだ。
コミュニケーションのために学ぶのなら、たしかに堂々と発話できなければ意味がない。

外国語学習法として参考になったけれど、政府の通訳者としての仕事のあれこれももっと知りたかった。
アラビア語と日本語の通訳がそれほどいないため、会談からレセプション、記者会見まで一人でこなさなければいけないこともあるという。
そういう、英語通訳とは違う事情は、きっとこの著者にしか書けないはず。

0
2021年06月20日

Posted by ブクログ

インプットよりアウトプット。日本語ファーストで、自己発信ノートを作ってみる。インプットに偏っている勉強方法を見直すきっかけになる本。

0
2021年05月03日

Posted by ブクログ

なんのために外国語をやるの?目的は何かを考えれば全部をやる必要はないんじゃないの?

アウトプットをしながらインプットする感覚で進めるのが語学習得の最短ルートらしい。ペラペラ喋ってる自分をイメージしながら進めよう。

0
2021年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アウトプットすることにこだわる勉強法で合理的。
しかし、アラビア語を24歳から始めて4年8か月後には通訳なんてすごいなあ・・・

0
2020年08月22日

Posted by ブクログ

世界最難関とも言われるアラビア語を24歳から始めてマスターし、天皇陛下や総理大臣の通訳を務めるまでに至った現役外交官が、「アウトプット重視」、「スピーキングファースト」などの自身の外国語習得術を解説。
これまで聞いたことのある外国語習得術とは異なるところもあったが、明明白白な実績を上げている著者が実践してきたことなので、説得力がある。自分の外国語学習に当たって、参考にしたいと思った。
また、外国語習得とは別に、著者の通訳官としての歩みや矜持について書かれた部分も、たいへん興味深かった。

0
2020年03月21日

Posted by ブクログ

なんかちょっと分かりにくかったけどなんとなくわかった
他の英語学習法で聞いたことないやり方だったから試して見る価値あると思う

0
2023年04月23日

Posted by ブクログ

大人になってから外国語を学ぶためのヒントがたくさん詰まっている。例えば、英語学習者はどうしても流暢に話せること、ネイティブのような発音に近づけること、などを目指しがちであると思う。もちろん、これらのこと語学学習において重要であることにはかわりないが、大人になってから、特に仕事上、必要に迫られて新たな言語を学ぶ際には、本書にかかれていることがとても参考になると思う。

特にオリジナル単語帳、自己発信ノートへの取り組みは試してみたいと思った。具体的に自分がこれまで取り組んできたことや今取り組んでいる仕事、自分自身や家族のことなど、自分が発信する場面を想像して取り組むと効果的ではないかと感じた。

0
2022年09月25日

Posted by ブクログ

 Audibleでランニングしながら聴取。4時間弱で聴けるコンパクトさと、何より込み入ったところのないシンプルさがランニング向けだと思う。内容を一言で言えば「スピーキングでドライブをかけた他言語学習法」。語るべき何物かがあるからこそ言語が必要となるのだ、という自明だが忘れがちな命題に注意を再び向けさせてくれた。

0
2022年04月03日

Posted by ブクログ

読み物として面白かった。
フランス語勉強に役立つヒントもありました。
ついついとっつきやすいインプットに寄ってしまうけど、やはりアウトプットが重要。プライベートレッスンも主体性を持って受けるようにしようと思った。

0
2020年09月28日

Posted by ブクログ

すでに成人している人が、どうやって新しい言語を習得したらいいのか、ひとつの実例として著者自身の経験に基づいて書かれている。

オリジナル単語帳や、自己発信ノートはぜひとも真似したいと思った。
日本語で理解して、そこから外国語に置き換える。
巷で流行っている英語を使うときは、英語で考える方法論とは真逆だが、大人にとってはこっちの方がいい気がした。
イメージで習得するみたいなのに通じるようにも思う。
母語で考える時、自然と頭の中にはイメージができている。そこに、習得したい言語を落とし込んでいくと考えれば、日本語で理解してから外国語に変換する、日本語で考えて外国語に変換するのもなかなかいい方法のように思える。
まずは日本語から、のこの方法でしばらく勉強してみたいと思った。

0
2020年08月14日

Posted by ブクログ

アウトプット中心の勉強法の提案である。語学をどのように会得したか、筆者の経験談を中心にまとめられている。

0
2020年05月11日

「学術・語学」ランキング