【感想・ネタバレ】日本経済のマクロ分析 低温経済のパズルを解くのレビュー

あらすじ

●日本経済を議論する上での基本書登場

バブル崩壊、デフレ、少子・高齢化などの他の国に先駆けた重い課題、苦悩を背負ってきた日本経済は1990年代以降模索を継続しています。様々な政策も実行してきましたが、低成長・低体温から脱却できてはいないのは何故なのでしょうか。このパズルを解くことが必要です。
本書は、この30年で日本経済のメカニズムがどのように変わり、新しいパターンが生み出されているのかを解明するもの。(マクロ)経済学の発展・最新成果・オリジナルな研究を十分取り入れ、これまでの経済学の理論・実証分析の蓄積を活用し、日本の状況に合った「テーラーメイド」の経済学を意識し、日本のマクロ経済の変化と現状の鳥瞰図を示し、包括的に論じます。
本書の基本アプローチは、経済白書など公開データを活用しながら、理論、歴史(1980年代~)、国際比較の三位一体で日本経済の変質を明らかにするもの。
また本書では、最先端のマクロ経済学を柔軟に活用する。具体的には、各経済主体の行動様式を解明しながら(ミクロ的基礎重視)、それらの主体が相互連関しながら経済全体としてどう動くか(一般均衡視点重視)を考えていきます。マクロ的視点、ミクロ的視点を自在に行き来しながら様々な主体、要因などの連関を考える。
政策提言については、エビデンスに基づいた政策が強調され、エコノミストや経済学者が政策決定プロセスにより関わるようになったにもかかわらず、むしろ、現実にはエビデンスから離れた政策が行われるようになってきているという問題意識で臨みます。平成のマクロ経済政策をそうした視点から批判的に検討し、警告を発します。
日本経済をデータから正面からとらえた本書は、これからの日本経済を語る上での基本書となります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

デービットアトキンソンが新生産性立国論などで語っていた
①IT技術を使えていない生産性の低さ
②小、零細企業が多いことによる企業としての規模の小ささ(≒設備投資の余力のなさ)
③ ①+②によって、利益確保するために従業員への給与を削減することで対応
④ ①+②+③によって、日本のGDP低下

自分で日本の経済情報をここまで調べて、且つ、グラフ化するのは容易ではないですね。そういう意味でも、日本経済で何が起こっていたのかを理解できる1冊でした。

で、結局、ここまでなんですよね。
本書でも日本経済再生に向けた提案をいくつか出されてますが、どれも既視感ある内容で且つ、効果が乏しく感じました。この辺は、追われる国の経済学を読むとLTPなどで補完できそうに思います。
本書の中でもMMTと関連した積極的な財政出動の話が一部出ましたが、やはり『どこまで赤字財政を行って大丈夫なのか?』の、定量的な見解がないとありました。

低温経済の日本を立て直すのは、相当ハードル高そうです

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2020年06月12日

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