【感想・ネタバレ】新装版 京まんだら(下)のレビュー

あらすじ

祇園のお茶屋「竹乃家」は開店から30年を迎えようとしていた。女将・芙佐には3人の娘がいたが、長女の明子は上京して医者になり、次女の華枝も結婚して家を出ていた。大学生の三女・稚子に芙佐は後を託すつもりだった。/出版社社長・敏子は揺れ動く心を静められずにいた。ずっと年下の編集長への想いが強まるばかりだったのだ。だが、姪の律子の存在が運命を変える。/恭子はつらい思い出を乗り越え、南禅寺での大学生との出会いをきっかけに、新たな生き甲斐を見出そうとしていた。/そしてなおみは、京都へ嫁にいくことに。──さらには、野球選手と結ばれようとする仲居の話や、作家に口説かれる芸妓の顛末など、京都に生きる女性たちの色恋がストーリーに彩を添える。都をどり、葵祭、祇園会、大文字と、季節は春から秋へ……。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

瀬戸内寂聴の小説ってこんなに面白かったんだ!?
祇園を中心とした京都の文化についても教えてくれて、ちょっとした観光ガイド本にもなっている。
そして舞妓さんや芸妓さんのお着物の描写が豊富で読んでいて飽きない。さらさらといろんなお召し物がでてくる。夏塩沢、ふむふむ、勉強になる…。
昭和四十六年に書かれているけれど、いくつか時代遅れとなった言葉がある他は古さも感じない。敏子の失恋には全く境遇の違う私でさえ胸がじくじくと痛むほど感情移入してしまっていたほど。

寂聴先生が領収書など取らず自腹で祇園へ通っていた話は林真理子のエッセイでも読んでいたけれど、その価値がよく分かる。読めて良かった!

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

京都駅祇園のお茶屋竹之家を中心に、東京に住む京都に魅せられた女性たちや芸妓舞妓さんの恋や生き方を京都の四季と共に描いた作品。

昭和の祇園の内情があれこれわかって、とても興味深かったです。

男性も女性も登場人物が多く、突然過去の回想が始まったりもするので、「この人は誰だったっけ?」とわからなくなったり、独特の言葉の意味がわからなかったりしました。

京都の四季折々の風習や景色、昭和の人々の感覚や感情、現実離れしたかんじの祇園という世界。
晴れている日の場面でも、終始薄曇りで湿り気を感じさせる作品でした。
なんとなく昔谷崎潤一郎の「細雪」を読んでいた時の感覚と似てるなぁと思いました。

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2025年02月02日

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