あらすじ
科学ジャーナリストが第三者的視点でとらえた、ケア技法「ユマニチュード」。
ユマニチュード・インストラクター試験を首席で合格、科学ジャーナリストでもあり、大学でコミュニケーションを教える著者が、ユマニチュード考案者イヴ・ジネスト氏と、日本の第一人者本田美和子氏の導きにより、発祥国フランスで、そして日本の介護現場で見てきた、ユマニチュードの「今」、そして「未来」。
なぜ、このケア技法で、認知症の人と心が通うのか。
ケアの中心に「人」ではなく「人と人との関係性」を置くとはどういうことか。
発祥国フランスでは、どのようにケアの水準を保ち、どのように、ケアをする人までもが誇りと幸せを感じる状況を実現しているのか。
科学ジャーナリストの視点から、「ユマニチュード」の等身大の姿を紹介します。
また本書では、ユマニチュードのエビデンス(科学的根拠)についても詳述。
ユマニチュード導入によって、認知症の行動・心理症状が改善、家族の介護負担感が軽減、さらに、急性期病院での「身体拘束」が半減するなど、ここ数年で科学的に実証されてきた研究内容をわかりやすく解説します。
【本文の内容を一部ご紹介】
■第1章 自律を保証するケア〜フランスのユマニチュード認証施設の取り組み
・フランスでのユマニチュード認証施設訪問
・昼食はワインから
・食事は元ミシュランシェフが監修 ほか
■第2章 互いを認め合うケア~ユマニチュードの哲学と技術
・ケアの中心は「関係性」
・亡くなるその日まで立つ
・ケアにおける身体の復権
・人が人であるための4つの柱 ほか
■第3章 点から面へ~日本でのユマニチュードの広がり
・ユマニチュード、学校へ
・ユマニチュードとエビデンス
・始まった実証研究
・自閉症児の親の支援に ほか
■本田美和子氏インタビュー
■イヴ・ジネスト氏インタビュー
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Posted by ブクログ
『指示が入らない、拒否がある』
という、現場ではあるあるの言葉。ギクっとした。本当に日常的に使っていた言葉だから。
『目の前の現実に妥協し、諦め、時に投げやりになっていないか?』
その通りです。なんだかもやっと感じていた違和感も、日常のことになるとやがて当たり前の背景になった。
『攻撃的な認知症の患者さんなどいない。。彼らはただ私たちが彼らを理解していないために行なっている振る舞いから自分を守ろうとしているだけなのだ。あれは防御である。』
『"ここで私たちが考えなければいけないのは何かということを考える"』
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日々のケアの中で疑問に思ったことについて考えることを、とっくのとうに辞めてしまった。もしくは、引っかかりを感じつつも、必要性で正当化していた。そして、「すみません、ごめんね」と言いながら、患者さんの尊厳を奪い、精神・身体に暴力的な行為をしていたのかもしれない。ゾッとする。
そして思っても見なかったが、ユマニチュードは育児にも当てはまる。いくつか成人とは異なる点があると思うが、日常的に手首を掴み、拒否できない子どもに対して強制的ケアをしている。やり方や言い方はごまんとあるのに、考えることをやめて、より効率の良い方法を当たり前に行っていたり、言葉での語りかけ、アイコンタクトなんて省略しまくっている。
ケアエクスチェンジャーとして、もう一度自分の言葉かけを振り返ってみよう。すぐに正解が分からなくても、人間とは何か、立ち止まって考えてみよう。悩んで、困って、相談してみよう。