あらすじ
犬や猫は人間の感情を察して寄り添ってくれるが、植物も同じ。植物にも感情や思考がある。そんな植物の力を知り抜いた男、花宮が主人をつとめる植物療法店には、今日も悩める人々がやってくる。
両親の勧めでお見合いをした相手とこのまま結婚していいのか躊躇う女性、継母が産んだ妹を「いなくなればいいのに」と嫌う七歳の少年……。
人生の岐路に立つ人々を、彩り豊かな香りを放つ植物が、正しい道へと導いてくれる。
心を癒やす、不思議な《迷える羊の森》に、ようこそ。
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Posted by ブクログ
どのお話も、これから希望があるような締め方をしていました。最後の主人公の話がものすごくあっさり終わってしまったけど、しっかりと前を向けたようでよかったです。
花宮さんの掴みどころのない感じ、人のことをしっかりと見ていて何もかも見透かしているような感じ、ふわふわとした雰囲気で優しい感じ…いろんな部分が見えるから、不思議で少し不気味な人だなと思いました。実は人間じゃないのかな? とか思いましたが、全然そんなことはなさそう…
知らない植物が沢山あって調べながら読んでいました。ギンピー・ギンピーという、嘘みたいだけどものすごく危険な植物が存在していることにびっくりしました。
Posted by ブクログ
人間の怖さというか醜さや弱い部分、それによって歪んでしまった人間関係などが見えてきて、少し怖くなりました。
げに恐ろしきは人の心なり。
一歩間違うと親子関係すら歪んでしまうのだなと。
それを癒すのは植物と花宮のカウンセリング。
最終的には丈太郎の悩みも解決することになりますが、主人公枠の彼の悩みの解決場面が案外あっさりしていたのには驚きました。
恐らくは、他の人に対するカウンセリングを通じて、丈太郎自身も癒されて、最終的にはあのひと押しだけで済んだのだろうと思いますが、初読時はちょっと物足りなさも感じてしまったり。
でも、丈太郎も一歩前に進むことができて本当によかった。
尚、花宮が育てた花にはちょっと不思議な要素もあったり。
もしかして花宮自身が魔法使いのようなファンタジー世界の住人なのかもしれないななんて、そんな想像もできる話でした。
敢えて彼のことは詳しく述べられていないので、あくまで現実的な存在としても、魔法使い的存在としても読める余地がある塩梅が見事でした。