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Posted by ブクログ 2024年01月08日
議員の立場から書かれており、なぜ日本がこの様な壊滅的な食料事情になっているのか、裏事情がよくわかった。
諦めず小さな声でもあげること、食材を買う時にどういうものを選ぶのかが大切だと思う。
Posted by ブクログ 2021年03月30日
前安倍政権が「種苗法」という法律の改定案を
国会に提出して、2020年12月に可決されまし
た。
実は別名モンサント法と呼ばれ、他国では絶対
に受け入れられなかった過去を持つ法律なので
す。
その前に2018年4月には「種子法」も廃止さ
れてしまいました。
それは国が率先して、米、麦、大豆の苗...続きを読むを品種
改良したり、毎年安全な苗を農家に販売してい
るという農業の根幹です。
農家はそれらを植えて、コメなどを栽培してい
るのです。
この「種子法」廃止の理由は民間業者が参入
できるようにするという、なんとなくそれだけ
を聞けば規制緩和で良さそうに思えますが、
苗業界にはモンサントというメジャー企業が
日本市場を虎視眈々と狙っているのです。
モンサントは遺伝子組換えや、人体に影響ある
と言われる農薬を売る悪名高き企業です。
政治家に強いつながりを持っているのと、
米国の強い圧力もあって、日本はコメの輸入
ではなく、何とその手前の苗から市場の開放
を実施しているとも言えます。
元農水大臣による危機意識を高めるには必読
の一冊です。
Posted by ブクログ 2021年02月15日
『タネは誰のもの』という映画に合わせて読んだ。この中に出てくることが映画では実際に映されており、両方同時に見ると、農業初心者にも分かりやすい。
遺伝子組み換えやゲノム編集などは報道にもなったから、よく覚えているが、種子法廃止や種苗法改正については噂程度でしか知らなかった。しかしながら、自分や今後の世...続きを読む代を育てる、命に直結する「食」の問題だったので、詳しく知りたいと思ってこの本も映画を見るのに合わせて手に取った。
私たちはどうやら自分が何を食べているのかもわからないようなものを食べさせれている社会を作り出してしまっているようだ。それを変えるのは自分たちだ。
Posted by ブクログ 2019年12月18日
遺伝子組み換え作物が持つ問題点がよく理解できた。種子法を早く復活させなければならないと思う。著者は、元農水大臣であり、説得力のある重要なメッセージを読者に発している。みんなに勧める本です。
Posted by ブクログ 2019年11月22日
著者は民主党時代に農林水産大臣を務めた。農家に育ち、400頭の牛を所有する牧場の経営者だったこともあるが、弁護士で政治家。盛りだくさんな内容を丁寧にわかりやすく並べて書いている。ほとんどはモンサントの話だが、現在の日本の農業政策や世界の潮流などもよく理解できる。
以下はメモ。
2018年4月に種子法...続きを読むが廃止された。食料農業農村政策審議会にも審議をかけず、パブコメも集めない。政府の強引さが目についた。農水省の奥原正明は農協解体派。「旧態依然の農林水産業は近代産業化されて最終的には農林水産省が必要とされなくなるのが理想」と言ってはばからず、農水官僚の仮面をかぶった経産官僚と言われた。同期の本川一善が2015年に事務次官に就任しても退官はせず、わずか10ヶ月で本川氏が退任すると事務次官に就任する異例の人事で周囲を驚かせた。2014年に内閣人事局が設置され、官邸の意向が反映された人事だったと見られている。種子法の廃止はその8ヶ月後に閣議決定されている。
モンサントはアメリカで発がん性が問われた裁判で立て続けに敗訴し、世界各国で使用を禁止する国が増えている。敗訴の直前にモンサントを買収したバイエルはモンサント関連事業でマイナスを計上し続けている。ロシアでも市民の多くがラウンドアップ、グリホサートに嫌悪を示し、メドベージェフ大統領(当時)は、「アメリカ人が使いたければ使えばいい。我が国では禁止する」アメリカでの訴訟の数はさらに増える見込み。
中国は遺伝子組み換えに積極的だったが、結局禁止した。そのような中、日本は「遺伝子組み換えでない」と表示する混入の条件を「5%以下」としていたのを「不検出」にまで厳しくする。一見、厳格にするようで、意図せぬ混入がない商品はないので「不検出」はありえず、すべての商品に「遺伝子組み換えでない」の表示ができなくなる。消費者は遺伝子組み換えでない商品が選べなくなる。世界各国で禁止されているグリホサートが入った農薬も未だにホームセンターや百円ショップで売られ続けている。今、アメリカ(特にカルフォルニア州)ではオーガニックや発がん性物質非含有の表示がなければ消費者に選んでもらえなくなる。表示義務のある化学物質も850種類を超え、厳しい基準の下定期的に追加されている。
著者は「日本の種子を守る会」の活動で、全国でフォーラムを開き、農家や消費者に説明を続け、自治体に「条例」を求め、多くの県で実現している。
Posted by ブクログ 2022年10月13日
F1種子と農薬で世界の農業を支配するアグリビジネスの実態とその日本への進出状況がまとめられている。
世界の種子の70%は、モンサント(バイエル)、ダウ・デュポン、シンジェンタ(中国化工集団)によって生産されており、農薬や化学肥料とセット販売されている。
1994年にNAFTAが発効すると、モンサ...続きを読むントやデュポンなどがメキシコで栽培されていたトウモロコシの種子をゲノム解析して育種登録や応用特許を申請し、それを基にF1品種や遺伝子組み換えのトウモロコシをつくり出した。農家がそれを栽培するにはロイヤリティを払わなければならなくなった。2012年には、種子の一部を保存して翌年に栽培する自家採取を禁止し、種子を毎年購入することを義務付ける法案がつくられた。批判を込めてモンサント法案と呼ばれたこの法案は、農民の猛反対にあって廃案となったが、南米各国でも次々につくられ、コロンビアとグアテマラでは可決・成立した。
アメリカはUSTRを通じて、日本の主要農作物の種子が公的なものとして保護され、民間に開放されていないとして、WTO協定が定める公正かつ公平な貿易の原則に反しているのではないかと外交圧力をかけてきた。2016年に日本がTPPを批准した時、日米で「投資家の要望を聞いて、それを規制改革会議に付託し、政府はその提言に従って必要な措置をとる」と書かれた交換文書が交わされた。その後、種子法が廃止され、漁業法と水道法が改定された。
1952年に制定された種子法は、栽培用の種子を採取するために撒く原種と、原種の元である原原種を栽培・生産し、一般農家へ供給することを各都道府県に義務付けるもので、国がその予算を担っていた。2017年の安倍政権下で、種子法を廃止する法律案が国会に提出され、2か月後に可決・成立し、翌年4月に廃止された。同時に種子法に代わる「農業競争力強化支援法」が閣議決定されているが、286もある米の品種を絞り込み、最終的には三井化学の「みつひかり」と日本モンサントの「とねのめぐみ」など数種類に集約する狙いがあったと著者は考えている。しかし、種子法が廃止されて以降、2019年までに11の道県で種子条例が制定されている。
日本では種苗法によって、農産物を新たに開発した人の知的財産権が保護されているが、自家採取は認められている。しかし、2018年には種苗の自家採取を原則禁止する方針に転じた。農水省は「優良品種の海外流出を食い止める」と説明したが、国内法では海外では効力を発揮できないため、的を射ていないと著者は言う。
モンサントのラウンドアップについては、2015年にWHOの外部研究機関である国際がん研究機関が、主成分であるグリホサートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とするグループ2Aに指定した。2018年にアメリカで行われた裁判では、ラウンドアップががんを引き起こす可能性があることを、モンサントが十数年にわたって認識していたことを証明する機密文書が提示されたほか、政治家への献金、政府高官や科学者への賄賂、公的研究機関の買収も明らかになり、モンサントは敗訴した。その後、ラウンドアップはEU各国をはじめとする多くの国で使用禁止や規制対象となり、同年にモンサントを買収したバイエルは25億ユーロの特別損失を計上し、従業員の1割をリストラする結果となった。しかし、日本では野放し状態になっており、2017年にはグリホサートの残留基準が緩和されている。
グリホサートは植物が光合成によってアミノ酸をつくり出すシキミ酸経路を破壊するが、人間にはシキミ酸経路が存在しないため、人体には影響を及ぼさないと、モンサントは説明してきた。しかし、人間の腸内細菌はシキミ酸経路を持っているため、間接的に健康への影響を与えてしまう。グリホサートはその日のうちに尿とともに排出されるため、体内に残留することはないとモンサントは発表しているが、市民の独自の検査では数人の体内からグリホサートが検出された。
遺伝子組み換え作物に対する主な懸念として、人体への被害、生態系への影響、一部大企業による食料支配があげられる。日本への輸入が許可され、販売・流通が認められている遺伝子組み換え作物は、大豆、トウモロコシ、菜種、綿など8品目。これらを原材料とする加工食品で安全性審査に合格したものは320種類で、世界で最も多い。このうち、表示が義務付けられているのは33種類のみ。
ゲノム編集の技術クリスパー・キャス9を開発したダウドナ教授は、「ゲノム編集を食べ物に施すのは危険」と警告している。遺伝子組み換え作物に対して否定的な立場をとってきたEUの司法裁判所は「ゲノム編集は遺伝子組み換えと変わらない」と判断している。アメリカ農務省は「ゲノム編集は遺伝子組み換えに該当しないが、改変の仕方によっては遺伝子組み換えである」としている。日本の環境省は、「ゲノム編集は遺伝子組み換えではない」との見解を発表し、2019年には厚生労働省に届け出るだけで市場への流通を認めた。
Posted by ブクログ 2021年01月24日
今の日本の食と農が揺るがされていることがわかりやすく書いてありました。
日常生活で遺伝子組み換え食品に気を使ったことなかったけど、考えてみると怖いなとおもいました。
農業に興味持つようになれました。ありがとう
Posted by ブクログ 2019年08月24日
種子法の問題は堤未果の著作で知っていたが、山田正彦のこの本では道県レベルで種子条例を作り、固有種などの権利を保存しようとしていることを初めて知った。こうした地方の動きはほとんど報道されず、取り上げられてこなかった。農薬、遺伝子組み換え、ゲノム編集に関心はあっても情報を集めることは難しい。その意味でこ...続きを読むの本はわが国の農業を巡る現在の問題をわかりやすく描き出してくれている。まさに警世の書でありぜひ多くの方に読んで頂きたい一冊である。
Posted by ブクログ 2019年08月22日
<目次>
はじめに
第1章 「国民を二度と飢えさせない」
第2章 海外企業に明け渡された日本の農業
第3章 自分の畑で取れた種を使ってはいけない
第4章 市場を狙う遺伝子組み換え、そしてゲノム編集の米
第5章 世界を変えたモンサント裁判
第6章 世界で加速する有機栽培
第7章 逆走する...続きを読む日本の食
第8章 日本の食は地方から守る
<内容>
種子法の廃止(2018年)により、アメリカのグローバルアグリ企業が日本へと進出してきている(その前からだが、TPP関連法により、入りやすくなり、種子法の廃止がとどめのような感じだ)。この企業群(モンサントを中心に)は、自らが遺伝子組み換えで作った、大豆・トウモロコシ・小麦などを売り込みとともに、その種にしか効かない農薬を抱き合わせで売り込んでいる。この農薬は発がん性が高いとされるものである。世界は、こうした農薬の使用に反対ののろしを上げ、遺伝子組み換え食品の安全性に疑問を掲げている中、アメリカの言いなりの日本政府は、それに逆行するようにTPP加盟、種子法廃止、農薬の問題を緩めるなど、世界に逆行している。日本政府は、国民の幸福に関心がないらしいので(というか、アメリカの言われるままの木偶なので)、食の安全は二の次なのだ。
ただ、地方の行政が種子法に変わる条例を次々と定め、国家に反旗を翻し始めているらしいのが、不幸中の幸いか…
Posted by ブクログ 2020年02月02日
農薬、遺伝子組み換え、ゲノム編集…
食を安定化させるためには必要かもしれないが、長期視点に立った時に果たして正しい選択だったのか、というのにはまだ結論が出せないですね。ただ、世界的リスクマネジメントという観点では研究開発投資はしておいた方がいいかなとも思うし、投資するならどこかで回収はしないとだし、...続きを読む研究する側もモチベーション上がらない。けど、市場投入できないジレンマ。自然界の警鐘には耳を傾けた方がいいと思うんですよね。
人間の根幹ともいえる食の話なので、短期の対策や目先の利益だけで判断せず、あるべき姿を議論した上で、その一歩になる施策をしていきたい。世界の流れと逆行してるからおかしいではなく。ましてや、他分野とのバーターに使うのは最低ですね。経済も大事だけど、安全基盤があっての経済かと。
競争社会だけの食は少々不安なので、なんとかしないとです。