【感想・ネタバレ】何のための「教養」かのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年12月18日

「教養とは幸運なときは飾りであるが、不運のなかにあっては命綱となる」
古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉です。

筆者は東京工業大学リベラルアーツセンターの初代センター長。ジャーナリストの池上彰さんを東工大に誘われた方でもあります。

東工大の多くの教員は、リベラルアーツセンターを、学生たちが...続きを読む将来海外で働くにあたって恥をかかないための「教養」を身につけるところと考えていましたが、桑子さんはこうした「教養」は飾り物でしかないといいます。

再びアリストテレスを引きます。
人類が直面する危機的な課題に立ち向かおうとしているとき、人は専門家として対応できても、一人の人間として対応できるとは限らない。
科学技術を発展させることが、じつは社会に対して本当に利益になることをしているのだろうかと考えることが、困難な課題への対応力になるというのです。
いわば、科学技術を「枝」とすれば、その根底にあるのは、「人間としての根っこ」です。

アリストテレスは人間が備えるべき「知的能力」には二つあると考えていました。
一つは科学的探究、学問的論証能力である「ソフィア」。
そしてもう一つは行為の選択を行う際に発揮される思慮深さ「フロネーシス」です。

2011年3月、日本を未曽有の大震災が襲い、その後の津波によって深刻な原発事故が発生しました。
その際、最先端の科学技術に携わっていた関係者はみな一様に「想定外」という言葉を乱発します。
しかし、桑子さんは言います。
彼ら「専門家」は、「自らの行為選択の帰趨のすべてを視野に入れることができない。そうした事態へのそなえを視野の外に置いていた」ことを認めてしまったのだと。

一人の人間として、自らが直面する課題に適切に当たれているか。知識だけでなく、思慮深さをもって当たれているか。
自問するためのきっかけになる著作だと思います。

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Posted by ブクログ 2020年01月16日

2020年3冊目。満足度★★★☆☆ 著者の「教養」にかかる考察の結論:「教養とは、すぐれた選択を導く総合的・統合的な知であり、思慮深さの基礎である。」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月24日

哲学と教養がかなり近いものかどうかは置いておくとして。
教養とは、優れた選択を導く総合的統合的な知、という定義が共有できるかどうかはそれなりに難しい。思慮深さの基礎になるもの、のほうが共有しやすいかな。思慮深さを求める社会ではないようにも思うが。

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