あらすじ
老いるにもコツあり。
平常心を失うことなく先をゆっくり急ぐ、
中庸の心持ちがいい。
人生100年時代がやってきた。
されど、悩むな、焦るな、欲かくな――。
95歳の著者が自らに課してきた、日々のルールがここに甦る。
人との距離感から清談の方法、生きがいについてまで、
変わりゆく世を淡々かつ快活に生きるための47の智恵。
「日常の繰り返しこそ貴重なレッスン」
知の巨人がおしえてくれる、とっておきの思考法。
【目次より】
I 荷物を持たずに歩く
話し方について
ふるまいについて
心のもちようについて
心理について
休息について
入眠について
散歩について
病気について
師について
意識について
両手について
手紙について
距離感について
幻想について
II 気分が変わるのを味わう
贈り物の昨今
接触の昨今
顔の昨今
反動の昨今
信頼の昨今
常識の昨今
朝食の昨今
好物の昨今
話題の昨今
幅の昨今
美味の昨今
III 話題は遠い人を選ぶ
頭数のヒント
清談のヒント
料理のヒント
常用のヒント
世話のヒント
継続のヒント
応対のヒント
あつらえのヒント
身嗜みのヒント
趣向のヒント
私物のヒント
手習いのヒント
IV 雑念を愛する
定年考
小骨考
写真考
対人考
親切考
会食考
歩道考
活力考
風情考
独歩考
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
変わり行く世を淡々かつ快活に生きるための47の智恵、とっておきの思考法を知の巨人が教えてくれるというふれこみ。タイトルからしても貴重で役に立つ人生訓を伝える書物かと思っていたが、読んでみると、著者らしい教養や含蓄を漂わせながらも、ユーモアがたっぷり盛り込まれた気楽に読めるエッセイ集であった
考察がユニークで面白かったり、印象に残った点を列挙しておく。
・車の運転で車間距離をやかましくいうが、人と人との間でも、“人間“距離をつめると、大事なことが見えなくなる。
・日頃の贈答でも、本体は相手への好意とし、それにちょっとした品物で風情を添える。ものはなくとも、あたたかい言葉を伝えることが大事
・人間の幅を身につけるにはひと色に固執してはいけない。食べなれた味噌を表す手前味噌という言葉があるが、いろいろな味噌と付き合う雅量が必要。
・飲食店で、茶碗や湯呑みをわしづかみにして出されると、いっぺんに興ざめる。
・さしさわりのない、それでいて頭を快く刺激するような話をするにはあまり親し過ぎる人より、いくらか遠い人の話題が望ましい。
・凸凹な歩道を歩く際など、折に触れて、脚下照顧を求められるのはありがたい。
・これからの時代を引っ張っていくのは、何度も転校し、下宿もしたことのあるような雑種人間。自分の流儀以外はすべて気に入らないようなサラブレッドは、自分を弱める危険な頑固さを持つ。人生にとっては、雑然たるところが強みである。