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Posted by ブクログ 2022年03月05日
八月十五日、と聞くと思い浮かぶのは1945年の終戦記念日と言われる日のことではないかと思います。
ただ戦前からこの日は英霊を弔うための日だったということを初めて知りましたし、この2年前の決死の救助作戦のこともこの本を読むまで知りませんでした。
本の登場人物は、ほとんど実在する人物です。
また、土地...続きを読むの名前や作戦名などもすべて実在するもの。
戦況が米国側に傾き始めた頃で、物資も戦艦の類も無駄にできない実情があり、『玉砕』という言葉が前線の兵士たちには、現実味を帯びてきます。
バンザイ突撃や特攻などを目の当たりにした米軍兵は、『日本人は国のために命を捨てる、自死も問わない野蛮な民族だ』という認識を強め、日本軍への攻撃もより残虐的なものになってきます。
確かに、インパクトの強い手段ではあるため、そう思ってしまうのも仕方がありません。
しかし、決して『投げやり』になったわけでも、『命を喜んで投げ出した』わけでもない。
前線で戦う兵士や、直に作戦を立てる司令官たちは常に『生き残る術』を考えていたのだと思います。
前線の兵士、司令官、従軍記者、気象予報官、米軍の通訳者、それぞれが迎える八月十五日。
今年も、また来年も、きっと生きている限り私は八月十五日を迎えることでしょう。
その日に吹く風を、英霊たちとともに感じたい、そう思いました。
Posted by ブクログ 2021年03月14日
先の大戦の最中、人命を尊重し風潮に流される事なく信念を完遂した司令官の存在は瞠目に値する。人がもっとも大切にしなければならない事は人命なのだと改めて気付かされた。良書也。
Posted by ブクログ 2020年08月27日
松岡さんの描く戦争もの2作品目
始終あたたかい一冊だった。
キスカ島のことを全く知らなかったので、衝撃だった。
船の大きさが想像できなかったので、短時間で五千人超の人たちを救うなんて夢物語だと思った。
優しい思いや人を尊重する心は伝播するんだなぁと
樋口さんから木村さん、木村さんから橋本さん、菊...続きを読む池さん
木村司令官のような人のしたで働けたらどんなによいかと思う
悲惨な戦争の中でも諦めずに人を救う
玉砕することが美学なわけがない、今を生きている私と戦中の人たちの心理は恐らくほぼ同じで
戦争という大きな渦に巻き込まれたがために、誰かを守るため愛する人や友人などを守るために自分が砦となり命を張って守ってくれたのだなと思う
空気が洗脳を作る
ただ、その洗脳は心の中までは浸透しない
生きたいに決まってるよなぁと
救出に向かうところから実際に救出できるまで、臨場感たっぷりだった。
いぬたちが無事でよかったなと(4匹ではなく3匹なのはなんでだろう。)
樋口さん、木村さんと人命を第一にしてくださった方たちが生き延びてよかった
キスカ島救出がなければ、今の日本はなかったかもしれないと思うとリーンさんがいてくれてよかった
今まで疑問に思わなかったのが不思議だ、植民地にされておかしくない状況なのにかなり優遇されていたというと語弊があるかもしれないが
沖縄のことを思うとまた複雑ではあるが
しらない戦争がまだたくさんある
戦争の終わった日は人それぞれと書いてあった。
戦争を忘れないために、戦争をもうおこさないためになにができるのか考えないといけないなと思う。
Posted by ブクログ 2020年02月06日
今の自分が置かれた環境から当時の苦境を実感することは難しいが、当時の人たちも、今の自分達と何ら変わらない心を持っていて、それぞれの思いを持って戦場に立ってたんだろうなと感じた。それで無事に帰還した人たちの内、何人の人が終戦を迎えられたのだろうと考えると胸が痛くなった。
Posted by ブクログ 2019年07月04日
日本人であることを誇りに思うか。
日本人であることを誇れるか。
小説なので美談になっていることは
理解しながらも、誇れる日本人にな
りたいと思う。
おすすめの1冊
Posted by ブクログ 2019年05月12日
日本人なら 読んでおく 本の一冊です。
松岡作品は 人が死なない 推理小説。
歴史ものは 初めて 読みました。
日本人であることを 誇りに思えました。
Posted by ブクログ 2019年01月14日
これも、戦後70年以上経ったから、書けたうちの一つなんでしょうか。
あの時代に、命を第一に考えることができる人が何人もいて、実行できたのは奇跡かもしれませんが、実現させたのは人の思いと行動だったことが凄いと思いました。
上に立つ人によって命までも左右されてしまうという現実が改めて怖いです。
Posted by ブクログ 2018年07月22日
なぜあまり知られていないのだろう?
八月十五日と聞くと、日本人なら誰もが終戦記念日を思い浮かべる(最近は終戦記念日もピンとこない人たちが増えてる様子、怖すぎる)。
でもその2年前、同じく八月十五日に起こった出来事がある。
戦争があった時代に、こんなに人間味溢れる人たちが命を懸けて行った、日本人が日本...続きを読む人を救済する物語のような史実があることを私も知らなかった。
実在する彼らの写真をググりながら、あなたは何を見てきたのですか?と問いかけながら読み進めた。
あの時代に、仲間の命を最優先する軍人たちがいた。
今までの、私の中の常識が覆された本だった。
最後の解説にもある。
「八月十五日が近づくにつれ、毎年多くの人がこの小説を読むことを願う」と。
彼らのおかげで、今の私たちがある。
それを目の当たりにした。
Posted by ブクログ 2023年10月25日
アッツとキスカについて全然くわしくなかったので楽しく読めた。史実をいい感じに物語にするのも上手だな松岡圭祐は。軽く調べてみたけど気象士官のあたりのエピソードが史実なのかは確認できなかった。これをきっかけに日本人が狂信的なだけじゃないって米国に思わせたっていうのも面白いシナリオだと思う。本当かどうかは...続きを読むわからないけど。
Posted by ブクログ 2023年08月14日
史実に基づいた1943年の北の最果てキスカ島での救出作戦を描く。
玉砕等が叫ばれる中、島に残った兵士5,200名を救出したという作戦。
それは戦時下にあって、人命を大切にする指揮官たちの熱い想いが込められていた。
気象士官という天気を予測する人物も乗艦した。
戦争と言えば原爆投下が強烈だが、様々な戦...続きを読むいが繰り広げられ、終戦の玉音放送後もなお攻め立てるソ連軍と戦わざるを得なかった北海道の地。
八月だからこそ、更に深く胸を打つ。
あの時代に生き、戦わざるを得なかった人々の苦難と計り知れない覚悟。
もうあの過ちを繰り返してはいけないと、月並みかもしれないけど、願わずにはいられない。
2023.8.13
ぜひ読んでもらいたい
匿名 2023年07月24日
なぜ終戦後の日本はGHQに武力によって統治されなかったのか。考えてみたら確かに不思議だった。
特攻隊や玉砕覚悟の突撃、これらは一見したら命を軽く見た自殺にしか思われないだろう。
しかし、彼らも等しく我々と同じ日本に家族をもつ人間であった。そんな人間が命を軽く考えるわけがない。
仲間を思い、その家族を...続きを読む思って大規模な救出作戦を実行する史実に基づいた本当の話。
Posted by ブクログ 2023年07月09日
第二次世界大戦でのアラスカ半島付近で日本がアメリカ領の島を占領していた話。
終戦末期は南方戦線の話しか知らず、なんの話かと興味を持って読んでみたが、スゴイ話だった。
戦争中、アメリカは日本人は人命を軽んじて容易に玉砕という道を選ぶ国民性だと思っていたが、それがとんでもない間違いであることを知らし...続きを読むめる作戦が決行された。
その北方戦線での人命救出作戦が描かれている。
海軍兵、陸軍兵、通信兵、郵便局員、新聞記者など各々には独立した人生があり、決して人命を軽んじる国民性ではないことを、アメリカ軍の翻訳兵が知ることとなる。
これが、実話を基にした話しと聞いて感動した。
それにしても、戦争とは本当に無益で悲しい歴史だと感じた。
Posted by ブクログ 2022年12月21日
キスカ島撤退作戦を題材にした松岡圭祐にしては珍しい作品。
敗戦の色が濃厚な第二次大戦の末期に、人命を尊重する上級士官が何人もいた事にまずは驚いた。
それ以上に感じたのは、やはりチームというのはリーダー次第だなぁということ。
軍隊に限らず、スポーツ、会社などでもリーダーがボンクラだとメンバーは大変な...続きを読む目に遭うし、優れたリーダーに率いられると奇跡も起こる。
今のうちの会社は…
暗澹たる気持ちになるから止めておこう。
Posted by ブクログ 2022年02月02日
新年一冊目は今年も松岡・歴史小説から。本作はキスカ島撤退作戦がテーマ。
本作は登場人物が多く、メインの人物以外はほぼ深掘りをされない。ただ、キスカ島に生きる全ての日本人がそれぞれに人生を持ち、「玉砕」という言葉がチラつく中、それでも生きて本土に帰ろうとしていたというメッセージが強烈に伝わってきた。...続きを読む
松岡先生の歴史小説は『黄砂の籠城』もそうだったが、ただ「日本人すげー」をやるのではなく、げんだいとは環境が大きく異なった戦時下でもそこに生きているのは同じ人間で同じ思いを持っていたということがヒシヒシと伝わってくる。今回も日本人は人の命を軽んじる野蛮な民族ではないということを小説という形で上手く伝えている。
ドナルド・キーンさんがモデルとなったキャラが登場しているが、彼は本作を読めたのだろうか?
Posted by ブクログ 2021年12月18日
奇蹟のキスカ島撤退作戦!
恥ずかしながら、本書を読んで初めてその史実を知りました。
そして、心震えました。
Wikipediaの解説よりわかりやすい(笑)
ストーリとしては、1943年のキスカ島での救出劇
5200人を超える兵員を戦闘を行うことなく、救出するというモノ。
読み進めると、まさに奇蹟
...続きを読む暗号解読されている中、どうやって救出日を伝えるのか?
その救出を信じて待つキスカ島の兵員たち
そして、救う側の想い。信念を持った指揮官。
「その日」はぐっと来ました。
命の尊さ。人道を貫き、歴史を変えた人々の信念・行動が戦後の占領政策に大きく影響を与えていたこと。
大満足のエンターテイメントストーリで、日本人として誇りが持てる物語でした。多くの日本人に読んでもらいたい物語です。
しかし、一点だけ気に入らないのが、「解説」
憲法改正に対するコメント
このストーリから、なぜ、このコメント?
これが無ければほんとよかったのに...
ということで、解説以外はとてもお勧め
Posted by ブクログ 2020年08月08日
発売されてからずっと読みたいと思っていた本書を、「戦争」という悲しき歴史を感じるこの季節に手にしてみました。
無知な私は知識としてミッドウェー海戦は知っていましたが、同じ頃におこった、私が知らなかった北の果てでの史実。
本作では、太平洋戦争の敗色が濃くなった昭和18年、アリューシャン列島の西にあ...続きを読むる鳴神島=キスカ島にある日本兵5,200名を奇跡的に無血撤収した史実に依って書かれていました。
ミッドウェー海戦の敗北から敗戦の色が濃くなってきたと言われる先の大戦。
そんな中で「本土決戦」が叫ばれるようになり、「一億玉砕」「一億総特攻」など、最後まで己の命を賭してでも皇軍として国を守ることが当たり前と考えられていた時代に、「玉砕」ではなく「撤退」、命を守る事を選び、困難を乗り越えた奇跡の実話。
本作には敢えて主人公はいないのだと感じた。
それぞれの立場からの視点で描かれた鳴神島の悲劇と奇跡。
読んで良かったと思える作品でした。
説明
内容紹介
多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書。そこには、命を軽視し玉砕に向かうという野蛮な日本人観を変え、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が示されていた。1943年、北の最果て・キスカ島に残された軍人五千人の救出劇を知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵と、日本人の英知を身で知った米軍諜報員。不可能と思われた大規模撤退作戦を圧倒的筆致で描く。
1943年、北の最果て・キスカ島―忘れられた救出劇。
迫真の筆致! 窮地において人道を貫き、歴史を変えた人々の信念に心震わされる。
―冲方丁(作家)
本書のテーマは、戦時下における命の尊さに他ならない。毎年、八月十五日が来るたびに新しい読者によって読み継がれていってもらいたい。
―縄田一男(文芸評論家)
太平洋戦争の戦記を読む。日本人にとっては辛いことだ。だがこの作品には、まさに爽やかな「風」を感じた。さらに、意外な「あの人」がからむ終戦時の秘史まで明かされるとは! 驚愕と感動が融合した稀有な一冊だ。
―内田俊明(八重洲ブックセンター)
多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書。そこには、命を軽視し玉砕に向かうという野蛮な日本人観を変え、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が示されていた。1943年、北の最果て・キスカ島に残された軍人五千人の救出劇を知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵と、日本人の英知を身で知った米軍諜報員。不可能と思われた大規模撤退作戦を圧倒的筆致で描く感動の物語。
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカが敵視した、人命を軽んじ易々と玉砕するという野蛮な日本人観が、一人の米軍諜報部員の報告で覆った。戦後占領政策転換の決め手となった一九四三年、北の最果てキスカ島での救出劇。日本は人道を貫き五千人の兵員を助けた。戦史に残る大規模撤退作戦を、日米双方の視点で描く感動の物語。
著者について
松岡 圭祐
まつおか・けいすけ
1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーになる。代表作の『千里眼』シリーズ(大藪春彦賞候補作)と『万能鑑定士Q』シリーズを合わせると累計1000万部を超える人気作家。『万能鑑定士Q』シリーズは2014年に綾瀬はるか主演で映画化され、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞し、2017年には第2回吉川英治文庫賞候補作となる。累計100万部を超える『探偵の探偵』シリーズは、北川景子主演によりテレビドラマ化された。著書には他に、『水鏡推理』シリーズ『黄砂の籠城(上・下)』『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』『ジェームズ・ボンドは来ない』『ミッキーマウスの憂鬱』などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松岡/圭祐
1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーになる。代表作の『千里眼』シリーズ(大藪春彦賞候補作)と『万能鑑定士Q』シリーズを合わせると累計1000万部を超える人気作家。『万能鑑定士Q』シリーズは2014年に綾瀬はるか主演で映画化され、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Posted by ブクログ 2020年06月28日
1943年のキスカ島での日本兵の救出劇を描いた小説。松岡圭祐氏の歴史小説としては以前、「黄砂の進撃」という本を読んだが、あちらの方が重厚で、逆に言うと本作の方が読みやすい。
ただ、実話だからかどうか、それほど盛り上がる場面はなく、期待感が高まる序盤が最も面白かったかも。
満点ではないが、読んで損はな...続きを読むいかな。
Posted by ブクログ 2020年04月13日
ノンフィクション、実在した人達が出てきます。
知らない歴史だったな。すごい功績なのに全然有名じゃないし…キスカ島すら知らなかった。
しかし、ソ連は最悪だな。マジで奪還したい。
Posted by ブクログ 2019年09月21日
毎年8月には戦争関連の本を読んで想いを馳せようと思っている。
購入してからだいぶ寝かせてしまったし、時期も少しずれたけれど、読んでよかった。
千里眼シリーズから松岡さんの作品を読み続けていて、ここ数年は史実に基づいたフィクションを書かれているのだけど、好きな作家を通して歴史に触れるって大事。
切腹や...続きを読む自決の美徳が好きではなく、悲しく切なく命を失う戦争小説より、いかに生き抜いていくかに焦点を当てたものをよく読んでいるけれど、この作品はよかった。
キスカ島を地図で捜したけれど、北極も近そうな小さな島で。。。
平和なのに命が奪われる昨今、こういった作品を読んで感じてほしい。
Posted by ブクログ 2019年03月21日
キスカ島撤退作戦の実話に近いであろうフィクション。
正論が通りづらい陸海軍の組織の対立を描き、終戦間際での奇跡の作戦実行を描き、あっという間に読ませる。
太平洋戦争を読んでみたいという人には、おすすめの一冊。
Posted by ブクログ 2019年03月03日
終戦前後での北方領土やアリューシャン列島での戦いについてはあまり取り上げられることがないようだが、ここに一つの事実か語られている。厳しい状況の中での日本人の苦しみ、その中で必死に命を守ろうした物語に心を打たれた。戦争の無かった平成の終わりにこそ改めて振り返るべき時代の話ではないかと思う。ドナルドキー...続きを読むン氏の訃報を聞きながら終章を読んだ時には胸が締め付けられるような思いがした、
Posted by ブクログ 2018年10月30日
序章を読んだ時にこの小説はどんな内容なのだろうと考えてしまった。
内容を分からずに読み始めて、この小説が史実に基づく話だという事に正直に驚きと自分の知識の無さを痛感させられた。この作家の戦争を背景にした作品は秀逸だと思う。
救出場面のボリュームが若干少なかったのが残念だ。
Posted by ブクログ 2018年03月12日
八月十五日、日本人なら連想するのは終戦の日ですが
これはもう少し前、その2年前の物語。
これが実話だと思うと本当に身震いするような思いです。
日本人であることの誇りとともに、これはぜひ映像化してほしい。
陸軍、空軍、そして気象予報士、記者
とその叡智を結集したこの作戦に、ただただ感動...続きを読むしました。
Posted by ブクログ 2018年03月01日
8月15日というと1945年の終戦の話かと思ったら違った。終戦2年前1943年のことで北のキスカ島に残された5000人余りの日本軍を救出する話だった。第二次大戦の日本軍は上の無謀な計画の元「天皇万歳」と玉砕する軍人、集団自決する婦女子。命を粗末にする組織ばかりかと思っていたらこんなすばらしい指導者も...続きを読むいたんだ。陸海軍が協力して現地への暗号電報をうち、救出に使う軍艦の煙突の塗装、天気をよんで一番いいタイミングでの上陸。救出が来ると信じて待っていた軍人の素早い行動。すばらしかった。これが史実だということで胸が熱くなった。
Posted by ブクログ 2018年10月14日
1943年夏、キスカ島からの撤退作戦というマイナーな史実を取り上げるという、意表をつく。緊迫感と爽快感はさすが。縄田一男の解説は読むに耐えないシロモノであるが。
多くの大東亜戦争(太平洋戦争)の書物は、南太平洋での大日本帝国海軍の海戦や作戦の失敗、軍部の暴走で悲惨な結末を迎えた戦線のストーリーは多くあると思います。
この書籍を読むまでは、北太平洋でどのような戦闘があったのかを詳しくは知りませんでした。(樋口季一郎さんの名前は知っていました)
他の戦線と同...続きを読むじように悲惨な結末を迎えるしか無いと覚悟を決めた約5,200名の兵士達の救出作戦はなぜ行われたのか?なぜ成功したのか?が史実とフィクションを交えて松岡圭祐さんの読みやすい文体で紡がれている作品。
大東亜戦争で宣戦布告した日本を悪と決めつけるのは簡単な事です。悪では無かったと言うつもりもありません。
が、日本人は本当に戦争をして他国を侵略したかったのか?には疑問があります。
教育や多くの書物も、戦争は悪だった。日本が悪いという意見で染まっています。
当時そのような世論に染まったのはなぜか?あの戦争に向かっていくまでになにがあったのか?について憲法改正議論が高まっている中、主権者である国民一人一人が考える機会ではないか?なんてことも考えました。
Posted by ブクログ 2020年06月20日
この作家の歴史小説が意外だったので、思わず手にとった。語られることの少ない、太平洋戦争北方戦線での史実を非常に分かり易く、かつ劇的に伝えている。戦争ものが苦手の人でも抵抗なく読めそうな敷居の低さが良い。占守島の悲劇を描いた浅田次郎の「終わりなき夏」の哀しさとは対照的に爽やかな余韻。「黄砂の籠城」も読...続きを読むみたくなった。
Posted by ブクログ 2020年05月10日
1943年、キスカ島に残った日本兵救出の物語。
救出に向かう者、それを待つ者、アメリカの日本語通訳リーンの3視点で話が進む。
「日本人は玉砕をも恐れない野蛮な民族であり、近づくのは危険」という考えが過度な空襲や原爆投下に繋がったとする記述があった。アメリカ側が日本人をそう捉えるのも無理はないかなと...続きを読む思う。だからこそ、日本人を真の姿を理解し、戦後の占領政策を改めさせたリーンの存在に感謝すべきであると感じた。
知識不足からどうしても絵が浮かばないのがつらい。戦争系は映画も並行して観ることが必要。
Posted by ブクログ 2020年01月11日
軍人である前に人間である。当たり前のことだが、時に戦時中はそれが逆転する。そうでなければ殺しあいなどできないと。でもそれは違う。ただの殺しあいは動物の所業だ。生かすために殺す、命を大切にする、ということを戦時中に実践したキスカ島での救出作戦を綴る。木村司令官には脱帽だ。最後に求めるもの、それは人間性...続きを読むである。戦争の中にあっては、正しい答えは否定されがちだ。だが、正しいものは正しい。
兵士ばかりか非戦闘員までが玉砕をためらわないがゆえに上陸による戦闘はし烈を極めるという意見が都市の空襲や原爆の投下といった決定にすくなからぬ影響を与えたという。しかし、このキスカ島の撤退をみると、日本人が国のため、命を投げ出す危険な民族というのはかなり片寄った見方だということがわかる。日本人は、ドコノミンゾクトモ同じように人命を尊重し殺戮を忌み嫌い、平和を愛していると。
一億総特攻とか、一億玉砕や神風、は軍部のある一定のとこから出ただけであり、国民は平和を希求してやまないものだった。
Posted by ブクログ 2018年08月08日
1943年8月15日、終戦の2年前のアリューシャン列島のキスカ島からの5200人の救出作戦の前後談。このような事件があったとは知らなかったが、アッツ島の玉砕の直後で米国が日本の死に急ぎ、不可解な民族との恐怖を抱かせた直後に陸軍の樋口季一郎中将、海軍の木村昌福少将らの連合作戦の見事な成功。そしてそれに...続きを読む振り回された米軍。1945年の8月15日以降もソ連との攻防戦で奮闘する樋口中将。そして1948年8月15日には地元で家族と共に製塩に従事する木村昌福氏が登場する。爽やかなこの2人と、それを尊敬する従軍記者菊池など、爽やかな人物たちだ。米国側の描写においても源氏物語に親しむ知日参謀としてロナルド・リーンなる人物が出てくるが、明らかにキーン氏!
そもそも8月15日という日付は終戦記念日ではない。戦争が始まる前から英霊を祀る日だったらしい。