あらすじ
「啓蒙」の18世紀フランスを代表する思想家が最晩年に残した著作、ついに本邦初訳! イギリスから経験論を導入し、感覚や記号に関する独自の体系を作り上げたコンディヤックが若者たちのために書いた教科書。本書は誰にとっても生きる上で役に立つ「正しく考える方法」を習得するための最良の書である。この本で学べば、「諸学問について適切に論じている本を、遅くはないスピードで読み進めることができる」ようになる!
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Posted by ブクログ
人間は知っていることを分析することによって、知らなかったことも知ることが出来るようになる。どんなに愚かでも、地道に考え抜けば知ることの出来ないということはないのである。勉強する上での初心としたい
Posted by ブクログ
本書は18世紀の哲学者コンディヤックが一般向けに論理学の初歩を説いたものである。元は学校の教科書(いまの大学1年相当くらい?)として書かれたものらしい。昔の偉い哲学者の書いたものなんて難しくて読めないのではないか、内容は現代でも通用するのだろうか、という不安があったがその心配は無用であった。個人的には求めていたものと合致度が非常に高くて満足だった。私は物事を考えるのが苦手で、論理的に考えるという行為を原理レベルから説明してくれる本を探していたのだが、これはまさにその要望に応えてくれるような内容だった。考えるという行為を本当にゼロから、つまりその発生から説明してくれていて、論理学の初歩というサブタイトルに偽りのない本だと思う。
「自然は必要なことをすべて教えてくれる。だから自然の教える方法に学ぶべし。その方法とは分析である。分析こそが正しく物事を考える唯一の方法である。だから分析の方法を身につけよ」というのがつまるところ本書の主張である。そして、分析の内容と有用性を例を交えて示していく。難しい論理展開はほとんどないと言っていいと思う。コンディヤックの論理学の原則は「知っていることから知らないことへ」であって、本書の作りも同じようになっているため分かりやすい。例えば、私たちは分析というものをまるっきり知らないわけではなくて、景色を目で見て認識するときに自然と行っているのも分析である。だから、私たちがすべきことはそれを拡張することであり、難しいことではないと述べられている。このように感覚的に誰もが知っていることから論を順次展開していくので初心者でも内容を掴みやすい。
本書の内容は哲学としてはもう古いのかもしれないが、正しく考える方法論として高い普遍性がある。この本で言われる「分析」を本当に身につけられれば、あらゆる問題解決の強力な拠り所になるのではないかと思う。