【感想・ネタバレ】リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセスのレビュー

あらすじ

■成人発達理論をもとに、潜在的なリーダーシップを開発するための本
女性リーダーに抜擢された30歳の女性社員が主人公。メンターの先輩女性や思慮深い相談相手の同僚、上司らに支えられながら、自分の信念に立って自分らしいリーダーシップとは何かに気づき、人間性豊かに成長するプロセスが、誰もがどこかで経験する、共感的なストーリーでわかります。
成長のプロセスは、ハーバード大学教育大学院などで研究が進む「成人発達理論」をベースにしています。


【「JMAM出版」で検索すると、日本能率協会マネジメントセンター ホームページから「試し読み」ができます】

【本書の目次】
第1章 リーダーシップって何だろう
―コアリーダーとエゴリーダー

リーダーになれって言われても/枠を超える/リーダーシップって何?
《解説》リーダーシップにおける水平的発達と垂直的発達
コアリーダーとエゴリーダー、そして影響力の起点/腹が据わったコアリーダー/人としての成熟と、自分らしいリーダーシップ
《解説》俯瞰力とリーダーとしての成熟について

第2章 視野の狭いリーダー
―利己的段階のリーダーがいる組織

「あの子、ほんと、使えない」/視野の狭さと身内びいき/正義のラッピング /「普通はこうするものよねえ」VS「私の言うことを鵜呑みにしちゃだめよ」/不必要な人などいない―「正解だとしたら、どうか」
《解説》「利己的段階」「道具主義的段階」とは

第3章 八方美人の困惑
―他者依存段階から自己主導段階への成長プロセス

きっとそうに違いない―ドラマが始まる/断れない、期待を裏切れない―いい子でいる苦しみ/自己犠牲の排気ガス
《解説》さらなる成長に向かいはじめた青木さん
現実のとらえ方が雑よ/未知なることへの耐久性をあげるコツ
《解説》成長のプロセスで起こること&さらなる成長に向けた実践の要諦

第4章 正しいリーダーになろうとしない
―発達プロセスの「譲れない理念」

管理職だった女性先輩の転身先/管理職になるおもしろみと喜び/《管理職としてのつまづき―西園寺さんの回想》/正しいリーダーから理念に立つリーダーへ
《解説》役割の変化と発達、そして自分なりの譲れない理念について

第5章 私らしさが大事
―自己主導段階の「視点取得能力」

いい子からの脱皮―自分の意志を貫く葛藤/スマート・マジョリティ
《解説》成人発達理論から見る「サイレント・マジョリティ」と「スマート・マジョリティ」の違い
自分の願いに出会うコツ/「遠慮は社会の迷惑です」/《森尾さんの回想》/へっぴり腰で信念に立つ/私を生きる あなたと生きる/本音と本心―鎧を脱いで剣を置く/大切にし合おう、1ミリの自己犠牲もないところで
《解説》コアリーダーに向けて大きな一歩を踏み出した青木さんの成長

第6章 コアリーダーになる!
―相互発達段階(自己変容段階)へのステップ

コアな願いを磨き上げる
《解説》絶え間ない学習を希求する自己主導段階および有機的な発達について
自分の弱さを受容する/コアリーダーの奮闘―部下を変えようとするリーダー・自己変容型リーダー/願いを握りしめ、ヘドロに突っ込む―損してもいい、嫌われてもいい、無価値でいい
《解説》終わりなき発達:相互発達段階に近づく過程で見られる現象

最終章 自分を本当に大事にする
―リーダーシップは要領よくはできない

天然タイプ? 飛び立った森尾さん/上司であることを忘れさせる上司

資料◎成人意識の発達理論 発達段階の変遷

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Posted by ブクログ

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★4.5の5点
仕事で新たなことにチャレンジしたいが自信を持てない人に向けて推奨したい本

【まとめ】
終始自分がここ半年で経験そして考えて感じてきたそのものが記されており共感の嵐。
読みながらに勝手に涙が出るほど

【学び】
・成人発達理論なるものの存在を知れたこと
・誰もが通る道であり自分へ自信を持つきっかけになりうる内容多数
・水平と垂直

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

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エゴではなくコアな心からの視点、八方美人じゃなく対立して嫌われてもいい、否定されても相手の言葉を聞く素直さをコアな願いを見失わないリーダーに、やがてこの世のあらゆるものが愛おしくなる
また迷ったときに読みたい。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

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【この本をどう読んだか】

本書は、エゴとコアという軸でリーダーシップと成人発達を描く一冊として、自分の関心(意識の変容、親子関係、トランス体験)と強く共鳴した。本の構成としては物語パートと理論パートが組み合わさっているが、自分にとって価値が高かったのは、「物語で揺れを感じたうえで、章末の解説で発達理論として整理し直す」という往復運動そのものだった。

【物語パートから受け取ったもの】

物語部分は、冗長に感じる箇所もあった一方で、「揺さぶられている最中の人間」がどう考え、どう身動きが取れなくなっていくかを、かなり生々しく見せてくれる。特に、管理職の不在によって主人公が半ば強制的にリーダー役を引き受けざるをえない場面には、トランス的な強烈体験としての「役割の押し付け」がよく出ていた。それを読みながら、自分自身の過去の職場体験や、クライアントが「気づき」に至る手前の混乱状態を思い出し、「あの揺れは、こういう構造だったのかもしれない」と後から言語化できた感覚がある。

【エゴとコアの読み替え】

この本を通じて、自分の中で整理し直されたのは、「うまくやる」ことと「よく在る」ことの違いだった。親の期待値に合わせて生きようとする感覚や、「正解の大人」に追いつこうとする感覚は、自分にとって長く当たり前のものだった。それをこの本は、エゴのパターンとして責めるのではなく、「そこを一度通らないと見えてこない景色がある」として扱っているように感じた。そのうえで、「正解を取りに行く」モードから、「自分の価値観や願いを出していく」モードへと重心を移すことをコアと呼んでいる。このラベル付けは、自分の経験の整理にも、コーチとしての対話にも、そのまま使えると感じた。

【親子関係から見えたこと】

読み進めるうちに、自然と自分の親子関係を重ねて考える時間が長くなった。子どもの頃、物心ついたときにはすでに「ある程度こなれた親」になっていた両親を、「最初から完成していた存在」として知覚していた可能性がある。その結果、「大人は最初からできている」「自分も早くそちら側に行かなくては」という前提が、自分の中の正解志向や完璧主義を支えてきたのではないか、と感じた。さらに、親の側もまた揺れながら変わっていく存在なのだと、後になってから気づく経験が、二段階目のパラダイムシフトになっている。この二重の気づきと、本書のエゴ→コアという流れは、互いに照らし合う関係にある。

【リーダーシップと「期待値ゲーム」】

本書を読みながら、自分の中で強く言語化されたのが、「親の期待値ゲーム」とリーダーシップの関係だった。親の期待に自分を合わせることを「得点を稼ぐゲーム」として覚えてしまうと、自分の視点や価値観を他者に差し出すことよりも、「採点者にどう見られるか」のほうが優先されるようになる。それはまさに、他者依存のリーダー像だ。この本が描くコアリーダーは、そのゲームから降りて、「自分の見立てを差し出し、それに共感が集まることに価値を置く人」として描かれている。その対比は、自分自身のふるまいを振り返る鏡としても、エグゼクティブ・コーチングのテーマ設定としても、かなり役立つ。

【この本の位置づけ】

最終的に、この本は自分にとって「成人発達理論の入門書」というより、「自分とクライアントの内面で起きている“エゴ/コアの揺れ”を一緒に眺めるための物語的ツール」として位置づいた。物語でダイナミクスを感じ、解説パートで段階理論として整理し、自分の親子関係やリーダーとしての経験に引き寄せて考える。その三つを行き来できたことで、単に「良い本を読んだ」という以上に、自分の中の前提そのものを少しずつ書き換えていくプロセスに触れられたように感じている。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

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印象に残った点
★自己欺瞞:正義のラッピング
★★自己犠牲的に一人で抱え込むのは自分勝手。保身。3種類の排気ガス:弱者・親しい人への八つ当たり、別にはけ口(暴飲等)、心身こわす。
・八方美人は他者依存段階。他人の気持ちや考えを考慮に入れながらも、それらに飲まれずに自分の気持ちを大切にすることが大事。
★大事だと思う相手に合わせる時、自分に恐れが存在し影響している。本音と本心、鎧を脱ぐ。
★自分に正直に生きるのは、責任を伴う。故に、怖い。
★★願いを握りしめ、ヘドロに突っ込む。
★★プライベートも大切にしてほしい。仕事を追いかける側に立てる。そうすると楽しい。

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2024年07月11日

Posted by ブクログ

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ストーリーに沿って自分自身のリーダーシップを考えることができる。
よくある「漫画でわかる〇〇」の物語小説版のようなものでしょうか。

抽象的なリーダーシップとは
ただそこにいるだけで発してしまう存在感、雰囲気。

良いリーダーに視野を広くする方法は2つ
・いつも自分の状態を俯瞰でみること
・丁寧に枠の外の体験を積むこと

正しいリーダーになるな、理念あるリーダーになれ。
自分の願い、missionを持ったリーダーになること。
仕事を通じて何をしたいのか。

コアな願いとリーダー
損得の壁、孤独の壁、アイデンティティの壁
損しても良い、嫌われてもいい、無価値でもいいと受け入れること、、
それでもコアを追い続けることで本当の自分自身になれる。

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2023年03月02日

Posted by ブクログ

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主人公の女性が自分らしいリーダーシップのあり方を模索して成長していく小説仕立てのリーダーシップ本。リーダーシップ入門としてわかりやすく、小説であることでさらっと入ってくるところも。
他人のことを「使える」「使えない」という人に出会うと心がモヤモヤしていましたが、この本によれば利己的段階という発達の低い段階ということで、そのように整理して心をおさめようと思った。

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2021年08月25日

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