あらすじ
時は昭和五十年代、八代目林家正蔵(のちの彦六)の住む長屋には、密かに難事件の相談が持ち込まれていた……。「やかん」「中村仲蔵」「伽羅の下駄」など、正蔵十八番の名作落語の数々が現実の事件と複雑に絡み合う。落語界の大看板にして名探偵・正蔵が謎に挑む、痛快無比の異色落語ミステリー第二弾!
〈目次〉より
エピローグ
第一話 黄金餅「殺人」事件
幕間
第二話 広い世間に
プロローグ
特別鼎談 父・林家正蔵の流儀(藤澤多加子・林家正雀・愛川晶)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
一作目も面白かったですが、今作の方がお気に入り度が高いです。
正蔵師匠が鮮やかに感じました。
一冊を通しての叙述トリック、バシッとハマった感じです。
巻末の鼎談も貴重だと思います。
「新聞記事」、聞いてみなくちゃなあ。
林家正蔵、大名跡だなあ!としみじみ思います。
Posted by ブクログ
落語家の桃寿亭龍鶴の周囲で起きた事件にまつわる謎を解くのは、なんと林家正蔵。
龍鶴の弟子、龍喜は、なぜかどの事件にも巻き込まれたり、目撃者となってしまう。
しかしその龍喜の話を聞くだけで、正蔵は殺人事件の真相も、東橋師匠襲撃事件も、見通してしまう。
その謎を解くカギは、やはり落語。
事件がやや陰惨なこと、ミステリーとしてはちょっと都合よく話が進みすぎではと思われなくはない。
ライトな落語ファンなので、「中村仲蔵」も「黄金餅」も知らなかった。
でも、知らなくても、それなりに楽しめる。
ミステリーとしてよりも、落語の話として楽しんだのかもしれない。
昭和五十年代の寄席の雰囲気ってこんなだったのかなあ、と想像しながら読むのは楽しかった。
そうか、まだ公衆電話と国電の時代なのね。
Posted by ブクログ
落語家の周囲で起こるミステリーを説き明かすのが、安楽椅子探偵ならぬ座布団探偵、八代目林家正蔵。
個人的には晩年の高座のイメージしかなく、読書前はピンとこなかったんだが
小金餅「殺人」事件。
雪の日に聞いたことのない「小金餅」を高座にかける師匠。師匠のお使いで出くわす死体。
落語家同士の会話も落語のオチが絡んでくる。どんな大変な状況も茶化さずにはいられない落語家の習性がジワジワ沁みてくる。
広い世界に。
中村仲蔵は仮名手本忠臣蔵にからむ人情噺。伽羅の下駄は珍品の1話。東橋師匠が暴漢に襲われる事件の謎解きに落語のネタが絡んでくる。最初の黄金餅にあった伏線も回収される。スッキリした気分で読み終えた。
正蔵(後、彦六)師匠の長女、藤澤多加子さんと正雀師匠、作家の対談が付録。先の三平師匠と正蔵師匠のエピソードなど貴重な話。
表紙の版画は架空の神楽坂倶楽部だろうか。ホントにあの街に在りそうな雰囲気。
Posted by ブクログ
落語の世界も、色々複雑なものがあるようで。
第2話は、そこが大きく事件に影を落としている。
親子・師弟関係が私の頭ではこんがらがったところも。
犯人の欲がやりきれない。
でも、2話とも古典落語に絡めた解決が提示されるのが
楽しい。
プロローグとエピローグのつながりには見事にして
やられた。こういう欺され方が好きなので、内心
にんまり。