【感想・ネタバレ】家賃のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 個人的に、この本のことが好きすぎて、もう何回読んだのかわからないんですけど、いい加減にボロボロになってきたので片付ける意味も込めて、区切りとして感想を書いておきます。

 中学教師の遼の車に潜んでいたのは、勤務先の学校を去年卒業したばかりの人気アイドル・望月和哉。
 和哉は、喫煙のスキャンダルを週刊誌に取られ、事務所をクビになってしまい行くところがないのだと言う。
 元々、和哉は母子家庭で育ったのだが、その母親が一昨年、恋人であった男と事故死し、後に残されたのは殆ど顔も見たことのない父親……という家族関係で、遼は念のために事務所にも和哉の父親にも連絡をとってみたけれど、事務所はクビだと言うし、既に新しい家庭を持っている父親は、和哉のことを「お荷物」だとしか思っていないのが丸わかりで、「教師」という仕事をしている遼はどちらにも和哉を連れて行くことさえ躊躇われて、そのまま和哉を居着かせることになる。
 けれど、仮にも居候だというのに、和哉の態度はでかいもので、勝手にエアコンは付けるは、食器は片付けない、物は散らかしっぱなし……とお世辞にも褒められた態度ではなかった。
 ついつい「将来どうするんだ?」と教師らしく尋ねてしまうけれど、「今が良ければいい」と和哉はにべもない返事。
 そんな和哉は遼が何かを言う度に「身体で払う」と言ってきて、所詮、和哉のことを元教え子としか見てなかった遼は適当にあしらっていたけれど……。
 ある日、和哉がいきなり「カレーを作る」と言い出して、遼は早く帰るつもりが、早く帰れなくなって、ようやく自宅に着いた時にはすっかり和哉はいじけてしまっていて、そんな和哉をいじましく思う気持ちが目覚め始める……。

 というような話でした。
 実は遼と和哉の間には、和哉の学生時代に2回ほど接触するシーンがあって、その2回目は和哉がちょうど母親を亡くした直後で泣いていたことも合って、和哉の求めに応じて、遼が和哉にそっと口付けてしまっていて、そのことが原因で和哉に脅されて仕方なく部屋に置いている……という設定もあったりもするんですが……。

 なんというか、和哉の帰る場所のない虚しさって私にはとっても身に覚えのある虚しさで、だからこそこの優しい物語を私は大好きになってしまいました。
 遼は基本的に正直な人なので、嘘は吐かない。
 一度大切にする、と決めた物はきちんと大事にするタイプで、すっごく真っ当に育った真っ当な大人。
 誰にでもきちんと誠実に接するから、和哉としては焼きもちを焼いたりすることもあるけれど、それでも最後には和哉を優先してくれる。甘やかし上手。

 全てが遼視点での物語なので、なかなか和哉の本当の気持ちをしるチャンスってなかなかないんですけど、つい遼がキレてしまって和哉を最後まで抱いた後に、和哉が自分の気持ちをぶちまけるシーンがあって。
 その時に言った和哉の告白のセリフも胸が苦しくなるくらいに、共感できるもので……泣けました。胸がギュッとなりました。

 なんとなく、自分の落ち着くべきところ……というのか、最後にすがれるもののない人にはとっても効く話だと思います。
 優しくて、甘くて、ちょっとギュッとする話で、私は大好きです。

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2018年01月30日

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