【感想・ネタバレ】レイジのレビュー

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呪いの呪い

前作「ドクムシ」があるため先にそちらを読むことを推奨します。
前作の地続きではあるけど単純な続編ではなく(言うなれば同一世界の別の話)、前作ラストを踏まえて「レイジやミチカがどうなったのか」を期待して読めば肩透かしを喰らいますし、単品で読んでも前作からの引き継ぎが多く楽しみにくいと思います。
作も前作と同じくエログロです。正直この方のエロやグロは読んでてもそんなに臨場感というか、鬼気迫る感じがない、のぺっとしたものです。この作者の方が書く文章だと、「ドクムシ」同様中盤以降に出てくる肉体的精神的に追い詰められてろくなことを考えられてない人間の散らかった思考描写がそれっぽさがあって好きです。

タイトルの「レイジ」の意味は作中で説明されていませんが、本作で撒かれた狂気の根本が前作とは異なり、ドクムシ(蠱毒)によるものではなくレイジによるものということかもしれません。前作の結末が違えばこの本で書かれた全ては何も起こらなかったという意味では本作は、どうしようもなく前作の続きで、コドクが産んだレイジの呪いの産物と言えます。
そんなレイジの呪いに呪われて集まった参加者は、レイジの呪いに導かれて殺し合いを始めます。デスゲームものなので登場人物は減っていくし、生き残った面々にも次々視点が任されるので、ある程度読めば自然と黒幕を絞り込めます(たぶん作者の方も意図的にそうしている)。
謎解き種明かしシーンの後の生き残った二人のやり取りが好きで、かつ前作「ドクムシ」よりも黒幕・動機共に腑に落ちるネタばらしだったので、その分前作よりも楽しめました。オチも作中の内容を踏まえて読むとやりきった感というか、清々しささえ感じるものでした。
続き物として肩透かしでも、単品では楽しみにくくとも、前作「ドクムシ」を踏まえた上でそれをしっかり超えた作品だと思います。

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2020年03月04日

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