あらすじ
鉄塔の上に、男の子が座ってる――
鉄塔マニアの地味な伊達(だて)は中学3年生の夏休みをダラダラすごしていた。
しかし登校日の学校で、破天荒な同級生、帆月蒼唯(ほづきあおい)から「鉄塔のうえに男の子が座っている」と声をかけられる。
次の日から幽霊が見えると噂される比奈山(ひなやま)も巻き込み、鉄塔の上に座るという男の子の謎を解き明かそうとするのだが――。
爽やかに描かれるひと夏の青春鉄塔小説!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夏休みの3人の小学生の話。掛け合いが物凄く微笑ましく、夏の情景や雰囲気がこれでもかという程味わえる。そして、終盤には壮大な展開に。キャラもみんな好きだし、帯に書いてある通りこんな夏休みを送りたかった!と心の底から思った。切なさもあり、今でも鉄塔を見ると思い出して浸ってしまう。
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鉄塔を見上げるようになりました。
鉄塔が趣味、工事現場が趣味。自分の知らない世界はまだまだあるんだなって犇々と感じました。見渡したらたくさんの鉄塔があるのに、この本を読むまで全く意識せず、町に溶け込んでいて、びっくり。少数派な趣味を持ってる伊達くんのすこし卑屈だけど、楽しそうに趣味について語る姿が想像できました。
夏休みって不思議なことが起きるような気がする。そう思い出させてくれるような物語。帆月が忘れられたくないと願うように、人との関係を大切にできたらいいな。そして、忘れられないようにって思えるような人と過ごせたらいいな。
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【一言感想】
正しい記憶は受け継がれにくいけど、共有出来れば存在が消えることはない
生活や環境の変化で、離れてしまった場所や人物は姿•形が変わったとしても、そこにあったという"存在"自体が無くなった訳では無いけれども、人の記憶が曖昧となってしまい、本来の正しい内容から無意識的に記憶が改竄されてしまい、更に少しずつ記憶が薄れていくことで元々の"存在"自体も無くなってしまう
どんなにわかりやすい記録や資料を揃えたとしても、結局当事者以外は正しい記憶は受け継がれにくく情報も改竄されて周囲に拡散され、徐々に記憶自体も失われていく事で元々の"存在"は無くなっていくのはしょうがないけれども、一人でも正しい記憶を共有してくれる人がいるのであれば、離れて時間や場所が変わったとしても、元の"存在"は消える事なく残り続けるのだと思いました まる
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青春と言えばやっぱり夏ですね。中学最後の夏の爽やかな青春物語は、還暦過ぎたおじさんが読む本ではないのかもしれないけど、私は読んで良かったです。
この本を読んで、蘇った記憶があります。高校生だった夏のある日、彼女を自転車の後ろに乗せて二人乗りしたことが一度だけあるのですが、彼女はセーラー服でスカートだったので、荷台に横すわりで乗ってました。横すわりだと不安定なので支えるために私の腰に手を回せば大丈夫なんでしょうけど、なにぶん純な二人でしたので、彼女は私のシャツの後ろをギュッと握って耐えていました。その微笑ましいワンシーンが急に思い出されてノスタルジックな気分になりました。その時の彼女は今はどうしてるのかなぁ。幸せに暮らしていることを祈ります。
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冴えない中学生だけど、鉄塔マニアの伊達
破天荒な中学生の帆月
幽霊が見える比奈山
鉄塔の幽霊をきっかけに、結びついた3人
白いキャンパスいっぱいの中学生活なんて、軽く考えていましたが、自分の力では、どうしようもないことが理不尽にのしかかってくる。
それでも、少年や少女たちの成長には、冒険は欠かせないと思うと、羨ましくも思えてしまう。
伊達と帆月の友達以上、恋人未満の関係も、またどこかで描いてもらいたい。
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天真爛漫で破天荒な「帆月」、幽霊が見えるという冷静沈着な「比奈山」、特別なものは持っていない平凡な主人公の「僕」の3人が、鉄塔の上にぼんやりと座る和装の少年の謎を解き明かすために奮闘する青春ファンタジー小説。
3人の冒険は少年時代特有のドキドキハラハラが満載で、それぞれが自分の性格や価値観を発揮し合いながら少しずつ前に進んでいく。
登場人物たちは皆一人ひとりどこか葛藤を抱えており、後ろ向きになってしまう少年少女たちの壊れやすい心情は、とても繊細に丁寧に描かれる。
それでも目の前にある壁を乗り越えようと、時にぶつかりながら、時に協力しながら、時に慎重に、時に大胆に行動を起こしていく。
そんな3人の冒険は、夏の爽やかさとまどろみの中で不思議な世界へと向かってくこととなる…。
ゾクゾクする感覚あり、青春のドキドキあり、さっぱりとした読後感あり。
とてもいい小説です。
Posted by ブクログ
甘酸っぱい青春小説
鉄塔というニッチなジャンルに組みしつつも、中身は王道の青春ファンタジー。
中高生から大人まで幅広く楽しんで読めると思う、なんとなく中学生時代を思い返して読んだ。
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ひと夏の青春物語。ひと夏の冒険物語。子供の頃はただ淡々と過ごしていた夏休みだけどあの頃の情景が思い浮かぶ。3人の掛け合いが学生らしく心地良かった。
結果は大事だけど過程が大事なのは本当それだなと思った。明比古は結局何者だったんだろう。
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★★★★。
表紙を見て思わず手に取った小説。こういう、ひと夏の思い出系の物語好きなんだよなぁ……。夏に読めばまた違った感想だったのかもしれないけど、真冬に読んでも非常に面白かった。何より読み味が爽やかだし、鳥人間コンテストを彷彿とさせる某シーンは胸が熱くなりました。夏休みっていいよな。
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4.0/5.0
中学3年生の一夏の不思議な体験を切り取った青春小説。
自分の中学生時代を思い出さずにはいられない甘酸っぱい冒険譚。
8月に読むことで更に良い読書体験に!
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鉄塔好きの伊達くんが、破天荒ガールに誘われて鉄塔の上に立ってる人影の謎を解く、中学3年の夏休みのお話
伊達くんはじめ3人の成長もあり、ちょっと恋が始まってる感じもありの冒険小説だった
忘れられたら死んじゃうのと同じ、だからみんなの記憶に残るために何かを残したいって帆月の信念がすごい切ないけど響いた
鉄塔、たまに紅白のあるなーなんかサイズ違うのあるなーとは思ってたけど、頭の形とか碍子の形とかそんなに種類があるとは。
ねえあきひこの正体って書いてあったっけ??
くぬぎひことは別人だよね?
建て替えされる鉄塔のつくもがみかと思って読んでたけど、まじで色白な人間だった…?
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三人称の鉄塔さんの作品と知って読んでみた。
中学生たちの夏休み、不思議なものと出会い、冒険をして、少し成長するお話。
読みやすい文体でリズムが良く、スイスイ読めた。読後感も優しい。デビュー作も読んでみよう。
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今年の夏に読もうと思って、去年の冬に買っていた本。
想像以上に読み応えがあった。
自分の子どもの頃の夏休みを思い出したり、ノスタルジーな気持ちに浸ることができた。
一貫して重たくなくて、とても爽やかな文章が夏らしくてよかった。
Posted by ブクログ
こんな夏休みを過ごしたかったな〜と感じる爽やかで、ちょっと切ない、それでいて勇気をもらえる一冊でした!
ホヅキが天真爛漫はちゃめちゃで何がしたいの?イライラする〜(短気)って感じでしたが、物語が進むにつれて謎が解けて行くと、まぁ納得と言いますか。
忘れられることは死ぬことと同じ。
忘れることは、殺すことと同じなのか。
忘れられることも怖いけど、私は忘れることの方が怖いなと感じました。
そしてこの本は、私がとっっっても大好きな三人称というゲーム実況グループで、鉄塔さんというお名前でご活躍されてる著者の賽助さん。
普段カラスの鳴き声をあげてるあの鉄塔さんか?と疑いたくなるような(笑)
ですが、言葉の端々や言い回し、主人公のセリフや考え方に鉄塔さんみを感じ、なんだか不思議な気持ちで読み進め終えました!
あと、描写がおどろくほど鮮明に目に浮かぶ!手を振るではなくて、大きく手が千切れんばかりに振っているみたいな(笑)語彙力(笑)
情景が丁寧に描かれてるので、表現には好き嫌いが分かれそうな気はしましたが、個人的には映像として風景が浮かんでくるようでとても好きでした!
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和風ファンタジージュブナイル。
3人の少年少女が夏休みに一つの謎を追います。
主人公の成長やヒロインの奇行の動機、その後の行動など、物語全体に筋が通っている感じが良い。
一方、主人公とヒロインがスポットを強く浴びており、「3人組」としての物語には成り切らなかった印象があり、惜しい。
物語中の「謎」の中心でもあり、その特性がヒロインの悩みを軽くした「鉄塔」の使い方も非常に上手く、
面白い作品でした。
Posted by ブクログ
最初の一行目が衝撃すぎて、ミステリー小説かと思った。
テーマがマニアックで、鉄塔をちゃんと見たことないからいろんな種類があるんだと少し上を見るようになった。
神社のシーンは、話としては怖いシーンだったようだけど、なんだか先がわからなくてドキドキした。
Posted by ブクログ
いわゆるボーイ・ミーツ・ガール。
でも、良い小説だと思う。
ただ、女性ウケはしないかもしれない。ヒロインは男の子の妄想の産物といったキャラクター設定なので。中高生は細かい事を気にせず楽しめると思う。
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中学生の時に読みたかった。ありそうなストーリーだけど、鉄塔というスパイスが加わっているのでよい。
鉄塔に座っている着物の子どもというファンタジーから始まり、スクールカースト的なので悩んだり、ちょっと変わった女の子とのひと夏の初恋だったり、お祭りで紛れ込んだ怪しい面の男たちだったり、夕焼けの妖怪のパレードだったり、空飛ぶ自転車だったりと2時間アニメ映画にとても向いてそうな物語。ヒロインが焦っている理由が病気じゃなくて良かった。
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こんな夏休みを過ごしたかった。引っ越したため幼なじみもおらず、電車通学をしていたから、友だちと近所の公園で会うなんていうことはおとぎ話でした。
パレードの場面は「ぽんぽこ」や「パプリカ」を思い出しました。アニメと相性がよさそう。
Posted by ブクログ
以前読んだ、スキマワラシと似た雰囲気を感じた。日本の時代の流れによって忘れ去られていくものの潔さ、美しさ。どちらにも共通している気がした。
ただ、短編において、ある事件の謎が解決しきれていないのにモヤモヤ。ぼんやりとした推測で終わってしまった。椚彦の正体も分からなかった。
想像に任せているのかもしれないが、読後スッキリとはいかず。
あと、これだけは言いたい。
明比古はなんなんだ!!
白い肌に見覚えがあるんじゃなかったのか!
誤字脱字も少々気になるところ。
細かい部分でもないのだし、そういうところまで配慮が行き届いて欲しい。
淡い恋模様が初々しくて可愛い。
ただ、そこを敢えて深掘りしないのが良かった。あっさりと、さっぱりと読めた。
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青春だね!
夏は暑いし、プールは人がいっぱい、セミがうるさくて、空が濃い青色だったことを思い出した。
「僕はマナーを守らないのにファンだって公言してる奴が嫌いなんだ。好きだからこそ、そういうことは守らなきゃ。」
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ファンタジックな青春小説。
中高生のひたむきな姿はいつの時代も眩しい。その時代を数十年も過ぎた今となっては益々煌めいて見える。例えそれが鉄塔オタクであっても、屋上から自転車で飛ぼうとする変わった女子高生であってもだ。
ところで最近の青春小説の流行なのか、それとも世の中を反映しているのか、この手の作品では主人公の女子が活発で行動力があるが少し言動が突飛なところがある(おまけに美人)、というキャラクターが定番化しているように感じる(例えば「成瀬は天下を取りにいく」のような)。男子が草食系になっている反動というか憧れなのだろうか。
本作は鉄塔オタクの男子とトンデモ女子のほんわかした前半部分と、ジブリ映画のようなファンタジーが進行する後半部分で構成された爽やかな作品。たまにこういう作品を読むと自分の血液もきれいになった気がするから不思議だ。
Posted by ブクログ
小学生の夏休みを思い出すような青春小説。
木島とプールに行く場面やただベンチでぼーっとしている時間などは特にあの頃の夏を感じられる。
特にすることもないが公園に集まっていたことを思い出した。
伊達の帆月に対する恋心は、思いきれない部分も含めて応援したくなってしまう。
情景を思い浮かべるのは楽しかったが物語は呆気なく終わってしまう感じがあった。
明比古が鉄塔の子供だったりするのかと思ったがそんなことはなかった。
帆月の「やってみて初めて"ああ、これは意味なかっな"って分かるんだから」という文章が心に残り、何事もまずはやってみようと思うようになった。
Posted by ブクログ
単純な青春小説かと思いきや、途中から話の展開が変わってきて、ホラー?ファンタジーになってきた。そのあたりから、少しだけ気持ちが離れていったが、全体的に友情をメインに話が展開されているのがよかった。
なんとなく雰囲気は、恒川光太郎の『夜市』が思い出された気がした。
Posted by ブクログ
鉄塔の上に、男の子が座ってる—興味をそそるあらすじと、表紙の季節感、タイトルの雰囲気が良い青春小説。鉄塔という、無骨でニッチなものにスポットを当てつつ、そこに夏と不思議な現象という要素を組み合わせてひと夏の青春を描いている。夏祭り、神様といった要素によってすごく日本の夏を感じられる。鉄塔も季節で言うと夏のイメージがあるけど、青い空と雲がセットで映るからだろうか。話の中で、鉄塔が先に先に繋がっているということが何度か触れられる。これだけ言われると、今後外出した際に鉄塔を目で追ってしまいそうだなあと思う。
結局、この不思議な現象についてすべて説明がなされたわけではないけど、不思議は不思議のままにしておくっていうのも趣深い。荒川に物たちが飛び込んでいった場面も、大切にされた物が大往生しているのかと思った。帆月が自身の経験から「忘れられたくない」という思いを強く持っていたけど、新しい楽しみや幸せな記憶が増えていくほど、押し出されるように忘れられてしまうこともある。でもそれが悪いことではないんだと感じた。日本の仏教では法事の間隔が長くなっていくけど、それと同じなのかなと思う。前を向いて生きていれば自然と過去の記憶は薄れてしまうもの。
自転車関係の展開がなんかはまらなかったけど、感じ入るものは多い小説だった。
Posted by ブクログ
鉄塔の上に見える不可思議な少年?を追いかける中学生最後の夏休み。
SF感があって途中混乱してよくわからなくなる。
けれど夏、空、そこに建つ鉄塔。中学生特有の甘酸っぱさとドキドキ感。爽やかで良い読後感。
忘れられない一夏の冒険譚。鉄塔巡りが楽しそうだ♪
Posted by ブクログ
いかにも夏っぽい表紙に惹かれて購入。タイトルもなかなかいい感じだと思う。作者さんの作品ははじめましてで、正直あまり期待していなかったけれどなかなか楽しんで読むことができた。
展開が地味になりがちな小説というジャンルにおいて、アニメ「天気の子」を彷彿とさせるようなダイナミックな展開がよかったし、鉄塔マニアの中学生の男の子の淡い恋模様がいかにも青春という感じでとてもよい。
作中内で「「どれだけ離れていても、鉄塔を辿っていけば君に会える」的なセリフがあるのだけど、鉄塔という要素と恋という要素をこうやって組み合わせるのは上手だなと思った。
学生が読んでも楽しめるけど、すさんだ心を持つ大人の人が楽しめる作品ではないかと思った。
というわけで☆三つ。
Posted by ブクログ
中高生の夏休み読書に読んでもらいたい!
40歳の超えたおばさんの私自身、読んでいて、懐かしさもあり爽快感ありで読みやすい。
『鉄塔』にフォーカスというのが変わり種。確かにね。ウチの近くに大きな鉄塔あるけど、この先にどこにつながるのか大人ながらに思ったりして。
こういうファンタジーストーリーは、新海誠先生の本が好きな人は、これもアリかも。