あらすじ
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パリの花界で、ジョルジュ・フランソワ氏のことを知らない人はいないのではないでしょうか。
著者は、1942年生まれ。花屋を始めて、約50年。
80歳を前に、いまだ最前線でブーケを束ねる著者のことを、周りの人々は敬意をこめて「ムッシュ」と呼びます――
そんなムッシュは、常にフラワーデザインの流行を牽引してきました。
現在活躍している国内外のフローリストたちも、独立前に彼の元で働いていたケースは数知れません。
かつて馬車に乗って、大統領の使いがブーケを買いに来ていたこと。
一流メゾンとこなしてきた数々の仕事。
華やかな経歴はもちろん、彼の職人気質で、真摯に手仕事に向かう姿勢は多くの顧客の心を掴み、離しません。
彼流の、ブーケとアレンジメントの基本の作り方から、応用まで。
花文化を生き様で伝える、ジョルジュ75年のパリでの歩みとともに、美しいビジュアルで紹介します。
写真は、『家庭画報』(世界文化社)、『ベストフラワーアレンジメント』(フォーシーズンスプレス)などで活躍する、武田正彦氏の撮り下ろし。
編集には、『花1本からはじめる基本のフラワーアレンジ』(成美堂出版)などの著書を持つ森美保氏が携わりました。
彼のレッスンを受けたいけれども、フランスまで行くのは…という方もぜひ本書で、ジョルジュの哲学を読み取っていただければ幸いです。
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Posted by ブクログ
フランスを代表するフローリスト、ジョルジュ・フランソワ。1942年パリ生まれ。パリ、モンパルナスにブティックを持っている。「枯れることのない発想、精力的な創作意欲、確固たる作品の世界観」というフローリストにかかせない資質を持つ。
活けられた花を見ながら、「色彩の深み」を感じる。花は立体的であるがゆえに、光と影がありそれをうまくとらえる。花と葉の色に対する配置の巧みさ。背景にマッチさせ、花瓶の選び方のセンス、つまりコンポジションのよさ。空間の中に花の美を作り上げる。
フランス人の持つはっきりとした色彩ではなく、日本人が好むようなパステルや野の自然が組み合わさって、温かみと優しさが感じられる。東信のドギツイ、アートとしての花ではない。
シャンペトルスタイル。野原に咲いた花を無秩序に投げ入れるやり方をさらに洗練させる。すみれとかシクラメンを花材として選ぶ。フランスの人たちは、花に香りを求めるという。バレンタインは、香りのあるバラを選び、5月1日はスズランの花を贈る。母の日には、ローズジャルダン、香りの強いガーデンローズと香りのある芍薬をおくる。クリスマスには、エッセンシャルオイルに使われるもみの木を。花とは、香りで楽しみ、目で楽しむ。
ジョルジュ・フランソワは、葉物、グリーンをうまく使う。ボケやスモモ、ツタ、ハゴロモジャスミン、ジャポネスクな花の枝を使い、グリーンでドラマチックな動的な演出をする。フランスでは、フィヤージュ、つまり葉っぱ屋さんの専門店がある。グリーンがあって花は成り立つ。
一番感心したのは、ポタジュのコンポジションだ。ポタジュとは、野菜畑の意味。ニンジン、ネギ、アカダイコン、カリフラワーを素材として使う。野菜を組み合わせることで、花の持つ力を感じさせる。おもしろい。野菜は、食べるだけでなく、飾ることもできるのだ。花は心のご馳走だと思ったが、その中に野菜やフルーツが入ってもいいなぁ。自然をいけるとは、そういう世界を作り上げることだ。高田賢三の家でいける花も素敵だ。
ジョルジュ・フランソワの花を見ながら、日本テイストが入っているので、なぜだろうと思ったら、奥さんが八王子出身の日本人だという。なるほど、納得した。