あらすじ
いま最も注目されている宮内悠介が、時の流れをこえて、この世界の真実に迫る!
芥川賞候補作品。
いまの東京に重なって、あの戦争が見えてしまう――。
茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のちゃぶ台に、曾祖父がいた。
その家には、まだ少女だった祖母もいる。
昭和十九年の戦時下が、2019年の日常と重なっているのだ。
大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている主人公に、昭和二十年三月十日の下町空襲が迫っている。
少女のおかあさんである曾祖母は、もうすぐ焼け死んでしまうのだ。
わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、落ち着かない心持ちで、そのときを待っている……。
表題作「ディレイ・エフェクト」の他、「空蝉」と「阿呆神社」を収録した驚愕の短篇集。
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Posted by ブクログ
読後感は良い。
たくさんのメッセージが詰められていた。空襲の現場を子供に見せるのは教育としてでも良くないとか、共同体では話し合うことが大事とか。
真木の存在は不思議な安心感があった。趣味が同じ他人が自分に興味を持って近づいてくる嬉しさ。書棚を見て「やっぱりニーチェあるじゃん」みたいな。
あと、ディレイ・エフェクトが起きた時に、社会にどういう影響があるかっていうのの描写の細かさ、良かった。動物園では戦時中に殺処分がされたらしいけど、時系列的にその出来事より後の出来事が再生されてるから、動物たちが殺処分をみて動揺することはないから安心、とか。