【感想・ネタバレ】統計データが語る 日本人の大きな誤解のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年02月01日

良書。
結局生の統計データに触れない者からすると、メディア等で紹介されるものを、メディアの解釈を含めて受け取り、それをどう解釈するかということになる。
そのとき、どんな意図や誤解や誘導があるかを注意深く見極める必要がある。
そのためのいくつかのツールを手に入れることができた。

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Posted by ブクログ 2019年09月22日

硬すぎず、柔らか過ぎず、なるほどなーと考えさせる内容。あらゆるメディアで数値やグラフを見る場合、データ提供側の意図を見抜くのにも役立ちそう。

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Posted by ブクログ 2014年05月15日

新聞をみると毎日のように日本に関する様々なニュースがデータとともに報道されていますが、そのデータが表現されたグラフは基本的にはその記事の主張をサポートするものです。つまり、書き手によって不都合なデータは載せられることはありません。

ある出来事を私なりに理解するためには、それらのデータをより長いスパ...続きを読むンで見てみる、また比較対象をできる限り多くして、その中での日本の位置づけを見ることが大事だと思います。

この本では様々な内容がデータとともに示されていて、いわゆる通説と本当の姿はどの程度異なっているかが示されています。更に最終章では、誤解をしないための「正しい統計データの使い方」についても解説されています。

これらを参考にして、テレビや新聞の報道内容を自分なりに咀嚼して将来に活かしていきたいと思いました。

この本には実際のデータを基に描かれた数多くの図表があります。一番楽しいと思ったのは、日本の各都道府県の経済規模が、どの国と同レベルかを表現した図(p26)でした。これによれば、東京=香港、大阪=イラン、名古屋=南アフリカ、北海道=チリ等です。

この本の最終章の最後に、この本の結論として、統計データから見る日本の姿が次のように記されています。これを見る限り、日本は素晴らしいです!

・統計データで明らかにした日本社会の本当の姿は、失業率はどんどん高まっているわけではなく、日本の経済力は高く、技術力も世界と比較して向上し続けている。経済格差も貧困も拡大しておらず、日本は国際的には平等社会を維持している。世界一の「小さな政府」が効率的に機能、高齢化の割には、医療費は低く抑えられている。その中で食べすぎや肥満に陥らず、世界一の平均寿命を達成し、女性はいきいきと美しく暮らしている(p311)

以下は気になったポイントです。

・科学技術研究調査における技術の輸出入(外国間におけるパテント等の技術の提供・受入れに伴う対価の受入れと支払い)は、1996年ごろから受け取りのほうが多い。ただし業界(エレクトロニクスと自動車)では状況は異なる。刷り合せ型技術が強く、モジュール型技術は弱体化している(p30,31、35)

・特許出願件数(PCT国際出願)で見れば、東京がシリコンバレーを凌駕して一位(p37)

・総務省の行っている家計調査データの長期間のデータ(1960年から)によれば、所得格差は小さくなっている。しかし、二人以上の世帯の集計で、近年増加している高齢単身世帯を含んでいない、厚生労働省の国民生活基礎調査(1985年から、全世帯)によれば年々格差は大きくなっている(p47)

・実質所得の推移を見れば、高所得者層の平均所得が大きく低下したのに対して、低所得者の所得低下には歯止めがかかっていたことがわかる(p51)

・大金持ち(上位1%)の所得拡大を長期間(1900年から)で見ると、日本とフランスは戦後はほとんど10%程度で横ばい、戦前の日本は世界一(p54)

・日本において所得格差が戦後で縮まったのは、戦時統制・新円切替・財閥解体・農地改革、といった戦中終戦直後の特別措置による(p57)

・生活必需品を買えないほどの貧困層がいるかどうかの比較では、日本は5%以下で他国比較でとても低い(p59)

・急激な公共事業の拡大は、1990年頃から起きている。日米構造会議による公約で、1991年から10年間で430兆円、1995年から13年間で630兆円という計画が作られた。(p79)

・日本の場合、一般政府総固定資本形成対GDP比率が高いのは、災害が多いことや、日本の都市は人口密度の低い市街地が拡大するスプロール化が進んでいるため(p85)

・1945年からの自殺統計でみると、総数は増えているが、自殺率では1955年あたりと同レベル、標準化自殺率(10万人あたり、年齢構造同一)でみると高度経済成長期と同レベル(p136,144)

・日本人のカロリー摂取は、1996年に2670Kcalを記録して、2009年は2439Kcalであり低下傾向にある。1960年のアメリカよりも低い(p161)

・肉や油を使わない料理は、味覚としては物足りないところがあったので、うまみ食品を日本は必死に開発した。中国から伝来した大豆を使った発酵食品としての、醤油・味噌および、昆布、鰹節、きのこを使った「だし」の文化である。味覚神経を通じて感知される味として、塩味・甘味・酸味・苦味の基本4味にくわえて、「うま味」がある(p175)

・江戸時代以降、全国各地で各種のスシ(巻きずし、棒すし、ちらしずし、いなり寿司等)が開発されたが、基本的には、明治から大正にかけては「関東の握り、関西の箱すし」という状況が続いていた(p181)

・江戸時代の握りずしは、超高級すし料亭と、路上の屋台店の両方があった。料亭型すし屋は、屋台ブームを取り入れて店内に屋台スペースをつくり、現代のカウンター方式のすし屋へと発展した。回転寿司は、握りずし発祥の屋台方式の現代的再現である(p185)

・米国は医療費の割りに平均寿命が低く、医療のパフォーマンスは悪い(p204)

・戦後50年の体格の変化では、男は各年齢も太る方向、女性は20代はどんどんやせている、30代以降になると太るが1970年以降はどの年代もやせてきている(p209)

・スリム化して体の切れもよく、おしゃれをして、きれいになり、笑顔で楽しく暮らしながら、男子の不甲斐なさを笑うかのように世界でも活躍の目立ってきている日本女子は、鬱屈して太り、大した成果も上げられない日本男子としては別の生き物かもしれない(p268)

・見せかけのデータに惑わされないようにするためには、常識を働かせ、作成者の意図を見抜きながら、指標やグラフに過度の強調などあやしいデータ表示や加工がないかを疑い、また、統計上使われる用語の定義をしっかりと確認する。原資料の性質に思いをはせることも大事(p278)

・1系列に近いシンプルな統計データを使ったランキングほど信頼でき、逆に、複雑な組み合わせで作成された総合指標によるランキングほど、実態とかけ離れる傾向がある。後者の場合は、統計データの選択やウェイト付けで作成者の主観が入る余地が大きい(p279)

・国際比較の場合、人口が急増した場合は、時系列比較でも、対人口比で分析しないと正しい理解が出来ないケースが生じる。日本のデータでも長期推移を分析する場合は、実数ではなく対人口比で比較する必要がある(p284)

2014年5月15日作成

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Posted by ブクログ 2014年05月11日

統計データをどう読むか、都合のいいところだけを取り出してダマされないように、自分の頭で考えることが肝心だ。「正しい対策は正しい現状認識からしか生まれない」は心に刻むべき言葉。

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Posted by ブクログ 2014年03月13日

■結論 失業率は高まっているわけではなく、日本の経済力は強く、技術力も世界と比較して向上し続けている。経済格差も貧困も拡大しておらず、相変わらず日本は国際的には平等社会を維持している。世界一の「小さな政府」が効率的に機能しており、高齢化の割に医療費は低く抑えられている。食べ過ぎや肥満に陥らず、世界一...続きを読むの平均寿命を達成、女性は生き生きと美しく暮らしている。

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Posted by ブクログ 2014年08月21日

データって本当に怖い。悪意で集計結果が思考誘導するツール早変わりするからなぁ。
読んでみて、いろいろ面白かった。
なんとなく通説のように感じているものが、データを検証することで違っている、という指摘が主題だと認識して読み進めたけれど、やっぱり結構認識違いが多いと思った。
日頃接している情報をデータで...続きを読む裏付けているのか?、バイアスがかかっていないか?といった観点で確認する意識がまだまだ足りないなあ、と改めて思う。

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Posted by ブクログ 2013年11月26日

日本人は世界的に見て、鬱な人が多いは、本当か?格差は本当に拡がっているのかと言うことを、データで反論した本。

日本の都道府県が、世界のどこの国とGDPが同じなのかと言う例が面白かったです。韓国脅威論の声も聞きますが、東京都ひとつのそれに過ぎないとか。ただ、東京に富が集中していると言う実態を現してい...続きを読むるなと思ったり。

男の人より、女の人の方が幸福度が高いと言うのも頷ける。日本人は仕事に対してストレスを感じていないは、一部の人に仕事が集中している様な気もしますが、平均だとそれほどでもないのかと。

面白いデータが多く、楽しく読めました。

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Posted by ブクログ 2021年02月09日

著者はウェブサイト社会実情データ図録を開設している方。本書では、様々な統計を人口比や年齢調整などの比較可能な形でデータを提供し、丁寧な分析をしているが、解釈にはまだ議論が残る部分も感じた。

日本の相対的貧困率は14.9%(2005年)で、OECDではアメリカに次いで2番目に高い。長期的にも上昇して...続きを読むいる。日本は年齢別の賃金格差が大きく、年金収入のみの低所得高齢者が増えていることが原因であるとしている。ただ、年齢別や世帯数別のデータがないため、分析が不十分との印象が残る。上位1%の高額所得者の所得シェアは、1980年代後半以降の欧米各国の上昇率の高さが目立つが、日本でも2000年頃から少しずつ上昇しているように見える。

国民経済計算(SNA)の定義の一般政府には、地方政府、教育、社会保障基金も含む。日本の一般政府の公務員数は5.3%(2005年)でOECDで最も少ない。日本では教師当たりの生徒数が多いと言われるため、教育機関の職員数が少ないことが多少なりとも影響しているのではないかとの疑問が残った。

日本の公共事業のGDP比は、日米構造協議で1991年度から10年間で総額430兆円を公約したため、1980年代後半の4%台から6%前後に増えた。2011年は3.1%となり、OECD34か国中14位。ただし、削減されたのは地方政府の公共事業で、国の公共事業はほぼ横ばいを続けている。

日本の週当たりの労働時間が49時間以上の労働者は23.1%(2010年)で、OECDでは韓国に次いで2位。1980年代までは、オイルショックの時期を除いて30%台後半で推移していたが、土曜日の休日化や祝祭日の増加によって1990年代には20%台後半に、2008年以降は20%台前半に減少している。著者は、睡眠時間が減少している理由を身の回りの用事が増えていることと関連づけているが、仕事の時間とほぼ並行して減少していることから、仕事の疲れを癒すのに必要な時間が減っているとも解釈できるように思う。

日本の自殺率は、OECDでは韓国、ハンガリーに次いで3番目に高い(2010年)。日本の自殺者数は、終戦から1958年まで、1983~1986年、1998年以降の3回急増した時期がある。人口当たりの自殺率は、1998年以降、1950年代後半と同水準で推移している。年齢を調整した標準化死亡率では、高度成長期やバブル景気の1990年代前半に減少しているが、1998年以降は1970年代と同水準。年齢別では、75歳以上、65~74歳が戦後一貫して減少しているが、55~64歳は1980年頃以降、45~54歳と35~44歳は1960年代後半以降、25~34歳と15~24歳は1990年頃以降、それぞれ上昇に転じている。男女別では、男が景気とともに変動が大きく1960年代後半以降上昇傾向にあるが、女は小さく長期的には減少している。著者は自殺率は増えていないと結論付けているが、女性では減少している一方、男性では明らかに増加していることから、楽観視せずに社会的対策は必要と思う。

日本の他殺による死亡者数は、1955年の2119人以降減少し、2012年には383人になった。人口10万人当たりの他殺率は0.5人で、世界の中でも最も少ない。他殺による死亡者数が少ないことは喜ばしいことだが、自殺者数が多いのは社会のあり方を問い直したくなる事実だ。

<社会実情データ図録>
相対的貧困率
労働時間の長期推移
長時間労働者比率
自殺は本当に増えているのか
自殺率の国際比較
他殺による死亡者数

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Posted by ブクログ 2015年06月14日

統計データから、自殺は増えていない、日本人は疲れにくい、日本の政府は小さな政府である、一時期と比べ公共事業は大きく減った、経済格差は広がっていない、などの事実を示す。

どのデータを使うか、どの数値を使うか、どう解釈するか、まだまだ奥が深いです。

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Posted by ブクログ 2014年09月18日

いろんな思い込みが統計によってくつがえるのはなかなかに心地よい。
出典もきっちり明示しているし、基本的には信頼できる良書なのだと思う。
ただ、ところどころ首をかしげるところがあるのも確か。
たとえば、ただのアンケートを無批判に使ってたり。「疲れますか」みたいな質問って、国によってどんな状態をイメージ...続きを読むするのかは違うと思うんだよね。そのあたりの補正はちゃんとしているのかは気になる。

とは言え冒頭に書いたように、基本的には面白い。統計本は、だからやめられない。

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Posted by ブクログ 2014年03月22日

日本は本当に公務員天国なのか、経済格差は拡大しているのか、仕事は本当に多忙でストレスが多いのか?著者は統計データ上はそれがいずれも間違いであると主張する。
日本人の睡眠時間減少はむしろ趣味・娯楽に時間を割くため!そして女性の化粧時間も!また世界各国に比べた自殺率の低さも意外なデータである。統計学の結...続きを読む論と感覚的な結論の食い違いは実に面白い。日本人は他に比較し、神、死後の存在を分からないとする人が極めて多いという統計は楽しかった。また疲れにくい体質の日本人、米食が最もバランスよく、肥満になりづらいなど、父親を超えたと答える比率の最も少ない民族、男女の幸せ感の推移・・その他実に楽しい主張の数々。著者が言うように、日本人はこれらをどちらでも良いことと哲学的にそのように答えている!可能性は十分にある。最後にこれらのことは不都合な真実であり、明かすべきものだと締め括る。確かに正しい政治政策は正しい現状認識から生まれるものであるが、統計数字から読まれるものだけが真実なのか?感覚的に問題だと我々が感じる認識も真実なのではないかと感じた。

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