【感想・ネタバレ】北朝鮮 核の資金源―「国連捜査」秘録―のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

【現実に国際社会は,「スマート制裁」を履行できるほどスマートではなかったわけだ】(文中より引用)

強力な制裁を課されながらも,なぜ北朝鮮が外貨を得るための抜け道はなくならないのか。国連において制裁の不履行を取り締まった人物が自らの経験をまとめるとともに,制裁逃れの実情を克明に記したノンフィクション。著者は,国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルで元委員を務めた古川勝久。

読後数ページで「あ,これはとんでもない読書になる」とピンときたのですが,その直感を最後まで裏切らなかった一冊。派手に紙面を飾る制裁という文字の裏で,いかにそれを逃れようとする者と取り締まろうとする者が対峙しているかが非常によくわかりました。

国際社会の現場を知れるという意味でも☆5つ

0
2020年02月20日

Posted by ブクログ

これ、NHKが連続ドラマ化すべきだよね。国民に現状の問題点を知らしめるためにはさ。
周知徹底が大変なレベルの問題だらけやねん。国連だけじゃ無く、他国だけじゃ無く、日本も。
確かに、日本が北朝鮮相手に制裁を科すようになったのは極々最近で、ちょっと前までは、北朝鮮にフリーハンドを与えちゃう場所だったからな。(今でも、在日朝鮮人による活動には、何ら制限無いしね。本国で地位がある立場を隠さずとも、制裁の対象にならない)
そして、中ロによる、露骨な制裁逃れへの協力。まあ、わかっちゃ居たけど、当事者の筆でそれが明瞭に描かれている。
そうだよなあ。北京とモスクワが平壌のケツ持ちしているのはコレまでの公開情報だけでも全然隠してないからな。
まあ、他国のことは直接同行できないけれど、日本の法整備がザル過ぎて北朝鮮への安保理決議の厳正な執行もできないで居ることについては、なんとかできるはずだし、主権者として当事者だしね。

0
2018年10月14日

Posted by ブクログ

事実関係の羅列で読みにくいが、慣れてくると国際政治の現場の細部や実務がたくさん見えてくる。しかし著者の経歴にやや怪しさを感じるのだが大丈夫なのだろうか。

0
2018年01月22日

Posted by ブクログ

国連による制裁が事実上無効であることがよくわかった。国連が大きな役所であり、表面を取り繕う体質を強く持つこと、体裁を取り繕うのに終始する常任理事国、北朝鮮を実質的に支援する国々。日本くらいは制裁に積極的かと思えば、国内法が整備されておらずに差し押さえるべき船をそのまま解放してしまう。
北朝鮮の隠蔽工作は入念で緻密だが、それ以前に制裁側が真剣にやっているとはとても思えなかった。

0
2018年12月03日

Posted by ブクログ

国連の北朝鮮への制裁がかくも穴だらけだとは全く知らなかった。中国、ロシアについてはまともにやっていないだろうとは思っていたが、アジア、アフリカ、そして日本までも穴があるとは驚きだ。
国連の組織の問題点も初めて聞くことが多く、日本人は国連好きが多いが、このような実態を知れば考えが変わるひとも出てくるものと思う。
科学者がつい最近まで先進国を含めて自由に出入りして、大学等の研究機関で研究していたなんて信じられない。
まずは日本の抜け穴を徹底的に塞ぐべきである。

0
2018年06月14日

Posted by ブクログ

だいぶ前に買っだけど置きっ放しになっていた。このままでは賞味期限が切れそうだったので急いで読んだ。
国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルの元委員という古川氏による制裁違反の捜査についての記録である。
北朝鮮の制裁逃れに使われる船舶やフロント企業を摘発しても摘発してもあの手この手ですり抜けられ、まさにイタチごっこ状態。しかも、制裁逃れに関係する加盟国は捜査に協力もしないどころか北朝鮮を庇って専門家パネルの捜査を足止めする始末。しかも日本の省庁までもがというからどうしようもない。世界は思ったより北朝鮮制裁には無関心なんだなあということがわかる。
ちなみにタイトルに「核」って書いてあるが核の話はあんまり出てこない。

0
2019年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【226冊目】国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルに2011年から2016年までの5年間勤務した筆者が、自らの捜査体験談を記した本。

 論旨中、印象に残ったことを箇条書きにすると、
● 国連の制裁が採択されたとしても、それが実効的たらしめられることは全然別の話なのだということが分かった。専門家パネルの視点からしか書かれていないが、国連の制裁がいかに各国の各種サボタージュ(意図的である・いないにかかわらず。)によって骨抜きにされているのかが分かった。これは、北朝鮮を支援しているロシアや中国だけの話ではない。日本も有効な法整備を怠っているという点でサボタージュしているとみなされる。
● 東南アジア各国は北朝鮮と国交を結んでおり、北朝鮮のマネロン等に利用されていることは知っていたが、アフリカにまで北朝鮮の交友関係が伸びていることは初めて知った。貧しい国はソ連製の旧式兵器を購入するわけだが、これを修理するようなノウハウは北朝鮮ぐらいしか持っていないらしい。なぜなら、そこまで旧式の兵器をいまだに使用しているのは北朝鮮を始めとする貧しい国ぐらいだから。
● 国連がいかに機能不全に陥っているかが、筆者の愚痴と共にこれでもかという頻度で描かれる。専門家パネルといえども各国の政治的立場を持ち込まれ、北朝鮮の支援国である中国から来た同僚がいかに筆者の業務を妨害してきたかもしばしば描かれるし、メンバーの枠が既得権益化している英仏のメンバーも、やる気も能力もない職員として描かれている。

 実務家であった筆者が体験談的に書いている本なので、実務家が読むと興味深く思えるかもしれないが、研究者や一般の読者には冗長に思えるかも。

0
2018年04月13日

「ノンフィクション」ランキング