【感想・ネタバレ】図解 よくわかるパーキンソン病の最新治療とリハビリのすべてのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

パーキンソン病の利用者に対応する機会が多く、また学生に疾患の特徴をわかりやすく説明できるように・・という理由で読んだ一冊。

病態から薬物療法まですっきり整理することができました。コメディカルにも知識を整理するのにおすすめの一冊です。

L-ドーパ合薬→ジスキネジア、ウェアリングオフ
ドパミン受容体刺激薬→吐き気
ドパミン分解阻害薬→不眠、L-ドーパと併用
ノルアドレナリン補充薬→副作用少なめ

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2016年06月12日

Posted by ブクログ

疫学
現在日本には13万7千人(厚生労働省 特定疾患医療受給者証所持者数 H26)。
発病は50−60歳から始まることが多い。

PDの仕組み
線条体の神経伝達物質の異常
黒質から放出されるドパミンが減って少なくなる。アセチルコリンが過剰になってバランスが崩れる。
ドパミン不足となる原因はまだ解明されていない。
PDでは中脳黒質が白っぽくなる。レビー小体というたんぱく質の塊が発生している。大脳皮質でレビー小体が溜まるとレビー小体認知症となる。振戦などの症状がみられる。

PDの症状
①安静時振戦②固縮③無動④姿勢反射障害
歩行障害:すくみ足、突進現象、嚥下障害、幻視、認知機能障害、うつ
合併しやすい症状:骨折、誤嚥性肺炎

パーキンソン症候群
原因:脳腫瘍、水頭症、脳血管障害、脳のけが、SCD、中毒、薬の副作用など
薬剤性パーキンソニズム:向精神薬、抗鬱薬、精神症状抑制薬、降圧薬、消化器系薬など。服薬を中止すると2−6週間で症状なくなる。
動脈硬化性パーキンソニズム:初期から歩行障害、姿勢反射障害がでる。抗PD薬が効かない。
水頭症:認知機能低下、歩行障害、尿失禁

PDと鑑別が難しい病気
変性疾患進行性核上性麻痺、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ・橋・小脳萎縮症)
びまん性レビー小体病(レビー小体型痴呆)
大脳基底核変性症
アルツハイマー病
ピック病

PDの前触れ症状
便秘・立ちくらみ(起立性低血圧)・発汗障害
PDの診断基準
1.パーキンソニズムの症状が2つ以上ある。※1
2.脳CT、MRIに特異的異常がない。※2
3.パーキンソニズムを起こす薬物、毒物を服用していない。
4.抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる。
※1 パーキンソニズムの定義は、次のいずれかに該当する場合とする。
(1)典型的な左右差のある安静時振戦がある
(2)歯車様筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害のうち二つ以上が存在する。
※2 多発性脳梗塞、被核萎縮、脳幹萎縮、著明な脳室拡大

薬の種類
L−ドパ合薬:Lドパだけでは腸で吸収されてしまい脳まで届かない。Lドパの分解を防ぐドパ脱炭素酵素阻害薬を配分している。黒質でのドパミンが増える。PDのすべての症状に改善が見込まれる。
使っているうち(5−6年)にウェアリングオフ現象、ジスキネジアが起こる。これらを考えてほかの薬と併用することがほとんど。原則として1日300mgを最大とする。
ドパミン受容体刺激薬:線条体のドパミン受容体を刺激して症状を改善。1日1回の服薬で長期間効果が続き、ウェアリングオフ現象が出にくく、無動、固縮に効果的。線条体への負担が少なく、効き目が穏やか。
吐き気や嘔吐など胃腸障害、眠気が起きやすいため吐き気止めを併用。
ドパミン分解阻害薬:ドパミンの寿命を長持ち。MAO-B阻害薬(セレギリン)は分解酵素B型モノアミン酸化酵素(MAO-B)の働きを抑え有効なドパミン量を増やす。L−ドパ合薬と併用するように指定。1日10mg以下。薬との組み合わせが難しい。覚醒効果があり不安や不眠が生じる場合がある。
ノルアドレナリン補充薬:立ちくらみやすくみ足を改善する。意思、やる気を高める。
頭痛、めまい、幻視、吐き気、むかつき、便秘、動悸が起こることがある。

リハビリテーション
運動は薬とセットで行うことでお互いの効果を高めてくれる。「安静にしない=日中横にならない」。薬の効果があるときに運動する。やり過ぎは逆効果。強い痛みのある運動は厳禁。できる運動をできる範囲で行う。音楽に合わせて動いてみる。少しずつ運動量を増やしていく。ウォーキングは毎日決めた時だけ行うようにする。運動やウォーキングの仲間をつくると楽しくなる。

病期に合わせた運動
ホーン・ヤール重症度別運動メニュー
Ⅰ度:趣味のスポーツ、ウォーキング習慣、楽器の演奏、手芸、パーキンソン体操
Ⅱ度:手のこわばり➡︎手の体操、自転車こぎ、その場足ふみ、パーキンソン体操
Ⅲ度:手すりや机につかまってバランス運動、ウォーキング、カートを押して歩く、ベッドで起き上がり運動、パーキンソン体操
Ⅳ度:腰掛け・立ち上がりの練習、腹筋体操、背筋体操、歩行器を利用してウォーキング、パーキンソン体操、声を出す
Ⅴ度:手足の曲げ伸ばし、着替え、ベッドからの起き上がり、椅子への移動、パーキンソン体操、声を出す練習

症状別対処法
振戦:症状の進行か薬の副作用かを判断する。振戦はL−ドパ合薬を増やせば良くなる可能性があるが、長期的に見ていくと薬の効果が効きにくくなるので我慢をしなくてはいけないこともある。手足を捻る様な運動(ジスキネジア)はL−ドパ合薬を長期間使用したことによる可能性が高い。
幻視、妄想、うつ:病気の進行により発症するほか薬の副作用としてでることもある。家族の対応として頭ごなしに否定しない、幻視や妄想に対する理解を示す、会話を変えて関心をそらす、症状がなおるまで見守るなどがある。
認知機能の低下:PDが原因の認知症は末期にならないと起こりにくい。物事を考えることがまとまらなくなるような症状が主です。抗コリン薬を使用しているとアセチルコリンが不足して物忘れや計算ができなくなることもある。服薬を中止すると2週間ほどでなくなる。認知症予防のため積極的に外出するなどが必要。
排尿障害:筋肉の動きが鈍くなり括約筋の働きが弱まり頻尿になる、残尿感があることがある。抗コリン薬を使用していると出ることもある。夕食後の水分を控えて夜間にトイレに行く回数を減らす、ポータブルトイレを使用するなど対応をする。
睡眠障害:ドパミン受容体刺激薬の副作用も考えられる。睡眠薬の使用。日中太陽を浴びて運動、部屋の環境を整えるなどの対応を。
痛み:関節や筋性の痛みが多い。薬の切れ目に自律神経や感覚神経に影響を及ぼしていることもある。足の指が引きつって痛むのは有痛性ジストニア(不随意運動)だと考えられる。姿勢不良のための座骨神経痛、むくみによる痛みなどもある。
便秘:腸の蠕動運動にもドパミン不足により機能しなくなることがある。抗PD薬は腸管には作用しないため一般的な便秘の対応と同じとなる。繊維質の豊富な食事、水分摂取、適度な運動、規則正しい排便習慣、お腹のマッサージ、便通改善薬、下剤、浣腸。
立ちくらみ、失神:自律神経症状の一つ。初期には表れにくい。下肢筋の収縮が弱く脳血流が不良。一気に立つのではなくひとつひとつの動作に分けて行う。何回か足踏みをする。

環境設定
室内のポイント:スロープにて段差解消、引き戸にする、L字手すり、フットライト、テープガイド(30−40cm幅)、ベッド、椅子の調整、トイレ・風呂の呼び出しボタンや暖房器具、脱衣所の椅子の用意、シャワーチェアー、滑り止めなど
着替え:シャツなどはマジックテープにする、ファスナータイプにする、歯ブラシにはビニールなどをまいて持ちやすくする、電動歯ブラシ、マジックテープの靴など

公的支援制度
難病医療助成制度:ホーン・ヤールⅢ以上かつ生活障害機能度2度以上。認定されると難病医療費自己負担限度額が月額2500〜5000円となる。
高額医療費控除:75歳以上と一定の障害のある60歳以上75歳未満。1ヶ月の医療費の自己負担額が、所得に応じて定められた一定の限度額を超えて高額になった場合は超えた金額を支給される。
身体障害者手帳:PDでは肢体不自由に該当。医療費の助成、特別障害者手当・障害基礎年金などの経済的支援、税金の免除、交通機関の割引など。
障害者総合支援法:PDは障害者手帳がなくても必要な障害福祉サービス、相談支援などが受けられる。自立支援給付として居宅介助、ショートステイ、自立訓練、就労移行支援、車椅子・歩行器貸し出しなど

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2017年10月10日

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