【感想・ネタバレ】世界経済の破断界のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年12月13日

今まで何冊も彼の著作を読んできましたが、この本は若林氏の最新作(2015.12現在)です。先日、本屋さんに立ち寄った時に平積みされていて気づきました。

若林氏の本の特徴は、為替や日経株の最高値・最低値を、チャートの形の特徴を、理論的に解析して、その日付までも明確に記す点にあります。多くの評論家は、...続きを読む自分の予想が外れたのを恐れるため、あいまいな形でしか示しませんが、若林氏の場合は、その考え方と共に、最近数十年の結果がその理論で説明できることを示したうえで将来を予想しており、この点が明らかに異なる点です。

若林氏によれば、円高から円安、株安の状態から好転しているのも、「アベノミクス」のおかげではなく、そのような周期だからだと説明していて面白いです。日本経済は良くなると、多くの人がこの20年間言い続けてきたような感がありますが、2025年に日本はひとつの頂点を迎えそうですね。期待しながら、仕事も頑張りながら待っていようと思いました。

以下は気になったポイントです。

・米国は2012年9月からのQE3(合計3.7兆ドルの財務省証券・モーゲジ担保証券の購入)をすれば景気回復すると思ったが、低成長なので、証券を売ることができず(金利上昇)、2014年10月にQEを停止した(p34)

・リーマン、ベア・スターンズ、メリルリンチの2007年の自己資本に対するレバレッジ比率は30倍以上、これは資産の価値が3%下落するだけで、株主資本をすべて失って倒産することを意味していた(p40)

・QEで上昇した株価がDCF(ディスカウントCF)で正当化されるかどうかが問題である(p41)

・1960年代後半から1980年代前半までのNYダウの推移と、現在の株価推移は驚くほど似ている(p42)

・S&Lの犯罪(銀行の債権の96%が延滞債権)は規制緩和の生んだ最初の大規模な犯罪であったが、そのあとの1990-2008年までの大銀行による犯罪行為に比べれば、小規模であった(p61)

・1994年には世界に金利デリバティブと通貨デリバティブの総額は、米国のGDPを上回る12兆ドルに達していた(p67)

・ホームエクイティローンとは、抵当(モーゲジ)金融会社から小切手がまず送られてきて、サインして銀行で現金化すると、そのお金に対する、ホーム・エクイティ・ローン契約が送られてくるという仕組み(p70)

・金融危機の根本原因は、監督機関が多すぎること、連邦レベルで5つ、そして各州にばらばらに起これていた。金融機関は認可の種類、つまり監督機関を選ぶことができた(p85)

・これまでの市場は、多くの投資家が、中央銀行のマネタリーベースの伸びをマネーサプライの伸びと混同して、やがてマネーサプライが増えて景気が良くなるという前提で動いてきたが、資金がジャブジャブなのは、資金運用者の世界だけで、実体経済は民間がお金を借りないので、景気の低迷が続いている(p98)

・米国のバランスシート不況はそう簡単に終わらない、株式バブルの崩壊によりこれから本格的なデフレが襲ってくる(p99)

・FRBが必死で行ったQEがほとんど「資産価格の上昇」しか生み出さず、期待したほどの経済成長を生まないうちに、資産価格の上昇が終わり、株価が天井をうったのが、2015年の夏の出来事(p111)

・米国は、1798,1861,1920,1981年と、ほぼ規則的に60年ごとに金利のピークを迎えている。次は2040年辺りだろう。1981年から40年間、すなわち2022年まで金利はひたすら低下する(p124)

・40年サイクルとは、黄金分割における、今までの数々の相場の転換点を規定してきた40年半にあたる、黄金分割の最重要ナンバー162年の4分の1が40年半(p125)

・原油の最高値は、リーマンショックの1か月前の2008.7の、146ドルであったが、原点の1973.10から40年半を持って、原油高値時代に終止符を打った(p128)

・62、162は、自然界のあらゆるところで見られる均整の取れた比率として、建築・絵画などに使われている。62の補数である38は、女性の懐妊期間(38週)として黄金分割に律せられている(p130)

・日本株のバブルは、1989.12.29の3万8957円から262か月(21年10か月=2011.11まで)は株はダメと予想したことがあった(p131、135)

・特に、40年半(162÷4)の日柄は、圧倒的な SEA CHANGE(根本的な変更)の日柄としての実績を持っている、米国株(1932.7の大底から40年半後の、1973.1の天井)、日本株(1949.5から40年7か月後の天井)、ドル円相場(ニクソンショック1971.8から40年半である2012.2に円高最高値)(p139まで)

・米国の株価は、1974.12の大底から40年半後の2015.6に最高となった、イニシャルショックは2016.4Qから2017.1Qとなるだろう(p142、147)

・イニシャルショック(10-20%の下落)が終わり戻り始めた時に、これで終わったと思わないのが肝要、40-50%の下落が起きた時に、2023-24年に向けてイニシャルショックが終わることになる。天上を付けた2015.5から27四半期(81か月)の、2022.3-5が底値、2024年まで低迷する(p155、169)

・世界のデリバティブ残高は、1989年には72.1兆ドルであったが、2013.12には、710.1兆ドルを超えている。2014.6には、600兆ドルほどに減少(p154)

・2024.11の大統領選挙で、新しいリベラル派の民主党大統領が選出され、リベラル政治思想に則った新しいアジェンダが確立されて米国は立ち直る。それまでは時代遅れの、レーガン・アジェンダとの闘争が続く(p172)

・22年のデフレの流れから脱却した日本経済は、バブル天井から36年目の2025年までは、ディスインフレの状態が継続、ベストのパフォーマンスを示す時間帯となる(p175)

・日本株の今回の戻り天井は、2015.6の2万952円、2008.10の底値から81か月目が2015.7であった。一般的には19か月の調整が伴うので、2017.1あたりが、この相場の下げの底となる。天井から27年目(324か月)で、黄金分割162か月の2倍。株価は、1万4500円辺りだろう(p180)

・経済の体温を測る指標は、株価・株価相場などがあげられるが、これらは全て黄金分割の日柄でみて、2011-12年に歴史的な転換を迎えていて、デフレは終わっている(p186)

・2003.4には、当時の最安値7604円を記録していて、この日柄は頂点から160か月目、これが日本経済の底、金利は2003.6に0.43%であるが、これは株の頂点から162か月目(p187)

・日本は、アベノミクスに関係なく、デフレー円高ーデフレの悪循環は終わるタイミングであった。なので、アベノミクスが失敗しても、またデフレに陥ることはない(p196)

・日本がツイているのは、日本の長期金利が上がろうとする2016年から、米欧のデフレが本格化するので、金利上昇はきわめて軽微なものにとどまるだろう、2022年まで米国金利が低迷する間に、日本は財政赤字に本気で取り組む必要がある(p198)

・日本の政府債務総額がGDPの243%というのは、2つの理由から適切でない。1)既発債の相当量を保有しているので、債務が二重にカウント、資産を差し引いた純債務でみるべき。2)企業の連結決算に子会社が含まれるように、公的企業の資産と債務も含めるべき。筆者の作成によると、2014.6での純債務は、GDP比132%、既発債は日銀は永久に保有出来て償還不要、日銀のバランスシートを政府に含めると、純債務は80%となる。(p201)

・1923年11月15日に、ドイツは不換紙幣のレンテンマルク(=1兆マルク)を発行し、ドル・ポンド・フランに対して、戦前の1マルクと同じ価値を持った。1923年11月には、1ドル=4兆2000億マルクまで通貨が暴落した(p214)

・ドイツの超インフレが終わった1923年から100年後に、デフレでユーロが瓦解するのは、日柄的にも適当だろう。1992年に締結された、マーストリヒト条約から黄金分割の31年目の2023年になるので(p215)

・1917年のロシア革命から72年後の1989年11月にはベルリン崩壊、事実上のソビエトブロックの崩壊、1991年12月末、ソビエトは制式に存在を停止した。中国共産党による建国72年目は、20221年、ソ連の制式崩壊に合わせると74年目は2023年。2021-23年は、2015年5月に天井を打った米国株価が大きな底を打つタイミング(2022.3-5)であり、中国共産党支配のひとつの危機の時間帯である(p218、219)

2015年12月13日作成

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Posted by ブクログ 2015年11月24日

 アメリカ、ヨーロッパ、中国 不況。
日本だけが2025年まで株価が上昇する。大予言。
今まで出版された著著の中で当たっているから、少々うさんくさいところがあるが信じたくなる。

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