【感想・ネタバレ】私たち、戦争人間について 愛と平和主義の限界に関する考察のレビュー

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Posted by ブクログ

ウクライナとロシアの戦争が始まってから、戦争のことを考えることが多くなった。
戦争は悪い。戦争は人を不幸にする。それを皆わかっている。学校でも加害についてはともかく原爆や空襲などの被害については教えられてきた。戦争は良くないという本(それこそ絵本も含め)、映像などはたくさんある。
しかし、結局それでは戦争を止めるには足りないのではないかという思いが消えなくなってきた。
それでこの本を読んでみた。
書かれていることは何もかもなるほど、と思うことばかりだった。
「多くの人にとっては「平和」とは、ただ単純に自分にとって都合の良い状況のことにほかならないのではないだろうか。」「平和を望む気持ちと、戦いを決断する気持ちは、実は大差ない。戦争とは、当事者の主観としては、軍事をもってする秩序化の試みであり、武器をもってする平和構築の試みに他ならない。」(p30)
私たちは「実は口先ほどには愛と平和なんて求めていない」(p33)
「ふだん私たちは何らかの出来事の「原因」を考えるとき、だいたい何となく納得できる気分になったところで探求や思考を切り上げているに過ぎない。」(p51)
そもそも何をもって戦争というのか。どこからが戦争か。戦争と科学の関係など、どれも胸に刺さった。
学校の平和教育は「学問」ではない、なぜなら「すでに決まっている線に沿った「心がまえ」を抱かせることが目的になっている」から。「「学習」や「研究」というよりは「精神的感化」に近い」(p267)
「事実や論理を詰めることよりも、「感動」することを求め、それで満足してしまうという点で、戦中も戦後も結局のところ基本姿勢は変わっていない」(p268)
書き出したらきりがないのだが、自分のなまぬるい「平和」希求にズタズタとメスを入れられる感じがした。
じゃあ、どうしたらいいのか。
それはやっぱりそれぞれ考えるしかない。しかしここまで「戦争」とはどういうことかを提示してくれてありがたく思う。巻末にある参考文献を読みつくすことは私には不可能で、折に触れこの本を読み返して自分なりにどう行動できるかを考えたい。

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2023年01月07日

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