【感想・ネタバレ】「居場所」のない男、「時間」がない女のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年06月24日

男性の生きづらさを語るにあたっては女性のケアを前提に、女性の生きづらさを語るにあたってはケアワークを押し付けられるジェンダー問題を軸にしているため、ダブルバインド的でモヤる。でも、サラリーマン家庭の時空の歪みという切り口か、凄く腑に落ちて。モヤる部分も込みでとっても面白かった!

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Posted by ブクログ 2021年05月24日

気鋭の社会学者が現代の病巣に切り込み
ます。

「居場所」の無い男とは、散々言われて
いますが、会社を離れてしまうと、家庭
でもジャマ者扱いされて孤独に陥ってし
まう人です。

「時間」の無い女とは、昨今「女性活躍」
などと言われて、家事も育児も仕事も全
てこなすスーパーウーマンも真っ青にな
るとい...続きを読むう重圧にさらされている人です。

どちらも、皆分かっているのです。

でも社会は無言の圧力をかけてきます。
この国の未来はどうなってしまうのだろ
う、と嘆きが入ってしまう一冊です。

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Posted by ブクログ 2019年02月07日

少し前に読んだ本だが、処分するにあたってざっと見直して、これほど日本社会の宿痾を浮き彫りにした本もないな、と改めて思った。

少子高齢化社会が到来していて、子供を生める社会にしないと立ちいかない―そんなこと、もう何十年も前から言われてきたのに、少子化の度合いはさらに高まっている。昔ながらの社会観、家...続きを読む族観からいつまでたっても抜け出せず、場当たり的な対応しかしてこなかったつけだ。男女平等やダイバーシティなどと掛け声は立派だが、男と女のありようはかつてなく広がり、双方にとって居心地のよくない時代になってしまった。

それがデータ分析に終わるのではなく、今の社会で子育てをしている視点からの問題提起がある点が、類書と違うように思う。法制度や企業運営はもちろん、労働観や家族観のみならず、私たちの社会の公共性のあり方にまで著者は踏み込んでいく。

「生まないのが悪い」という時代錯誤的な考え方は論外だけれど、この本で指摘されているように、混んでいる電車にベビーカーが乗ってくると、ついその車両は避けてしまう、というようなことを自分もやっていて(さすがにお母さんの前で舌打ちするなどというデリカシーのないことはしないけれど)、公共性のあり方というのは、そういう姿勢にもかかわってくる話。男の関係貧困や孤独死問題など、自分にかかわるテーマもあって身につまされた。

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Posted by ブクログ 2019年01月12日

日本の少子化の原因などがデータで分析されていて非常に論理的。
やはり日本の女性は世界で一番働いているんだ。社会が猛烈な勢いで変わっているのに、家族感や男女感が変わっていないのが大きな原因。

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Posted by ブクログ 2018年06月14日

P114 日本の男性は国際比較からしても突出して「孤立化」リスクが高い。これは男性が就業時間以外の社会参加に乏しいという社会的背景による。
P119 男性も含めた雇用環境の再編が求められている。男性の働き方を全く変えないまま、社会の変化を女性のライフスタイルを変更するだけで対応しようとするやり方は既...続きを読むに限界を迎えている。
P182 日本人男子が「働きバチ」であるという神話は労働を有償労働のみ限定した場合にいえることで、無償労働を加えた総労働では男性ではアメリカ人男性が最も働いており、そのアメリカ人よりも長時間労働に従事しているのが日本人女性である。日本のワーキングマザーは世界一の働き者だが「暇だと思われている」。
P149 今の日本に必要なのは「女性の活躍」以上に男性も含めた総合的な就労・家庭生活・地域コミュニティ・余暇のあり方の再編である。
P268 現在必要とされているのは、男性も含めた労働と家庭生活のあう方の再編である。単位時間あたりの生産性を高めかつ評価し、就労インセンティブを保ちつつ生活満足度を上げるためには、総合的な見直しが必要である。
政府が述べてきた「女性活躍」は、スーパーウーマンが飛来して問題を解決してくれることを待っていてはかなわない。そうではなく、今、就労の現場にいる普通の女性が、普通の男性と協業しその能力を発揮するための環境整備こそが求められている。
このためには、逆説的に「既存の男性の就労モデル」を疑い、問題を検証する必要がある。「居場所のない男」。この観点は、現状の男性の社会的地位や経済的優位性が、決して当の男性にとって幸福なものではないことを示している。
だから、女性の社会進出と男性の家庭・地域社会進出を是非とも推進することから始めてほしい。女性を企業のメンバーに加えると同時に、男性な地域社会のメンバーに加えることが必要である。このためには、旧来の「標準世帯のライフスタイル」な前提とした社会制度を見直し、全方位的な雇用環境の改善を行う必要がある。それこそが、今日の日本社会の巨大な「リビングにいる象」を正視し、少しずつ解体する方途であると信じる所以である。

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Posted by ブクログ 2016年12月05日

日本社会・政治の問題点を的確に指摘する良書である。おバカな政治家・霞ヶ関のお役人すべてに強制的に読ませたい。

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Posted by ブクログ 2016年05月31日

途方もなく大きな社会問題をここまで明確に書いてしまう切れ味の鋭い、明快な論理展開に脱帽。待機児童、自殺、シングルマザーに、子どもの連れ去り、少子高齢化という個々の問題は、男は家庭に居場所がなく、女性に時間がないからこそ。移民よりもまずは働き方を変えていかねば。

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Posted by ブクログ 2016年05月04日

日経土曜面でコラムを担当している水無田女史の一冊。夫と妻は生涯を共にしても、生活は共にはしていない、という双方にそびえるベルリンの壁問題を扱う作品。結婚・出産・育児とキャリアの両立という難題を個人の力で現代日本で乗り切る事、超人であるという指摘に納得。良作。メモ。
(1)(とりわけ中高年層にとって)...続きを読む結婚とは金と安らぎの交換である。戦後の民主化と核家族化により作られた妻による癒しを当然視するイデオロギーに依っている。したがって昭和的価値観にそれ程共鳴しない30代より下の男性にはあまり通用しない。
(2) 地域にもよるが、日本人の未婚率は歴史を通して2割前後で推移して来た。農家で継ぐ畑のない次男坊、三男坊などは結婚出来ないのも珍しくなかった。‥中には長屋住まいの未婚男性数名で遊女を一人妾として囲い妾シェアリングをしていた、という事まであった。
(3)引退する前から少しずつ地域コミュニティに参加しあるいは仕事以外の繋がりを積極的に作っていく事を心からお薦めしたい。日本の社会は男性の就労には積極的だが男性の幸福には無頓着。
(4)少し俯瞰して見れば、この国の政策は多くの問題を女性の時間を活用する事で解決しようと考えている。
(5)今の日本に必要なのは男性も含めた総合的な就労、家庭生活、地域コミュニティ、余暇のあり方の再編。
(6)家事を端的に減らす為に一番効果的であるのは家族の成員を減らす事。子どもを持たない選択はこれ以上家事時間を増やす事は不可能という女性の暗黙の心の叫び。
(7)女の子は大人にはなったらまだ結婚しないの?と言われ、結婚したら子供はまだと言われ、一人産んだら二人目はまだと言われ、人からあれこれ言われ続けます。でも離婚してしまえば、もう誰も言ってきません。
(8)私の幸せは自分一人で追求できても、女の幸せは難しい。
(9)仕事をする事以上に会社村の住人である事が求められる企業風土では標準的な会社員の働き方は妻に家事育児を丸投げの男性労働者が基本である。

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Posted by ブクログ 2016年03月14日

 わたしたちは、これまでずいぶんと、行きつ戻りつ右往左往しながら、長いような短いような歴史の中で、「人間」を理解しようとしてきた。今でも、人間は人間にとって謎めいた存在だ。
 わたしたちの生きている今が、最高の時代、最高の社会でなくとも、人間を理解し続けることをあきらめなければ希望はある。

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Posted by ブクログ 2015年09月12日

“「居場所」のない男”とは何とも良いネーミングです。本書を読まなくとも新聞・雑誌やテレビなどで日本の30代〜50代の中年未婚男性が増えていることはわかることですが、著者の視点・切り口は読んでいてとても興味深かったでした。
男性は同性の友人には弱音を吐けず、配偶者がストレスの軽減のために果たしている役...続きを読む割がとても大きい。それゆえ男性の方が妻からのサポート効果が高く、結婚によって得られるメリットが大きい。また、女性は、孤立そのものには弱いが、ストレス軽減のためのサポート資源は男性より多い。
本書で著者が述べているように日本社会における男性の「就労第一主義」こそが社会的孤立の源泉となり世界一孤独な日本人男性を作り出していると本書読んでいて納得しました。日本の男性も女性のようにストレス軽減のためのサポート資源を持つように努力したいところです。

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Posted by ブクログ 2023年10月09日

読むのが辛い本です
作者の言い回しもきついし
最後の2045年のシナリオが厳しい
考えさせられる本です
もう遅いのかな?

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Posted by ブクログ 2020年11月21日

良書。
一番印象に残ったのは、大卒で働きながら子育てをする女性は超人、人を超えている。と著者が表現していること。
22歳で大学卒業後、就職、結婚、妊娠。ここまで、失敗しないでくるのは、ゴルゴ13なみのスパイパーでないと無理。少子化になる訳だ。
今は便利になり、家事も楽になったかと思いきや、家事にかか...続きを読むる時間は減っていない。なぜなら昔より生活の質が上がり、やる家事が増えているから。なるほど。

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Posted by ブクログ 2018年04月22日

本書は三部構成となっており、第一部では男性の、第二部では女性の、現代に生きることの難しさが、様々な統計数字を以て論じられる。ひとつひとつは皆既に周知の事実ばかりであるが、こう羅列されると、この国で幸せになるということは、本当に不可能ではないかと思わざるを得ない。
そして第三部、これらの問題に対する筆...続きを読む者の対策案が論じられる。これも斬新なものは皆無だが、非常に説得力があり、効果が期待できるものばかりだ。勿論そこには人々の考え方を変えないといけない要素があり、困難は伴うに違いないが、今この道を踏み出さないと、この国の幸せは遠い。というか、永遠に手の届かないものに成り果ててしまうだろう。良書。

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Posted by ブクログ 2016年11月23日

エライおぢさんたちは本当は女性活躍なんてこれぽっちも望んでない。この本を読ませたいけど、「ほーらやっぱり今までどおりしておけば、いつまでも天下は男のものだ」と逆に自信を深めそうである。女はいったいどこまでがんばればいいんだよ。

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Posted by ブクログ 2016年06月26日

ここまで明快に今の社会問題を切り取ってくれてありがとうございます。ただ、小さな社会である勤務先企業でも古くからの男性至上主義や老害あって環境を変えることは難しい。となると、私が生きてる間には日本国の男女の関係性と時間の問題は改善されないだろうと絶望する。女性を奮い立たせてくれる本書は時々読み返したい...続きを読む

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Posted by ブクログ 2016年04月14日

働く母ですが非正規労働者です。
この選択は私自身はよく考えて選んだものなので納得ですが夫ときっちり詰めたかというとそうでもないかもしれません。
最後まで読んで第1章についての理解が浅かったかなと感じたのでもう一度読んでみます。

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Posted by ブクログ 2015年09月13日

 日本男性は「関係貧困」。家庭には居場所がなく、仕事を引退したら友だちもない。妻に先立たれると、あまり長生きできない。孤独死も自殺も男性のほうが深刻。

 日本女性は「時間貧困」。母の愛情は「時間」をどれだけ費やしたかで計測される。共働きでもダンナは家事を手伝わない。そもそも結婚して子どもも産んで仕...続きを読む事も……となると、若いうちから安穏とはしていられないうえ、その3つをこなせるのはもはや「超人」レベル。

 豊富な事例をもとにこの現実をあぶり出すが、著者の視線が学者のものというより、当事者として対象に寄り添っている気配があって、この手の本にあってはめずらしくイラッとこない。
 これまで当たり前だった働き方や、ライフスタイル、ケアのあり方について、手遅れになる前に考えなければいけないと素直に思わされる。

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Posted by ブクログ 2015年07月06日

居場所のない男。
働きすぎて、職場以外で関係性が築けない。家庭で父親として育児に参画できていない。ホームレスの大半は男性。未婚率の増加。世界一孤独な日本の男性。


時間のない女。
家事労働は家電製品によって高度化しただけで減っていない。
有償労働に加えて無償労働の担い手となっている。女性活躍の推進...続きを読むは、女性の有償・無償労働時間を長くする。世界一忙しい日本の女性。



男女とも、多様な働きかたが可能な就業環境と社会保障を。労働と家庭の再編を。


筒井淳也『仕事と家族』と合わせて読みたい。というか同じタイトルのように見えてしまう。

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Posted by ブクログ 2017年01月08日

男と女の違いがよくわかる。日本の既婚の働く女性の家事労働時間は世界的に見てもトップ。男性の労働時間をいかに減らし、家事育児に参加させるか、そういったことを含めて社会構造を早急に現代に合わせた形に変えていく必要性があることがよくわかった。

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Posted by ブクログ 2015年12月24日

退職までに、遊び仲間を確保しておかなくっちゃ!それにしても、子育て世代にもっと財政支出して、高齢者や子育てが終わった世代は、もっと子育てしている人に優しくしないと!自分の年金も、日本の未来もなくなるよ。でも、高齢者は年金もらい逃げか⁈

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Posted by ブクログ 2015年12月01日

日本人の働き方がもたらした弊害を綴った書。タイトルにある通り、男にとっての「居場所」はなく、女にとっての「時間」がないのは、まさに過去から現在へと流れる負の遺産といったところだろう。

男の場合、仕事人間としてその多くの時間を会社に捧げ、一息の休息の場所として家庭があった。一方、女の場合は、子どもが...続きを読むできればその多くの時間を家庭に費やすことになり、子どもが大きくなるまで自分だけの時間はほぼ皆無と言える。そして、気付いた頃にはもう何年も時が過ぎてしまったという散々な結果になることもあるだろう。

そのため、何時しかお互いがお互いのことを恨みつらみ、軋轢が生まれ、何十年かの後、ようやく長い時間を持つことができたとしても、もう元に戻せない程時が経ちすぎていることもある。悲しい哉。でも、それもまた、目の前のことだけに集中し、周囲を顧みなかった自分のもたらした弊害だと言えるのだろうが。

こうした男女の関係性は、社会制度やワークライフバランスを見直したところですぐに解決されるような問題ではない。いや、もしかしたら解決されない可能性すらある。そのため、解決へと向かう手口としては、まずは自分たちの家庭から話し合い、お互いが納得し、同じ方向に向かって寄り添って行く事が大事になってくるだろう。別々に違う場所に向かって行き、同時に同じ場所につく幸運など、人生においてそうそうないのだから。

また、昨今ではこうした弊害を避けるために、結婚をせず、一人だけの時間や空間に安住する若者も増えてきた。みんながみんな、心底そうした状況を望んでいるかは分からないが、それが社会が示した一つの形であることは間違いない。ただ、自分自身も今現在そうした一人であるのだが、できることならお互いが相手のことを思い、少しだけそのための行動を起こすだけでも、未来の関係性は今よりずっと違ったものになると信じている。

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Posted by ブクログ 2015年08月02日

女性の困難だけではなく、男性の現状も通じて現代社会のねじれをまとめた本。日本の男女のあいだに横たわる時空のゆがみ、と著者は表現するが、これもまた男性も含めて、労働と生活のあり方を問う一冊。「仕事と家族」がデータに基づいた比較をメインとするものであるならば、こちらはデータも用いつつ、より近い実感だった...続きを読むりを軸にしているような読後感。
社会的不妊、チョアなど、言葉もいろいろ紹介され、問題を考えるうえでの足場にもなりそう。

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