【感想・ネタバレ】日経平均2万5000円超え時代の日本経済のレビュー

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Posted by ブクログ

少し古いが、経済の勉強というよりも株の買い時、買うべき企業を勉強するのに良いのでは。オススメの企業とその分析が豊富。

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2018年11月23日

Posted by ブクログ

私が高校生の時から読み続けている経済評論家、長谷川慶太郎氏の新作本です。ご高齢にも拘わらず、毎月のように出版されているので最新作かどうかわかりませんが、私は先週に本屋で見つけました。

長谷川氏の見立てによれば、今後、日経平均は2万5千円を超える勢いだそうです。この本を読み始めた頃に、中国での株価指数が乱高下しましたが、多分、東京オリンピックの前年辺りまで、上昇基調にあるのでしょうね。

ただし、今回は日経平均が上がると言っても、バブルの頃とは異なって、株価が上がる企業は限定されているということです。今回の本では、特に、買ってはいけない企業を名前を挙げている点が特徴的です。そのうえで推奨もしているので、私にとっては納得感が今までの本よりもありました。

資金に余裕があれば、個別購入もしたいものですが、なかなか子育てをしている現状では難しいかもしれませんが、長谷川氏の考え方だけは理解しておきたいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・2015年6月10日現在で、1ドル=123円だが、円キャリートレード(日本の低い金利で円を借り入れ、円よりも金利の高い通貨に替えて、その国の為替債権で投資する)が続くので、円安になるだろう。日本では長期資金は依然としてだぶついていることも一因(p14、16)

・契約時にドル建て代金が決まり、納入時にそのドルを受けとるので、その間に円安が進むと円安差益が転がり込むことになる(p14)

・エーザイは、アルツハイマーの特効薬を持っているので株価は上がるだろう(p16)

・アメリカでは、ピックアップトラック、SUV(多目的スポーツ車)といった大型車の売れ行きが好調、2014年の新車販売台数は、前年比5.9%増加の1652万台で、8年ぶりの高水準(p18)

・日本の株は、重厚長大の企業を中心に押し目買いすればいいだろう。三菱重工、川崎重工、IHI、日立製作所、三菱電機(p20、144)

・リーマンショックで倒産した金融機関の経営者のなかには、金融犯罪に手を染めてしまった者がいて、多くが連邦政府が管理運営する、経済事犯専用の刑務所にいる(p22)

・ロシア外貨準備は3500億ドルを割った、これが2000億ドルを切ると貿易決済ができなくなる。このままでは年内にデフォルトするだろう(p24)

・シェールオイルの採掘コストは、1バレル=70-80ドルと主張していたエコノミストもかつてはいたが、50台まで下がって実際に採掘をやめたのは、能率の悪い老朽化した設備を使っていた中小業者のみ。実は、採掘コストは平均して、1バレル=20ドル。今でも儲かっている(p25)

・通貨ユーロは東西ドイツ統合の代償なので、ドイツは1か国といえども、ユーロから離脱する国を出さないようにしたいと考えている(p33)

・ADB(アジア開発銀行)がアジア諸国に原発の融資を行ってこなかったのは、不良債権になる可能性が高いと判断しているから。中国はWHの原発技術に基づいて、自国の原発技術を蓄積し、それで完成させた中国製原発をアジア諸国に輸出するとが前提になっている(p35)

・1985年に、東西冷戦は間もなく終わる、東側陣営の完全な敗北で、と指摘した。これはソ連が崩壊する6年位前の話。ソ連の傘下にあった衛星国で、技術革新を導入することは許されない状況をみて総括した(p49)

・ロシアは試練(国際市場で通用しない製品をつくっている企業をすべて潰す)をくぐり抜けて初めて、ロシア経済は本格的な再建の道を踏み入れることになる(p51)

・日本の、2%の物価上昇率を目標にすることで「デフレ」を克服する路線は絶対に成功しない、デフレは、大規模な戦争を否定する路線のなかから生まれるから(p52)

・ロシアプーチン大統領は、国際的な基準にあった発言を繰り返してきたが、それを完全に裏切ったのは、2014年3月のクリミア半島侵攻宣言(p53)

・ファナックの株価が上昇した理由は、世界最大の「ロボット」メーカだから、さらに技術水準は誰が見ても世界一(p61)

・日本は1996年から、世界のすべての国に対して、特許の国際貿易で黒字、2014年で、ほぼ2兆円、しかも年間2000-3000億円のペースで増えている(p66)

・研究開発投資の効果はすぐには現れない、日本の場合、第一次石油ショック(1973)後に始めて、効果がでたのは1992年、20年かかる(p67)

・株式投資に必要なのは、1)情勢判断(デフレ、インフレ、その背景)、2)技術水準、従業員の労働力の質、3)流動資産で保有するという原則(現金保有率)を貫けられるか(p70)

・買ってはいけない会社として、東芝、会計処理に問題があり、それを収拾できていない(p79)

・どう考えても安いのは、三菱自動車、2000円を超えることになるだろう、富士重工も高くなるだろう、一方でホンダは3つの大きな失敗をしている、1)中国投資が大きすぎる、2)燃料か電気がどちらを実用化するかの判断の遅れ、3)合理化ができていないので生産コストが高い(p92)

・シチズンのように、資産をすべて捨てる覚悟があれば中国から撤退できる(p96)

・イスラム国をイラクが制圧できないかの理由は、指揮官が部下の給与を1000人分もらった場合、800人分は横領してしまい、軍隊として機能していないから(p120)

・スエズ運河やアメリカ大陸横断鉄道のような大きなプロジェクトができたのは、ロンドンやパリ、ニューヨークの証券取引所に上場して、社債の発行によって資金を得られたから(p129)

・三菱重工も有望、ベンベルク(洋服の裏地に使用する繊維)を生産している繊維メーカは90以上あるが、その製造機械はいまは三菱重工のみ製造(p130)

・発電に使われる石炭ボイラーも三菱重工のみ、今では、福島県の勿来(なこそ)発電所で使われている、客船建造で1000億円の特別損失を出して株価低迷、長期的なら買い銘柄(p132)

・四季報などで、特に重視する情報は、研究開発費・金融収支(キャッシュフローが黒字か)・平均年齢、である(p196)

2015年7月20日作成

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2015年07月20日

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