【感想・ネタバレ】晩夏の墜落 下のレビュー

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Posted by ブクログ

アメリカの映画プロデューサー・テレビ番組プロデューサー・脚本家・作曲家・作家・映画監督作家「ノア・ホーリー」の長篇ミステリ作品『晩夏の墜落(原題:Before the Fall )』を読みました。

「アリス・ラプラント」に続き、アメリカのミステリ作品です。

-----story-------------
数々の人気海外ドラマを手掛けたクリエイターによるアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞作

〈上〉
メディア界の要人がチャーターしたプライベートジェット機が大西洋上に墜落。
この惨事に巻き込まれた画家の「スコット」は救出した男の子とともに夜の海を命がけで泳ぎきり、奇跡的な生還を果たす。
世間から英雄視される「スコット」だったが、落下原因の究明が難航するなかで次第に疑惑の目が向けられ始め…その飛行機にいったい何が起こったのか?
人気ドラマクリエイターによるアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

〈下〉
米国有数のメディア王や訴追直前の富豪が乗る飛行機が墜ちたのはただの偶然の事故なのか?
意図的な事件なのか?惨事をめぐる報道は日増しにエスカレートし、死者たちが秘めていた過去はさらなる疑惑を生み出していく。
メディアからの攻撃にさらされた「スコット」はある決断を下すが…。
幾重にも連なる墜落以前/以後の物語。
その決着とは。
現代アメリカを舞台に、卓抜なるストーリーテラーが紡ぐ至高のサスペンス巨篇。
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2017年(平成29年)のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長編賞受賞作… 期待して読みました、、、

驚くような真相ではなかったですが… 生き残った売れない画家と4歳の少年の心温まる交流に気持ちが和まされたし、社会派作品としての要素もあって、愉しめる作品でいた。


2015年8月23日、日曜日の午後10時、高級リゾートのマーサズ・ヴィンヤード島からニューヨークへ帰るために《ALCニュース》代表の「デイヴィッド・ベイトマン」がチャーターしたプライベートジェット機が飛び立った… プライベートジェット機には、乗員3名の他、「デイヴィッド」とその妻「マギー(マーガレット)」、娘「レイチェル」、息子「JJ」、銀行家の「ベン・キプリング」とその妻「サラ」、「ベイトマン家」の護衛「ギル・バルク」、貧乏画家の「スコット・バローズ」の11名が乗っていたが、マーサズ・ヴィンヤード島を飛び立ってわずか18分後に北大西洋に墜落、夜の海に投げ出された「スコット」は、やはり九死に一生を得た4歳の「JJ」を抱え、何マイル離れているかわからないロングアイランドの海岸を目指して泳ぎ続ける、、、

命からがらロングアイランドの海岸に泳ぎ着き、奇跡的な帰還を果たした二人だったが、陸ではさらに厄介な事態が待ち受けていた… 一躍、ヒーローとして注目を集める「スコット」だったが、墜落の原因究明に当たる政府機関からは墜落への関与を疑われる。

さらに、「デイヴィッド」がアメリカの右派ニュース専門局の代表だったり、「ベン」がマネーロンダリング疑惑をもたれていたことから、さまざまな陰謀論が巻き起こった… とりわけ、自分の窮地を挽回するために、今回の墜落事故を利用しようと考えた《ALCニュース》の看板司会者「ビル・カニンガム」は、墜落はニュース専門局の代表を狙ったテロだと主張、執拗に「スコット」を追求し、過激な主張を繰り返す、、、

プライベートジェット機の中で果たして何が起き、何が起きなかったのか? 墜落は、事故だったのか、事件だったのか? 乗り合わせた乗員乗客11人の過去を洗い出していくうちに事件の真相が徐々に明らかにされる。

墜落したプライベートジェットに乗ったばかりに、運命が大転換してしまった「スコット」の人生と、墜落原因の解明を2本のメインストーリーに、乗り合わせた11名の人となりのドラマ、ニュース専門局を中心にした報道メディアの闇の暴露をサブストーリーにして、現代アメリカの脆さを描いた壮大な人間ドラマが展開されます… その中心は、人を信じて素朴に生きようとする「スコット」と、陰謀論に凝り固まって人を陥れようとする「ビル・カニンガム」の対比でしたね、、、

本作では敵役の「ビル・カニンガム」が巧く(憎たらしく)造形されていて効果を上げていましたね… 謎解き作品としてだけでなく、社会派作品としても愉しめる作品でした。

終盤は、海中から発見された機体のコクピット入口に残された弾痕やフライトレコーダー、ボイスレコーダーの解析、そして乗員乗客の過去から徐々に真相が明らかになる展開と、「スコット」が「JJ」を護るために「ビル・カニンガム」と番組中で対決する展開が交互に描かれ、一気に読んじゃいました、、、

上下巻で約650ページ… 短く感じましたね。



以下、主な登場人物です。

「スコット・バローズ」
 画家

「デイヴィッド・ベイトマン」
 《ALCニュース》代表

「マギー(マーガレット)」
 デイヴィッドの妻

「レイチェル」
 デイヴィッドの娘

「JJ」
 デイヴィッドの息子

「ギル・バルク」
 ベイトマン家の護衛

「エレノア・ダンリーヴィ」
 マギーの妹

「ダグ」
 エレノアの夫

「レイラ(レスリー)・ミューラー」
 富豪

「マグナス」
 スコットの友人。画家

「ベン・キプリング」
 銀行家

「サラ」
 ベンの妻

「ジェニー」
 ベンの娘

「ビル・カニンガム」
 《ALCニュース》司会者

「クリスタ・ブルワー」
 《ALCニュース》プロデューサー

「ドン・リーブリング」
 《ALCニュース》顧問弁護士

「ジェームズ・メロディー」
 ガルウィング航空613便機長

「チャーリー(チャールズ)・ブッシュ」
 ガルウィング航空613便副操縦士

「エマ・ライトナー」
 ガルウィング航空613便客室乗務員

「ガス・フランクリン」
 国家運輸安全委員会調査主任

「ウォルター・オブライエン」
 FBI特別捜査官

「バリー・ヘックス」
 財務省外国資産管理局調査官

0
2023年02月16日

Posted by ブクログ

米国有数のメディア王や訴追直前の富豪が乗る飛行機が墜ちたのはただの偶然の事故なのか?意図的な事件なのか?惨事をめぐる報道は日増しにエスカレートし、死者たちが秘めていた過去はさらなる疑惑を生み出していく。メディアからの攻撃にさらされたスコットはある決断を下すが…。幾重にも連なる墜落以前/以後の物語。その決着とは。

文字通り、墜落してしまった感じ。

0
2022年02月19日

Posted by ブクログ

プライベートジェット墜落事故の生存者を軸に、乗り合わせて助からなかったひとりひとりの背景を描いて群像劇を構成しつつ、事故の原因がラストに明かされる。映画『クラッシュ』を思わせる。…けど、あんまりカタルシスがないんだよなー、感情的な高まりがなく淡々としてるからかなー。構成も人物造形もお見事ではある。

0
2017年08月30日

Posted by ブクログ

なんだろ…読み終えてから何冊か
他の本を読んでいるのに
テレビとかニュースを見る都度
思い出してしまう。
サスペンスかと言われるとうーん

0
2017年08月11日

Posted by ブクログ

あらすじから察するにジェット機墜落の原因を暴いていくサスペンスかと思ったら、乗客だった人々の人生、暴走するメディアの姿を描いた作品だった。原題を訳すと『墜落以前』なので、Beforeの方にウェートが置かれているのは当然か。

本作品で作者は生き馬の目を抜くニュース専門局の業界内部をつまびらかにしているが、強い影響力を持つニュース専門局は、一歩間違えば暴走する可能性を秘めている。そんなメディアの危うさにスポットを当てた展開は、同じ業界に身を置く作者ならでは。

テレビドラマの製作に携わっていた経験値が作品によく出ていると思う。この辺りの評価は読者の経験値にリンクするんでしょ、海外ドラマを観てるか観てないかの。割と早い段階から「海ドラあるある」を読まされている気がしてただただ長かった。面白くないわけじゃないが、どこまでも浅いと言うか、わざわざ活字で読む必要はないかな。映像で見れば十分。

このレベルでもエドガー賞をとれるんだなーという印象が一番強かった。

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2017年08月06日

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