あらすじ
1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜ――。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が……。薬物、写真、地下水路。昏(くら)い迷宮を彷徨(さまよ)い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!
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Posted by ブクログ
薬によって見る悪夢のターンと現実が交差してる構成やけどとにかくどっちも暗い。笑
三ツ森はいいひと過ぎて絶対なんか怪しいと思ってたら…。
でも基本的にはいいひとなんかな。
お金持ちの家に生まれながらもその家の父や兄が見向きもしなかったような家の子供である主人公・辰男のことを昔から可愛がって世話焼いてくれてたわけで。
そこには何の損得感情も無かった。
…もしかしたら自分がある種盲目的に愛してた美禰子の命を救った男の息子やった辰男やからこそ恩を返すような気持ちやったとか?
そしてその後美禰子は失踪して世の中的には辰男の父が殺害したと思われてたけど美禰子と隠れ暮らしてた三ツ森は真実を知ってたから恨む気持ちもなかったやろう。
ただ…その美禰子が駅のホームで亡くなってしまった。そしてその原因が辰男やと思い込んでしまった。そうなるともう今までのことなんか帳消しでただただ辰男を苦しめてやろうという気持ちで染まる。
辰男の人生があまりにも哀れすぎる。
子供時代から今に至るまでずっと苦しい。
結婚して子供も生まれて…でも過去の記憶に苦しめられ続けて。
結局離婚になってしまったけど今回の事件で息子の俊也との距離は近づいたし、俊也も最後「お母さんに、僕が話す」と言ってくれたし今後の人生はせめて幸せなものになるといいな。
まあ最初のシーンで俊也が「お母さん再婚するみたいだよ」ってこと言ってたし…現実的に考えて家族がまた前みたいに3人で暮らすことはもしかしたらもう難しいのかもしれんけど。
とにかく彩根がいてくれて良かった。
たまたま彼は御先祖様のお墓参りに来ただけみたいやったけど…最初は掴みどころのない人やったけどとにかく役に立ってくれた。
彼がいなければ今頃辰男も俊也もこの世にいなかったかもしれんから。
こんなに暗くて長くて不可解な(最後まで読んだら全て明らかになってスッキリするのは道尾秀介作品らしい)話やのに途中で飽きたりもせずしっかりずっと面白かった。
Posted by ブクログ
夢と現実、過去と現在を行き来しているような(実際そうなのかもしれないけど)作品だった。
閉鎖的な村、子どもの時に起きた事件、見てしまったモノ、見てなかったモノ。それぞれの登場人物が知ってる事実と知らない事実が複雑に重なって、起きてしまった事件。
道尾作品はこういう『ちょっとの掛け違いで起きた不幸』『そんなつもりじゃなかったのに他者に与えてしまった不幸』みたいなの多いな。ネガティブアンジャッシュと名付けよう(笑)
イヤミス好きにはたまらない。
前半なんとなく雰囲気が『テセウスの船』を彷彿とさせ(ドラマを見ていたので)、想像がそちらに寄ってしまった。
それにしたって嫌な方、嫌な方に流れていく物語(笑)息子が唯一の癒しだったので、最後まで無事で良かった。
放水はこれ映画とかドラマでぜひ見てみたい演出。中のシーンは閉所狭所恐怖症気味なので読みながらすごく怖かったけども。
アヤネさんは先に別作品(雷神かな?)で存じてたのでテンションがあがりました。今後また道尾作品に出てくるのだろうか。田舎写真家探偵アヤネシリーズみたいになるんだろうか(ならなそう)
夢(幻覚?)の描写はまさしく夢ってこんなんだよなってくらい抽象的で不条理で違和感だらけで、1字1句読んで意味を考えたり想像してしまうと頭おかしくなりそうだってので流し読みした。物語にここまでひつようか?とも思ったけど、主人公の内面の現状を読者に伝えるのには最適だったに違いない。
この手のシリーズにしては珍しく一気読みとならず(なぜか眠くなった)だったので星4で。
Posted by ブクログ
文庫本で600頁超、読み応えのあるミステリー。
各所に挟まれる夢の表現は些か読みにくく好みではなかった。
ミステリーとしては、道尾さんらしい叙述トリックと、各人物の僅かなすれ違いが招くミスリードは相変わらずで、楽しめた。
Posted by ブクログ
読み始めに漂う暗さ。曇天。思い込みは事実を呑み込み、死へと追い込む。化け物は水ではなく、事実を歪める思い込みだったのではないか。息子の存在が曇天をはらす太陽のようだった。
Posted by ブクログ
また道尾秀介らしい評価が真っ二つな。
どんでん返し云々というよりは
ほんの少しのすれ違い、勘違いが
人生を左右するほどの決意をさせるほどの
影響を与えてしまったという悲しい話。
死を決意していた辰男が
故郷で更なる辛い現実を目の当たりにした上で
今後どう生きていくのか気になるところ。
長野でも住んでる地域は多分だいぶ違うんだろうけど
分かる方言がちょこちょこ出てくるね。
Posted by ブクログ
主人公は幼少期に闇のある中年男性、心を病み離婚。小学生の息子と自分の故郷を訪れ、父の死の真相を探る。
というと楽しそうですが、実際には暗く陰鬱な物語です。
■よかったところ
・道尾秀介ワールドで、物語に引き込んでいく力は強いです。一気読みしました。
・なかなか複雑ですが、トリックや真相のカタルシスはしっかりあります。ここはミステリーを読む上で本当に大事です。
■うーんなところ
・暗い、とにかく暗い。最後に救いがあってよかったですが、最終盤までとにかく暗いです。物語の世界観という意味では一貫されています。
・合間合間に入る空想シーンというのか妄想シーンというのか、私には読みにくかったです。物語の雰囲気には一役買っていますが。