あらすじ
死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか? どうして囚人は、人目につく満月の夜を選んで脱獄を決行したのか? 墓守が自ら一度埋めた死体を再び掘り返して解体した動機は――。世界各国から集められた死刑囚を収容する特殊な監獄に収監された青年アランは、そこでシュルツ老人に出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となった彼は、監獄内で起きる不可思議な事件の調査に係わっていく――。終末監獄を舞台に奇想と逆説が全編を覆う、異形の本格ミステリ。第16回本格ミステリ大賞受賞作。/解説=円堂都司昭
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短編はあんまり好きじゃないけど最終話で一気に持っていかれたのが鮮やかすぎて大好き。1話ずつフムフムなるほどなるほどと読み進めて、最後!?!?になった。ラストの好き嫌いは分かれそうだけど、創作には現実味のなさと説得力を求めるタイプの私は大好き!思想の強いキャラ大好き!
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最終話、おおかた予想していた流れになって少し中だるみを感じていたが、エピローグで全部吹っ飛んだ。
いろんな解釈があると思うけど、わたしは怖かった。少しずつじわじわと恐怖感に襲われた。
『ラストですべての予想を裏切る、』と帯にあったけど、本当にその通りだった。
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ミステリー書評
読書レベル 中級
ボリューム 350頁
ストーリー ★★★★★
読みやすさ ★★★★
トリック ★★★★
伏線・展開 ★★★★★★!
理解度 ★★★★★
読後の余韻 ★★★★★★!
一言書評:
ラストの衝撃がスゴイ!
(この系統のどんでん返しは初かも)
物語の時代背景や設定も超COOLで面白い!
約8年前の作品なのに、
古典作品風の雰囲気・品格が漂う素晴らしい作品!
しかも短編集なので読みやすい!
途中まで、だよねー、ですよねー、と思惑通りのストーリー展開だっただけに、ラストのやられた感の衝撃が半端なかったです、、、
唯一のネックは(私自身が苦手なだけですが)カタカナ表記の外国人の登場人物が多いこと。とは言え、各章ごとに一応完結するので、そこまで迷子にならずに読めました(笑。
Posted by ブクログ
初めて読んだ類のミステリー。時代の変化に伴って死刑事情も変わり、ある国が終末監獄で死刑を担い始める。話は主人公が収監されるところから始まり、監獄内で起こる不可解な事件や自身の育ちの秘密を紐解いていく。イスラム系の雰囲気をベースとしつつ監獄というカオスだけでなく全世界から集められた囚人というカオスが乗っかり終始飽きることなく読み進められる。賢いなと思うより狂気を感じるトリックばかり。一般的なミステリー小説では普通の世界観をベースにして、そこで起こる事件やトリックにスパイスを求めるようなイメージだが、この小説は狂気に普通のスパイスをかけているようなイメージ。僕はあまり死の恐怖や狂気を実際に感じたことはないのに、この本ではよくその感情をトレースすることができる。著者の力を感じた。
欲のために捕まり、欲のために処刑し、欲のために逃す。
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本屋のポップに惹かれて購入
面白かった!
伏線回収もされていて、
今まで読んだことないジャンル。
こうやって素敵な出会いがあるから
やっぱり本屋さんでの本選びは好き!
Posted by ブクログ
初めての作家さん。あらすじを読んでなんとなく購入。
外国の名前で最初ちょっととっつきにくかったけど、案外すらすら読み進めることができた。読みやすい。
短編連作。
派手な「お、面白い」という展開はなく、淡々と探偵役が謎を解いていく。
古き良きTHE推理小説という感じで楽しめた。
最終話の終盤。
え、どうなる?どうなるの?とここにきて怒涛の展開がムネアツ。
最高潮に高まった胸がじーんときて、エピローグの最後の数行で冷や水を浴びせかけられた。
いやうん、お見事でした。
楽しませていただきました。
Posted by ブクログ
積読から一冊。
各国の死刑囚のみが集められた監獄が舞台。
監獄の長老と主人公がコンビを組んで、監獄内での事件を解決していく連作短編集。
設定からか序盤はなかなか入ってこないものの、事件や謎解きに関してはきちんと成立しているので徐々に慣れていく。
最終的に主人公の話になり、大団円(?)を迎えるものの、最後の最後できちんと裏切ってくれた。
一言書評「え、そっちなのか」
Posted by ブクログ
面白かった!読み慣れない名前で 躓いてペースが落ちてしまうけれども クライマックスにかけての盛り上がりが凄い。 怖い。恐怖を感じる。
そして 男はどこまでいっても男なんだなぁと。泣
母親の愛情に勝るものはなし!
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死刑廃止論が広まり執行を世界中がためらう中、そんな囚人達に税金を使い続けなければならない不満、そんな不満の受け皿となった産業として死刑囚を集めた監獄という設定が面白い。各死刑囚の物語は今一つの感はあるが、ラストの希望がと思わせる中からのオチはどんでん返しとして十分な内容だった。
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面白かった。
死刑囚たちの死の前後のミステリ。
設定だけ特殊なただの短編集なのかと思いきや、ちょっと伏線が散りばめられてて最後幕切れのところでそれを回収して行った。
シュルツは実はアランイシダのお父さんで、TSウイルスキャリアである息子をなんとしても脱獄させてTSウイルスを生き延びさせてテロ行為をしたいという話だった。読みがいありました。
Posted by ブクログ
死刑囚ばかりの終末監獄で起きる事件。それを解決するシュルツ爺と主人公の日系アメリカ人アラン。
舞台は現代のようだけどなんとなく昔のエジプトを想像しながら読んでしまったので、タッチパネルとか普通に電子機器出てきて脳が混乱した笑
短編集のつくりだったので読みやすかったけど、ミステリーとしてはオチはそれぞれちょっと物足りなかったかな…
アランが役に立つからと助手として選ばれるにはいつまでも察しが悪いボンクラのままだなと思ったけど、最終章で訳がわかる。まあその前に読者はオチも読める。
でも最後の最後の胸糞感はなかなか悪くなかった。
シュルツ老の子どもたち…テロリストはやっぱりサイコ野郎だったか。
Posted by ブクログ
おもろでした。
異国の監獄が舞台の短編ミステリー集
最初は、人名など取っ付きにくいかもですが、他の海外作家の小説よりも、断然読みやすい。
短編集ですが、最後の結末には、だいぶ引き込まれた。
まさに死の砂時計をひっくり返されたという事なのだろうなと。
読みやすいです!!オススメ!
Posted by ブクログ
短編集の形でありながら、一冊を通読したときに、あの出来事もすべてはこの結末のための伏線だったのだと明かされる。
アランが主人公の体裁ではあるが、その実、陰の首謀者は別の人物であった。
アランの生い立ちが語られる段階で、この人物が本当の父親なのだろうと推測できるが、その後の行動をみると、一見父親としての思いで動いているようにみえるものの、最後にそれも読者の勝手な思い込みで、利己的な動機であることが明らかになる。
本作をイヤミスとするのかどんでん返しや伏線系とするのか、はたまたそれ以外なのかは人によって変わるだろうけれど、一つ一つの話は決して読みにくいものではないので、あっという間に読み進められる。
その点において、本作はエンタメ小説でもあると言えるだろう。個人的には伊坂幸太郎のマリアビートルを読んだ時の感覚に似ている。(当然ながら話の内容が似ているわけではない)
Posted by ブクログ
短編は物足りなさを感じる。しかしメインは予想を超えてきた。そういえばすっかり忘れていた。彼らは皆監獄の中だった。罪を犯した愚かな人たちだった。
Posted by ブクログ
本格ミステリ大賞受賞作人のことで手にしてみました。
読み始めは設定や登場人物名に惑わされつつ、短編で読み進めやすい。
キャラクターが分かってくると、こうなるのではという予想の斜め上をいかれる感じ。
最終章もしかり。砂時計の文学的な表現で、ちょっとこれまでとは違うぞという気にされてからの、ゾワっと…
映画で見た刑務所をイメージしながら読みました
Posted by ブクログ
世界各国から死刑囚を引き取って収監するという特殊な監獄を舞台にした連作短編集。
やや奇想が過ぎるが、どの短編も面白く読めた。
ミステリで連作短編集だと、最後の短編が「それまでの短編をひっくるめてどんでん返し」というパターンのものがあるが、本作の最後の短編もその類。ただし「自分の子供を想う気持ち」の「自分の子供」という語句が、本作の主人公であるアランを指し示していないのがイヤミス的でゾクゾクするエンディングだった。
Posted by ブクログ
何かで見て気になったから読み始めた作品なはずだけど、何がきっかけだったか思い出せない。
読み慣れない中東の世界観だったから始めは人物名や状況に戸惑ったけどすぐに慣れた。慣れてしまえば、読みやすく分かりやすいミステリーもの。
最後にゾクッとする。(そういう意味?!と)
Posted by ブクログ
死刑囚を集めた監獄内で起きる怪事件を、探偵役の老人と助手役の若手という二人の囚人が解決していくミステリー小説。 形式的には6編からなる連作短編集となっている。 密閉された獄舎内でのあり得ない事件の謎解きで進められていくが、最終編で暴露される二人の囚人の真の姿と関係、意外な結末が想像を絶するものだった。まさに奇想天外な小説だ。 舞台となるのは世界各国から集められた死刑囚を収容するジャリーミスタン終末監獄。 親殺しの罪で収監されたアラン青年は〝監獄の牢名主〟と呼ばれるシュルツ老人と出会い、老人の助手となって監獄内の事件捜査に携わる。
死刑執行前夜に密室状態の独房で惨殺された囚人、人目につく満月の夜に脱獄した中国人囚人、退官間際に謎の死を遂げた監察官、男が一人もいない女子刑務所で身籠った女囚。摩訶不思議なそれらの真相をシュルツ老人が明晰な頭脳と洞察力で暴き出し、助手役のアランも次第に成長していく。
それだけでも十分楽しめるが、読者とすれば、著者が冒頭から含みを持たせたアランの親殺しの真偽が気になり、最後までやきもきさせられる。
囚人収容施設のキャパシティや維持管理費用、チベット仏教における鳥葬や五体投地というしきたり、胎児をどこから人として扱うかの宗教的な違い、チャウシェスク政権下でのルーマニアにおける生物兵器開発など、勉強になる要素も盛り込まれている。
しかし、ラストの展開は奇抜過ぎ、思い描いていたシュルツ老人の人間性が覆され複雑な心境になった。
Posted by ブクログ
架空の監獄でのお話。最初は短編集のよう。ちょっと納得できないトリックや動機もあるがサクサク読みやすい。
そしてラスト一章が怒涛の展開で一気読み。なんとなく予想できたラストで綺麗に終わる…かと思いきやエピローグで変な声が出た。ある意味どんでん返し。謎解きとしては声を大にして面白い!とは言えないが、予想していなかったラストに拍手。
Posted by ブクログ
短編の一つ一つはミステリとして楽しめたが、メタ的に読み進めると、"死刑囚だけが集まる終末監獄"という舞台設定の意味が薄いように感じた。
登場人物の心理描写、所作もあっさりしていて読みやすいが、普通の刑務所のようで危機感や絶望感が弱い。登場する人全員がいつ死んでもおかしくないという状況を忘れてしまいそうになる。
死刑囚のみという条件を活かしていない短編もままあり、そこを期待してしまっていたので星3。
Posted by ブクログ
すごく面白い。
ブラウン神父ばりのユーモラスと逆転発想が楽しめる。
ボリュームもちょうどいい。
(ほめ言葉として)コスパ的&タイパ的に申し分ない。
ただし、女囚~のところはちょっといただけないかな。
Posted by ブクログ
世界中の死刑囚を集めたジャリーミスタン終末監獄で起きる事件を、シュルツ老人と助手の青年アランが解決していくお話。
特殊な設定で、面白い世界観。
シュルツとアランの本当の関係は、なんとなく予想できてしまった。
アランの死刑に至るまでの日々の描写が妙に生々しくて恐ろしくて良い。
で、そのアラン君を、助けにきた父。
その場面は感動的なんだけど、最後の最後の一行で、その感動が台無しになるくらいの大どんでん返し。
あ、そうきたかーって感じ。
正直、個人的にはあまり好みじゃなかった。
じゃあ、どうすれば面白かった?ってなると返答に困るんだけど。
そもそもあまりこの二人に感情移入できてないから、ハラハラしなかったんだよなーっていう。
後味悪い感じで終わるのか?
いや、親父助けに来たぞ?
あー普通の終わり方かー。
あれ、最後そういう感じ? みたいな ^^;
ひどく冷静な読み方になってしまったのは、残念。
それ以前の個々の謎解きは面白かったです。
Posted by ブクログ
世界中から集められた死刑囚を収監する終末監獄。両親を殺した罪で収監されたアランと、囚人の長老シュルツが監獄内で起きた事件を解いていく。
最終的にいい話で終わるかと思いきや、充分イヤミスだった…
Posted by ブクログ
世界各国の死刑囚が集まる特殊な監獄が舞台の連作短編集。
起こる事件も監獄内なので探偵役、犯人も全て監獄の中という限定状況が面白く、ラストの独白はエグい!
「魔王 シャヴォ・ドルマヤンの密室」「墓守ラクパ・ギャルポの誉れ」が良かった。
Posted by ブクログ
正直終盤までは驚きの少ない謎解きで退屈な作品だと思った。
終盤から主人公が監獄に入った経緯など生い立ちが明かされていき、面白くなるのだが父親が誰かは安易に分かってしまったので残念(事前に匂わせすぎだと思う)
唯一驚きをもらえたのはシュルツは好々爺になったかと思っていたが、最後までエゴの塊であり、
息子を脱獄をさせたのは救うためではなく自ら開発したウイルスの唯一のキャリアを世には放つためで(も?)あったこと
脱獄後に息子は発症したのかや、世界にウイルスが広がったのかという、「いったいどうなったんだ!?」とモヤモヤさせて心を離さないという点で、記憶に残り続ける作品になりそう
Posted by ブクログ
死刑囚を収容する「ジャリーミスタン終末監獄」の中で起きる事件を描いた、連作短編ミステリー。
監獄を題材とした作品のため、探偵・助手・被害者・犯人が全員死刑囚という、異様なミステリー。この練り上げられた設定と魅力的な登場人物に脱帽した。また、本作のジャリーミスタン終末監獄は日本でなく海外にあるので、様々な人種が登場する。登場人物や専門用語もカタカナであることが多いのだが、読みやすさと独特な設定に引っ張られ、瞬く間に読み終えた。
考えてみれば作者の鳥飼否宇氏は日本人なので、日本人の私が読みやすいのは当然といえば当然なのだが、どうやら翻訳作品をあまり読まない私は、外国人の名前が出てきただけで小難しい話と思いがちなのかもしれない。
本作の探偵役は80歳の老囚であるトリスタン・シュルツ。監獄内最年長の彼は、助手のアラン・イシダと共に、その頭脳に信頼を寄せる獄卒長や看守長からの依頼を軽やかに解決してみせる。意外にもシュルツと役人たちの関係は良好で、死刑囚に推理の依頼をする獄卒長という構図は、くすっと笑わせてくれる不思議なユーモラスさを持っている。
死刑囚を監獄しているジャリーミスタン終末監獄は、勤労の時間を除けばかなりの自由が認められているのだが、獄中にいるのは死刑囚たちばかりのため日々争いが絶えない。そんな死刑囚たちも長老として一目置く存在がシュルツなのだ。私たち読者は語り部兼助手であるアラン・イシダの目線で、偉大な老囚探偵の活躍を目に焼き付けることになる。
格好良くて頼り甲斐のあるお爺ちゃん探偵。こんなの好きにならない理由がないじゃない!
しかし、鮮やかな手際で事件を解決しているシュルツの姿を見ていると、「なぜこんな聡明なお爺ちゃんが死刑囚になってしまったんだ…?」と疑問を抱いていくだろう。
そして、最終章で描かれるシュルツの真実と、『死と砂時計』という本作のタイトルの意味。第3編『墓守ラクパ・ギャルポの誉れ』などでも砂時計は登場するが、まさかタイトルの意味がこうもじわじわ効いてくるとは…。
書店のポップに惹かれて購入したのだが、鳥飼氏の作品に出会えたことに感謝するばかり。奇抜な設定の裏に確かなミステリーらしさを感じた傑作。ぜひ読んで監獄生活に身を浸してほしい。