【感想・ネタバレ】総理のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ


安倍政権を巡る人間模様や決断の内情、政局記者のジャーナリズムの在り方について問う一冊。安倍、麻生、管の結び付きややり取りの一場面がよくわかり面白い。海上保安庁長官の生抜き登用など、官僚の抵抗具合の計算も含めた根回し・準備といった管の人事術。安倍と麻生の共通点。楽天的で逆境に強い。安倍の国家観「誇りを持てる国づくり」。安倍の最も肝に銘じていること「人事において情に流されないこと」。政権人事や増税の際の記者を介してのやり取りは興味深い。安倍達に原稿も見せてないし書いていいかも訊いてないことを踏まえれば、肉薄と不適切の境界については結局バランスのとれる記者のみが携わるべきなのだろう。

本書の第一の目的は、著者山口敬之が至近距離で見てきた安倍政権とキーマン達の言動を明らかに、宰相の仕事、人物像、運営方法を伝え、宰相にふさわしい人物、ポスト安倍を考える一助にしてもらいたい。第二は、ジャーナリズムの果たすべき役割を考える材料を提供したい。至近距離の人間関係を築けなければ政治の内情は分からない一方で、接近すればするほど政治家の太鼓持ちや不適切な関係を生みやすい。著者は、距離が近い=不適切という批判には断固反対する立場。「取材対象に肉薄する」というジャーナリズムの本能と機能が国民の思考と判断を支える一助となっているか、その一例である本書がプロパガンダではなくジャーナリズムの仕事に属するものであるかどうかを判断してもらいたい。
ジャーナリズムについて。取材対象に肉薄する記者の本能とリスクを忌避する会社組織の構図。政治記者には政局記者と政策記者があり、前者は政治家などにつき独自の情報をいち早くとってくる攻撃型。後者は、安全保障、税制など政策課題を足掛かりにこれに関わる政治家官僚学者などを幅広く取材し知識と人脈を広げていく分析型。
安倍と麻生のやり取りで、そこまで信頼のおける関係築けている記者側はよいが、人事案や意見交換を記者を介してやらせるあたりはどうかと感じる。明らかにされること前提ならよいが。

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2020年08月12日

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