あらすじ
人類の歴史を紐解けば、ニュースの真相が見えてくる――。
予備校教室を沸騰させるカリスマ「世界史」講師が、現代社会の本質を鋭く抉る!
私たちは日々、メディアやネットを通してさまざまなニュースに接しています。戦争、テロ、国際紛争、政治家や有名人のスキャンダルなどなど……。しかし、これらの個別の情報を表面的、近視眼的に眺めていても、なかなかその本質はつかめないものです。そこで本書では、最近話題となったニュースを例に、目の前で繰り広げられる個々の事象を多角的、大局的に俯瞰し、世界史的な視点から考察していきます。歴史を紐解き、先人たちの足跡をたどり、過去の失敗や成功に学ぶことがいかに有益か、それにより「現在」の見方がどれだけ変わってくるか――。読者の皆様に実感していただければ幸いです。(本書より)
「人間が歴史から学んだ唯一のことは、人間は歴史から何ひとつ学ばないということだ。」(ウィンストン・チャーチル)
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障害ある者に対する差別と反動
・歴史的に見て、障害者は差別的な扱いを受けることが多かった。
→古代ギリシアのスパルタ「優れた者だけが生きることを許される。容姿の醜い者に結婚する権利などない。
身体に障害のある者は役立たずだから、社会から排除するべきだ」
→キリスト教が広まったヨーロッパ「全知全能の神が意図せず不完全な体の子を造られるはずがない。
もし障害者を神が造られたとしたら、それは罰を与えられた子だ。悪魔の子だ」
→こうした理由づけは、その時代、その時代の価値観に合わせて後から取ってつけたものであって、
その根底にはスパルタ的価値観が流れているだけに過ぎない。
→進化論が広まったヨーロッパ「進化論が正しいならばなおさらのこと、劣性遺伝子を後世に残さぬために、
いよいよ以って障害者などに子孫を残させてはならない」
→障害者を社会から隔離、不妊手術の強制→ナチスの優生保護法(1933)成立
→障害者に対する差別の反動「障害は個性」「障害者は天使だから優遇せよ」
「区別することは許さない」「”障害”とは何事だ!書くなら”障碍”か”しょうがい”と書け!」
→差別心というものは、心に宿るのであって、言葉に宿るものではない。言葉狩りは障害者を腫れもの扱いさせるだけだ。
(むしろそれが目的だろう。自称人道主義者にとって、差別はメシのタネだからだ。
彼らにとって、差別は気持ちよく相手を叩きのめす武器であり、利権そのものである。そこに障害者への思いやりはない)
→「オレ様は障害者だから、周りの者どもの援助や慈愛を受けて当然だ。
断るなら、差別主義者のレッテルを貼ってやる」という態度は思い上がりにすぎない。
人間というものは、「物心つく前から当たり前のようにある」ものに対して、感謝の気持ちが持てないものなのだ。
過保護は人間をダメにしてしまうのである。重要なのは「障害者自身が自立できるよう努力する」ことなのだ。
→障害者を差別することはいけないことだ。障害者を保護することもある程度は必要だろう。
しかし、それが行き過ぎると「支えられている自分」を自覚できない”精神的に未熟な人間”を作り上げてしまう。
それはお互いのためにも良くないのだ。