あらすじ
ゴミ箱というパンドラの箱を開けると、ツーンとした臭いの先に、都市生活者の事情が見えてくる。風俗嬢、ファストフード店、相撲部屋、不法滞在外国人、極道一家、新々宗教団体……のゴミ袋の中に押し込まれたそれぞれの素顔。本音と建前、虚栄心と劣等感が入り交じる欲望の残滓を捉えた写真ルポ。
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Posted by ブクログ
ずいぶん前の本ですが、中味はというと、東京中の路上に集められたゴミを徹底的に追跡し、場合によっては中味まで見てしまう、という内容です。黒い袋など、中味が何かちょっと覗くのが怖いですが、住んでいる人の生活ぶりがよくわかるこれは立派な社会学テキストです。相撲部屋から出されるゴミに今どきの力士の生活感が漂います。また、夢の島というゴミの集積地にまで乗り込んで、最終処分場とはいかなる所か、とかゴミ問題にまで発展して、人間を鳥瞰的に観察しているレポートです。おもしろかったのは、深夜に軽トラで乗り付けて荷台からゴミを一般の収集場所に紛れこませて捨てて行く夫婦者の徹底追跡など、読んでいておもしろく、また、東京という都会の裏事情までがわかってきます。本の装丁も凝っていて、黒いゴミ袋を連想するようなデザインになってます。奇書の分類に入るような本ですね。