あらすじ
「知の巨人」が実践するニュースの読み方。
いま日本人に必要なのは、無秩序な情報を論理的に組み合わせ、「見えざる敵」を炙り出す思考である。
本書は、この5年間に世界で発生した大事件に対して、佐藤優氏が正面から思考した記録である。
国際情勢分析は、同氏にとって外務省主任分析官時代からのライフワークだ。インテリジェンスや地政学、宗教的知見から事象の「本質」を導き出すアプローチは、大陸から隔絶された島国で暮らす日本人が国際社会で生き抜く術でもある。
【目次】
第一章 世界の「ルール」が変わった――欧米・ロシア
第二章 視えざる「テロ」との戦い――中東・欧米・日本
第三章 東アジアの緊張――中国・韓国・北朝鮮
第四章 危機に備えよ――日本
地球規模の動乱を生き抜くために――。そのヒントは本書にある。
(2016年12月発表作品)
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Posted by ブクログ
「21世紀に入ってから16年になるが、国際情勢は年を追うごとに複雑になっている。その最大の理由は1991年12月のソ連崩壊だ」との書き出しで始まる、元外務省主任分析官・佐藤優氏の評論集。
ここ数年の雑誌SAPIOの連載をまとめた。
外務省時代、英国とロシア(ソ連)に赴任していた筆者はソ連崩壊を現場で体験してきた。
あの鈴木宗男事件にからみ2002年に逮捕されて、獄中闘争を潜り抜けて作家となった。
自分の努力と知恵と人脈とで練り上げられたネットワークから得られた情報をもとに、多様化し複雑化する世界情勢を分析していく。
筆者は一貫して、相手の立場を理解しようとした上で、複眼的に物事の本質を捉えていく。
物事に対する視点が深くて広い。そして奇をてらっていない。
「外交は人である」--6000人の命のビザで世界的に知られる杉原千畝への見方も、筆者ならでは。
外交ジャーナリストの手嶋龍一氏との対談で、「単なるヒューマニズムでけでなく、インテリジェンス(重要な事項に属する知識・情報)の面でも重要だ」と語る。
知の巨人がわかりやすく語りかける、新聞、ニュース、そして世界の見方が広く深くなる一書。