【感想・ネタバレ】星々たちのレビュー

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生き辛そうな母娘孫3世代の物語。
でも、当人たちは淡々と逞しく生きて生ききったように思った。
桜木紫乃さんの本は、どんな人をも肯定してくれていて、重苦しい話も不思議と心穏やかに読める。


心に残った一文-------
『優しく捨て合う関係や、愛情という呪いのような押し付けを欲しないことを、わかってくれるだろうか。声に出さず問うてみる。いつものように「わからなくてもいいのだ」という思いが気持ちの曇りをさらっていった。』

誰かに理解されなくても、存分に生きていいと、読み取りました。

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2022年10月29日

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北海道、小樽、札幌、旭川、帯広、釧路、根室など北の大地を舞台に、過酷な運命に翻弄される母娘三代の女性、咲子、塚本千春、田上やや子の物語。「星々たち」(2016.10)、連作9話。何とも心にずしりと重くのしかかる桜木紫乃の世界です。客観的には苦労の連続に見える3人、特に咲子と千春、でも、それぞれが生を全うし、むしろ幸せに生きているかに思えるのが不思議です。著者の「力」と思います。彼女たちの辛い人生をなぞっているのに、心はなぜか暖かくなってきます!

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2019年07月26日

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「星々たち」というタイトルがぴったり。登場人物それぞれが、きらきら美しく輝く、というのではなく、自分の命を少しずつ燃やして、ちかちかと光っているようなイメージ。桜木紫乃さんの静かな文章が大好きです。言葉にしづらい感情や、もやもやして言い表せない気持ちをさらっと表現していて、それが心に沁みたり刺さったり。作家さんて本当にすごいなあと思います。

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2019年06月30日

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ネタバレ

評価は5.

内容(BOOKデーターベース)
奔放な母親とも、実の娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。その数奇な生と性、彼女とかかわった人々の哀歓を、研ぎ澄まされた筆致で浮き彫りにする九つの物語。

とっても良い話ばかりだった。皆皆身勝手なんだけど人間らしい。短編集で主人公は都度変わるのだが結局全てがつながっており1つの物語を読み終えた感がある。

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2018年01月11日

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咲子、千春、やや子三世代のそれぞれのお話。それぞれ独立はしているんだけれど底辺で繋がっている。決して幸福な親子関係ではないけれど、親を恨むでもなく三人三様、それを受け入れ生きているのが似ている点なのか。咲子も千春も何を夢に生きていたんだろう。その時々で精一杯だったのかな。咲かない咲子はそれでも最期、信頼できる相手に看取られた分少し幸せだったかな。北海道の漁村という荒寥とした寂しい土地だからこそ、この女性たちの行き方に共感できる点も生まれてくる。土地の勝利な気がする。東京が舞台だったら埋もれてしまうだろう。

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2017年08月08日

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塚本千春という、男女の愛も家族の絆も求めず求められない女性が歩んだ数奇な人生を、彼女と関わる人々の視点から描く連作小説。
人物設定が秀逸すぎる。何を考えているのか分からない千春の存在を、人生を投げたような人々が語ることで不思議な輝きを与えている。一方で、冴えない生活を送る人々も千春が側にいる時は輝きを見せる。一瞬の相乗作用の後の虚無感が何とも言えない。

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2017年05月10日

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章ごとに視点が変わる短編連作で、誰かひとりの人物について描く…という小説は前にも読んだことがあるけれど、こういう感覚は初めてだ。
感動というか、凄い、と唸る感じ。

奔放な実母・咲子とも、2度目の結婚で自分が産んだ娘とも生き別れた塚本千春という女。
ひとつの関係に囚われず北の大地をさすらう千春の、数奇な性と生、そして彼女と関わる人々の、光と闇の物語。

桜木紫乃さんと言えば、幸薄い北海道の女を描かせたら天下一品、というイメージ。
南国ではなく北国だからこその厳しさや寒さ、乾いた空気が、物語全体をモノクロの風景に変えているように感じる。

1冊通して塚本千春という女を描いている。そのはずなのに、最後まで千春が本当はどんな女なのか分からないままの不穏さ。
どんな経過を辿ったのかは描かれているけれど、千春が何を思いどんな風に考えてその道を辿ったのか、そして後悔や悲しみ等はあったのか、というのがまったく分からないところが、独特ですごく良かった。
ひとりの人をただの人として見つめるとき、実際こんなものなのかもしれない、と思ったりした。
言葉で語ったとしても感情の全ては分からないのだから、語られないところにその人の真実を見つけるのは不可能に等しい。「こう思う」「こうだったのではないか」というのは、ただの想像に過ぎない。

北海道のなかで土地は転々と変わるものの、千春と関わった人たちは皆、北の大地でつましく暮らしている。
安定した職に就く人、金に困っている人、夜の世界に生きる人、夫婦で静かに暮らしている人…実際そこらに生きているような人々の、悲しみや小さな幸せや日々の暮らし。
小さく光りながらやがて消滅してゆく命たち。
ドラマチックではないけれど、それぞれに生きた分のドラマがある。

全ての人が共通して語る千春の像は、細い身体にそぐわぬ大きな胸、美人ではないが妙に惹き付けられるような雰囲気、無表情で無口、何を考えているか分からない…。
客観的に見れば明らかに不幸な生い立ちと理不尽な人生。それなのにただの不幸な女とは片付けられない不穏な魅力。
千春もまた、小さく光っていつかは消える“星々”のひとつなのだ。

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2016年11月24日

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育った家庭環境がその人の性格、とくに性愛に関する傾向によく反映しているなあ、という印象。
生きづらそう、とは思ったが、それは私の価値観で彼女たちの人生を生きたらの話であって、彼女たち自身は至って自然に道を歩いているのだと思う。

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2023年03月29日

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たまに読みたくなる桜木紫乃。
今回もいつものように、うらぶれた町に怪しい男に酒・・・という始まり。
大好きな連作短編集なのだが、千春がねー、もうなんなんだろう。咲子も咲子だったんだけど、みんな短絡的で。
でも千春の書いた詩、ちょっと良かった。どういう人なんだろうと興味をそそられるのはよくわかる。
子も千春もあんなだったからやや子にも期待してなかったけど、祖父母に育てられたのが良かったのだろう、負の連鎖からは逃れられそうだ。
しかしこの人の小説はほんといつも曇天のイメージ。

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2022年09月24日

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人は誰しも1人で生きて、1人で死んでいく。
そんな中で紡がれていく命や星々のような人々への愛を感じる作品。


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2021年10月04日

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自分もまた小さな星のひとつー。解説の、限りなく暗い世界をじっと凝視しているとその底に微かに光を発するものが潜んでいることがわかってくる。…そういう感じ。というのがまさしくそんな感じで好きでした。

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2021年05月09日

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咲子、千春、やや子という母娘三代に渡る大河物語です。
登場人物の設定、ストリートの展開が素晴らしいの一言です。

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2018年11月11日

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母、娘、孫の女三代を軸にした短編集。親子の絆なしに、北国で過剰な期待をせずに淡々と生きる。いびつだけれど輝く星。こういったのは桜木さんならではだなあ。

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2017年11月21日

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咲子、千春、やや子、三代の女性の物語。主に千春が中心に時代が描かれていく。情が薄いことを自覚する彼女たちは自分たちの心の安寧を一体何に求めるのだろう。最終話、やや子が昭彦に告げる言葉に少しだけ明るい未来があった。最後の最後に心を揺さぶられたのは、自分もまた情の薄さを自覚しているからかもしれない。

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2016年10月20日

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読んでいて苦しくなる。それは、この本が生きることの苦しさや不条理や苦しみから目をそらしていないからだ。真っ直ぐに、容赦なく直視している。
だからこそだろうか、身につまされて息ができないくらい一気に読み進めて、先が知りたくてどきどきする。そして、読み終えた後に、寂寥感が残る。それは人生の、生きるということのどうにもならない虚しさだろうか。

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2022年03月02日

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やるせない話。だけどリアルで匂い立つ話。
それぞれに楽しみがあって、憂いがあって、悩みがあって、苦しみがある。それでも生きることは人の業であろうか。
そのなかで輝きたいと願うことは過ぎた願いだろうか。

愚鈍な娘、という言葉で片付けてしまえばそれまでかもしれない一人の女性の、ささやかでかぼそい人生の輝きを、そのどうしようもない人生に見る。

この人生に意味があるのかないのかわからないけれど、それでも人は、その生自体に自覚的であれ、無自覚的であれ、人生を生きていくし、主体的に選んでそうするのか、はたまた流れ流れてそうなるのかわからないけれど、生きていくのだ。

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2021年01月18日

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星3.5くらい!
読み終わった後なんとも言えないどんよりな気持ちになってしまった。。なんと不運な星の下に生まれてしまったんだ…特に千春さんよぅ。。不憫で不憫でもう。
各章の巧みな繋がり具合はさすが桜木さんだなと思いました。

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2017年12月11日

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ネタバレ

北の女。三世代の人生を綴った短編連作もの。
ひとりワルツ
 スナック『るる』の咲子とヤクザのヤマさん。

渚のひと
 咲子の高校生の娘千春、育子の息子圭一の子を身ごもる。

隠れ家
 ストリップ『ろまん座』麗香と千春。

月見坂
 木村晴彦と塚本千春、結婚。

トリコロール
 田上和雄と千春、義母桐子。やや子出産、子を置いて消える。

逃げてきました
 巴五郎と千春。『女体』塚本千春。

冬向日葵
 能登忠治と塚本咲子。そして千春。

案山子
 河野保徳と千春。千春の半生『星々たち』

やや子
 千春の娘やや子と金平昭慶。最後に案山子の伏線拾う。

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2020年01月08日

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桜木紫乃作品の中では あまり好きな作品ではないかな。こういう母娘とか姉妹とかの話は好きだし 他にあるこういうジャンルの話はいいと思ったんだけど これはあまり。
咲子はわかる。やや子もまだわかる。でも千春がねぇ。なんていうか 感情がないっていうか 何考えてるのかわかんないのが 怖すぎて 全く感情移入はもちろんキライとも思えず ひたすら怖かった。これってある意味ホラーの怖さ。
新境地?

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2017年08月19日

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