【感想・ネタバレ】笑う吸血鬼 2のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2/2
大判で既読だが読みやすいサイズで再読してみた。

20年前に丸尾末広を知ったときは「これが正解だ! 極北だ!(何の、かはわからないけど)」と驚いたものだが、
今では丸尾すら何かのバリエーションの一部でしかなく、というか積極的にパッチワークを行うことで逆説的に独自の世界を構築しているのだ、と判るようになった。
築かれるのは、ノスタルジックでリリカルな嗜虐と被虐の塔。
もちろんこの塔は古びた廃墟か、あるいは屹立する肉棒で、全体が汗と性欲と反吐でぎとぎとしている。

すべてがそうだから、この作品だけ取り出してどうということもないのだが、敢えてつらつら書くなら。

・吸血鬼界隈以外の辺見という少年を配置したのが、前半の推進力になっている。
・宮脇留奈が素晴らしい。覚醒とはこういう顔であらねば。というかこの人の描くティーンエージャー少女の顔って理想的。
・サーカス趣味が、あくまで挿入された趣味程度にとどまっているのが、やや珍しいか。
・アクションもいいものですね。大友克洋「AKIRA」っぽいチェイスも。
・後半はやや失速気味?
・パスカル・ロジェ「マーターズ」っぽく現れた女性って結局何なの。
・「永遠の若さ」が裏切られる展開は、結構凄みがある。
・萩尾望都「ポーの一族」でも感じたことだが、吸血鬼になっても「道連れ」を望んでしまう精神って何なのだろう。あるいは吸血鬼の孤独が同志を欲望する。人そのものの精神の形でもあるんだろうけれど。
・本の装丁も素敵。コミックビームは偉い。

0
2021年11月30日

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