あらすじ
遭難救助の最前線で奔走する隊員たちの思いと行動を描く。本書は、長野県警レスキュー最前線、岐阜県警レスキュー最前線に続き、富山県警察山岳警備隊版。
中高年の登山ブームが話題になってきたころから、遭難の態様自体も大きく変わってきた。
その背景には体力の衰えが顕著になりつつある中高年登山者の増加もあるのだろうが、いわゆる「一般登山道での事故」「道迷いや突然死などの事故の増加」「携帯電話の普及と安易な救助要請」など、遭難現場の状況も大きく変わってきた実情がある。
特に北アルプスのなかでも厳しい山容を見せる剱・立山連峰など、北アルプス北部を管轄する富山県警山岳警備隊の苦労は並大抵ではない。
冬の剱岳の救助活動に一項目を設け、初めての遭難救助、思い出の救助活動、痛恨の二重事故、剱沢常駐、ヘリコプターによる航空隊の活躍、民間の遭難対策協議会と山小屋との連携など、遭難救助の第一線で活動する山岳警備隊隊員たちの熱い思いが綴られる。
※全国の山岳警備隊のなかでは、長年、高い救助実績を誇ってきた富山県警察山岳警備隊が、2016年、創立50周年を迎えた。これまでも組織の改編、隊員のレスキュー能力の強化などに努めてきたが、50年という節目はその成果のひとつの表われでもあろう。
本書は、第一線で活躍する彼ら隊員たちの遭難救助への思い、遭難の実態などを明らかにし、遭難防止の大切さを訴える。特に最近は、遭難の実態も中高年登山者の増加、携帯電話の普及などによって以前とは大きく様変わりし、山岳警備隊の役割も多様化しつつある。そうした変化に対応しながら、遭難救助の最前線で奔走する隊員たちの思いと行動を描いた読みものである。
「長野県警レスキュー最前線」「岐阜県警レスキュー最前線」に続く富山県警察版。
感情タグBEST3
生きて帰らなければいけない
私も山に登る一人の人間として、生きて帰らなければいけないのだと強く感じました。
山に登っている間、これまでは全く意識しなかった沢山の方々に守られているのだと気付かされました。
自分の命は、自分が思っている以上に重いものでした。
守ってくださる全ての人への礼儀として、生きて、下山します。
Posted by ブクログ
劔岳を中心とした富山県警山岳警備隊の隊員を中心とした手記集。年代の異なる隊員から訓練や遭難者救出、そして殉職の話が繰り返される。山岳救助への自負と覚悟、そして登山者への優しさが感じられる。
Posted by ブクログ
雪山登山がいかに危険かがわかる。
レスキューを仕事として、熟練した人ですらも雪崩にあったり遭難するのだから一般人が雪山に行くのは相当な覚悟が求められることがわかる。
遭難者を救出する訓練で隊員が死んでしまうこともあるとは
悲しい話だ
それなら、雪山登山を一層のこと禁止位すればいいではなイカと思うほど
自己責任とは言いつつも、場合によっては隊員に救助をもとめないといけないのはなんとも皮肉な話だ
Posted by ブクログ
遭難生還者へのインタビューや遭難事故の事例を紹介する本を読んだので、救助する側の目線を知りたくて読みました。山岳事故=ヘリコプターレスキューのイメージがあるが、ヘリはどこでも飛べるわけではないし、飛んだら次の救助まで一定の時間を空けなければならない。救助隊員は要救助者を背負って険しい山道を進まねばならないこともある。誰も遭難したくて山に登るわけではないが、少しの油断でも命を落としかねないのが山だということ、救助する側も命と想いを懸けていることを知り、山に臨まなければいけないと思った。
ただ女性隊員によって語られる女性差別の実情にはドン引き。後書きでも「(現女性隊員は)女性ならではのきめ細かな活動を行なっている」と語られているけれど、未だにその認識なんだ……というのが正直な感想です。