【感想・ネタバレ】「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」「東京大空襲」のレビュー

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Posted by ブクログ

ベトナム戦争を経験したアレン・ネルソン氏の物語をコミック化した作品と、東京大空襲と敗戦後の日本人の心を慰めた『リンゴの歌』の2本が収録されております。改めて戦争の悲劇を思い知らされました。

以前、原作であったネルソン氏の手記は読んでいましたが、これは『週刊少年マガジン』で掲載されたコミック版と東京大空襲の後に街に流れた『リンゴの歌』にまつわるエピソードと2本立てで収録されております。ベトナム戦争で行われた悲劇は形を変えて世界各国で行われているということを改めて実感させられました。

貧しい生まれのアフリカ系アメリカ人であるネルソン氏は職を転々とした後に米軍のリクルーターに誘われて海兵隊員としてベトナムに派兵されます。初めての戦闘に恐怖を覚えたネルソン氏は相手のことをグークス(見せ物小屋にいる異形の人。そこから転じて東洋人を差別する言葉)とみなし、徹底的に殺しまくります。そんな壮絶な日々を送る彼にある『変化』が起こったのはある戦闘の際、敵からの攻撃を逃れるためにネルソン氏が入った防空壕の中で出産しようとする少女と遭遇したからでした。

そのときのことで決定的に考えを変えたネルソン氏は最低限の先頭のみを行い、除隊をするのでした。しかし、彼を待っていたのは重いPTSDで、家族とともに過ごす事さえできなくなった彼は様々な治療を試みるも効果はなく、途方にくれたところに同級生であった学校の教師に勧められ、自身の戦争体験を子供達の前で語るようになります。さらには彼を救うことになる精神科医のニイル・ダニエル先生との対話によって、彼は人間性を回復するのです。

第二部は東京大空襲とその事件を生き残った並木路子さんが『リンゴの歌』で敗戦で傷ついた人間の気持ちを癒していくというお話でした。これもまた、読んでいて胸に迫るものがございました。

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2013年09月12日

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