【感想・ネタバレ】原油暴落の謎を解くのレビュー

あらすじ

石油の価格は、いったい誰が決めるのか?

「今でも石油の価格は、OPECとセブンシスターズ(欧米の巨大石油資本企業)が裏で話し合って決めているのでしょう?」
私たちの生活に大きな影響を与える石油価格。しかし今でもこうした誤解がはびこっている。

商社に入社以来、40年以上にわたってエネルギー関連事業にたずさわり、現在はエネルギーアナリストとして活躍する著者が、石油価格のメカニズムをビジネスマン向けに徹底解説。また、エネルギーに関する海外のオピニオンを紹介しつつ、いまエネルギー事業が直面している構造変化と、それがもたらすであろう国際情勢の変化を論じる。

<おもな目次>
●第一章 原油大暴落の真相
波瀾万丈の2016年が明けた/資源を「爆買い」した中国/シェールオイルの「強靭性」 など
●第二章 今回が初めてではない
資金ショートか、大油田発見か/強欲独占、ロックフェラー/非OPEC原油が勢いづく など
●第三章 石油価格は誰が決めているか
OPECとセブンシスターズが裏取引?/市場を動かす「先物取引」/中国勢の価格操作疑惑 など
●第四章 石油の時代は終わるのか
石油が枯渇する心配はない/シェール革命の何が「革命」だったのか/石油は「西から東へ」の時代に など
●第五章 原油価格はどうなる?
長期、短期の需要予測/隠された余剰生産能力/エクソンはなぜ読み違えたのか など

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Posted by ブクログ

客観的なデータが豊富。原油価格決定の仕組みが大変詳しく解説されている。原油取引理解のためのテキストと言える。

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2017年05月01日

Posted by ブクログ

前前著「石油の埋蔵量は誰が決めるのか?」で、原油生産の仕組みや埋蔵量決定の仕組みなどを大変分かりやすく解説した著者が、2016年に入って価格が暴落した原油の価格決定の仕組みについて解説した本。書名の「原油価格の暴落の謎を解く」というよりは「原油価格は誰がどのように決定しているのか」、「過去の原油価格の大幅な動きはどのような世界の動きが関与していたのか」の2点に重点を置いた内容です。
知っているようで知らない世界とはまさにこのことかもしれません。未だにOPEC(石油輸出国機構)首脳が集まって原油価格を決めていると思っている人も多いのでは?ところがそんな価格決定のシステムは30年以上も前の事なのです。現代においての価格決定のシステムについては本書の内容に詳しいので割愛しますが、そういう事実を知るだけでも本書を読む価値大と感じます。
原油価格の低い今だからこそ、原油の国家備蓄の増量に取り掛かるべきとの提言は非常に説得力があり、資源を持たざる国である日本に住む我々が、知っておくべき重要な情報を分かりやすく紹介した素晴らしい本だと思います。

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2016年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

重油を扱う仕事についたので、勉強のため購入。参考になった

以下メモ書き。
・原油の品質は、比重(重さ)と含有する硫黄分の量で変わる。
 比重の軽い、硫黄分の少ない原油の方が高い。
・ドバイ原油、生産枠などOPECの規制を受けない、すべてスポット契約で市場価格を示す。
・先物市場における価格。期近と期先の原油値差。将来への価格カーブが上向き(先高、コンタンゴ)か、下向き(先安、バックワーデーション)かに注意する。
・シェール革命。在来型と比べ、投資決断から生産開始までの期間が短く、生産期間も短い。外部の資金調達に頼る、金融市場の影響受けやすい。ただ、生産量は400~500万B/D程度で、世界全体の約9,000万B/Dの数%に過ぎない。20~30年は在来型が主流か?
・チャプター11は「申請した時点で、会社に有利な契約は継続、不利な契約は不履行にして、事業継続し債権を図る」もの。

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2017年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いろんな経済指標の基ともなる原油価格。
その先を見通せるようになりたいなと思っていた時に、新刊で並んでいたので手にした新書。
そもそもどうやって原油価格が決まってきたかの歴史、今回の暴落の振り返り、そして今後の見通し。少しは分かった気になりました。
とりあえず、じわじわと原油価格は持ち直して上昇するものの、シェールオイルの増産生産コストの60ドルあたりがキャップになると。

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2016年07月29日

Posted by ブクログ

世界の将来石油需要は、かなり正確に予測できる。
シェールなどを含む潜在原油埋蔵量は十分あって、枯渇しないと予測されている。
しかし、原油価格は長期の需要と潜在供給量以外の要素によって大きく影響を受け、誰も予測ができないというのが過去の教訓である。
例えば、巨大な原油の在庫を抱えている事業者は、原油が値上がりすると在庫の価値が上がって会計上の利益が出るので、市場の値上げ基調を壊さないために、かえって供給を絞るというような動きをすることがあり、それが市場の動きを撹乱させる要因となる。それ以外にも、様々な市場参加者が様々な思惑で動くので、原油価格は安定しない。
(いつ値上がりするかはわからないが、いつかは原油が値上がりするのは確実なので)原油価格が低い今こそ日本は原油貯蔵量を大幅に増やすべきだ。

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2019年05月21日

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