【感想・ネタバレ】乃木希典と日露戦争の真実 司馬遼太郎の誤りを正すのレビュー

あらすじ

『坂の上の雲』は間違いばかり、「乃木愚将論」は真っ赤な嘘! 実は乃木大将が「戦上手」だったからこそ、日本は救われた――。司馬遼太郎が『坂の上の雲』や『殉死』で描き出した乃木希典像は、「愚将」「戦下手」などというものであった。だが、実際の乃木は、まったく違っていた。本書は、陸軍士官学校(52期)、陸軍中野学校に学び、戦後は陸上自衛隊で陸将補まで務めた著者が、精緻な戦史分析に基づき、西南戦争から二〇三高地、奉天会戦まで、乃木希典の生き方と戦いの実相を描き切った真実究明の書である。以前、私家版のようなかたちで『名将 乃木希典』と題されて発刊され、ほぼ乃木神社の社頭のみで販売されていた本だが、その透徹した内容が話題を呼び、高い評価を受けてきた。その伝説の書が、いよいよ新書での復刊である。「そもそも本書執筆の動機は、司馬氏の日露戦争に関する記述があまりにも偏見独断に満ちているにもかかわらず、それがあたかも歴史の真実かのように広く信ぜられていることに、義憤の念止み難きものがあったからである。あまりにも多すぎる簡単な史実の誤りに対し、いったい彼は資料を本当に読んでいるのかと疑問をもつようになってきた」(……「あとがきにかえて」より抜粋)

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Posted by ブクログ

乃木神社で結婚式をするに当たり、読みなさいと勧められた本。「坂の上の雲」の乃木大将しか知らなかった私にとって小説を実話と思い込むことの怖さを感じた。使命に生き、厳しい現実と向き合い一人孤独に戦い続けた乃木大将。尊敬してやまない気持ち、乃木神社を選んだ私の人生に置いての指針となる一方で、「坂の上の雲」の反論は「坂の上の雲」より読みやすくなければ多くの人の誤解を解けないとの思いも募る。ことあるごとに人に薦めたい一冊となった。

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2019年02月04日

Posted by ブクログ

本書は、「通説のようなことに異議を申し立てる」という面白さと、力強い筆致でなかなかに魅力的なのだが、同時に色々な意味で考えさせられた。

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2016年07月10日

Posted by ブクログ

乃木神社において奉祝記念事業により授与された書籍です。近代史を勉強しなかった私にとって参考になりました。この書籍で批判されていた「坂の上の雲」も一度読んでみたいと思います。乃木将軍は誰が何と言おうと日本の軍神です。

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2017年07月08日

Posted by ブクログ

国民作家の司馬遼太郎「坂の上の雲」で、知ったつもりになっていた乃木希典が、愚将ではなく、名将であったと論ずる。

司馬遼太郎の作品を、違った観点で、論理的は勿論、作者の軍歴からの視点は、反論の余地を与えない。
乃木希典愚将論に対して、執拗なぐらいに反論した作品。

アンチ司馬である福井雄三の作品よりも、学者ではない職業軍人の著作は、説得力が揺るぎないものを感じた。
間違いなく、司馬史観に一石を投じる名作。

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2016年08月07日

Posted by ブクログ

乃木希典大将の主に日露戦争での活躍を局地戦の詳細な検証とともに描かれている。事あるごとに司馬遼太郎の「坂の上の雲」の認識の違いを列挙して間違いを正している。元軍人で戦争の経験もある筆者だからこそ指摘できることもあって、説得力も十分。これは司馬氏が嫌いでやってることではなくて、乃木希典=愚将と評価されていることを正したいという思いからきているに違いない。歴史は権力等により都合のいいように塗り替えられる。この本はその一つを正してくれた良書だと思う。

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2016年09月03日

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