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Posted by ブクログ
これまで,小池真理子の理想が見えていなかった。
三つ以上の方向があるような気はしていた。
真琴の自己陶酔は,一つだと感じた。自分を美しいと思う。
千鶴の浩二への想いも,一つかもしれない。
「浩二はしばらくの間,じっと千鶴を見つめていた。雨まじりの風が強く吹き,闇の中でベランダに下げた丸い物干しがくるくる回っている。わかった,と彼は真顔で行った。「でも,車は貸さないよ」「何故?」「僕も一緒に行くからさ」また涙があふれそうになった。」
もう一つはみつからない。乃里子の真琴への思いだろうか。美しいものが好き。
推理小説としても,いくつも途中での予想を裏切られたという点ですごいと思った。
今,小池真理子で何を読んだらいいかと聞かれたら,「ナルキッソスの鏡」と答えると思う。標題にある鏡が,鏡子の由来であるという分かり易さもある。