あらすじ
権力者を風刺する毒のある物まねで、多くの知識人を魅了する芸人・松元ヒロと辛口ジャーナリスト・佐高信が、積極的平和主義のかけ声のもと、戦前へと回帰しようとする安倍政権の矛盾や理不尽を、笑いによって斬る!
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Posted by ブクログ
(2015/11/15)
この対談は「安倍政権」に対する批判から企画されたものなのだろうが、
そんなことは小さい小さい、安倍政権などどうでもいい。
それ以上に、元「ザ・ニュースペーパー」で、テレビに出られない政治風刺芸人松元ヒロが
いかに生きてきたか、そのほうがはるかに大きい。読み応えがある。
私も尊敬する永六輔氏に見いだされたということ。流石永さん。
新書では天着連の話なんて出てきたけど、今知ってる人は少ないだろうな。
尺貫法廃止反対とかね。
私の女将に対する反骨精神?は永さんと大前さんに鍛えられたか知らん。
永さんのラジオに学んだところは大きい。
そして談志師匠。彼もヒロ氏を応援した。友人である慎太郎をヒロさんが茶化しても受け入れる
度量の深さ。
やせ我慢ではないが、自分の信念を守って必死に生きている人を応援するのは美しい。
出来れば私もそうありたい。
あ、そういう意味では、今はやたらブームになっているラグビーを、
ずっと応援してきたのはそれに近いのかな。
ヒロさんの前にはたけしも太田光もかすんでしまう。
そうそう、紫綬褒章にも触れていた。拒否した城山三郎。
おかみにはそうしていかにゃ。後で名が残るのは勲章でなくその人の生きざま。
まあ偽物でも名が残る実態はあるけどね。
できれば本物として生きていきたいね。
Posted by ブクログ
松元ヒロさんの舞台を観たことのある人は
彼の「芸」の背景にあるものが見えてきます
まだヒロさんの「芸」を観たことのない人は
必ずや、観たい!の気持ちを持つことになるでしょう
立川談志さん、マルセ太郎さん
残念ながら故人となってしまわれたお二人のこと
でも、お二人の「こころざし」は
こうして松元ヒロさんの「芸」に受け継がれていることに
拍手をしたくなることでしょう
終わりのほうで、偉大な詩人でありフォークシンガーの笠木徹さんの名前が登場してくることもうれしい限りです
そうそう
永六輔さん、
今の時代をご覧になられて
「永さんが、もし生きていらっしゃったら
なんとおっしゃるのだろう」
と思ってしまう
ここまでを綴った二日あと
新聞の一面に「共謀罪」の大活字、
マルセさんなら
笠木徹さんなら
永六輔さんなら
どうおっしゃったことだろう
と ますます思ってしまった
Posted by ブクログ
ザ・ニュースペーパーの歴代首相のモノマネは絶品。最近はテレビに出ないのかな?と思っていたら、テレビ関係者はライブは見に来るけれど(案の定)「絶対にテレビには出せない」と思っているそうな。残念。さすが報道の自由度急降下中と言われる中でも影響力が大きいと思われるテレビ界隈(以下自粛‥)
本書のタイトルを見て、ムズカシイ政治の本だと思ったり、茶化したり批判するだけの本では?と読まないのは勿体無い。
2015年現在の首相で(エピソードも豊富な)安倍さんを主な題材に、政治家とはどうあるべきか、個人がひとまとめにされてしまう怖さ、ユーモアの大切さなどを、おもしろがりながら考えさせられてしまった。
Posted by ブクログ
気になるセンテンス
21 “おもてなし”ということは“裏ばかり”ってことですよね、って言ってた
いっぺんに「おもてなし」のイメージが悪くなってしまった。しかし、ことほど左様なものなのかもしれないな、ひとの感覚というものは。
23 沖縄県の翁長雄志知事が「上から目線の”粛々と”という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していく」とつよく抗議したわけでしょ
たしかに上から目線のイメージが強いですね、この「粛々」 この言葉を使うひとのイメージはそれだけで悪くなりそうです。
25 安倍さんのボキャブラリーって非常に単純で真似しやすいんです。「まさに」「全力で」「断固として」「しっかりと」「唯一の」・・・それから「切れ目なく」・・・
一見強そうな感じなんだけど、言葉が上滑りしているっていうのかな、現実感が伴わないので、なんだか空虚に響くだけ。
言葉に重みがなさすぎる首長、これはよくないな、しかもさらにできもしない英語の世界で適当な約束をされても困る、あ、いま困っているのか沖縄。
44 社会や政治批判をして人を笑わせる芸のことを、ドイツでは「カバレット」と言うらしい。「カバレット」の語源はフランス語の「キャバレー」と一緒らしく、もとは歌やダンスやいろんな芸を見せる劇場のことを指していたらしい。ドイツ流にいえば、ヒロさんの芸風は「カバレット」になり「カバレッティスト」なんだ。
言葉の語源をじっくりかみしめてみる、いいことかもしれません。
75 西園寺首相のご招待への御断りの手紙の最後に記載した俳句
「時鳥厠半ばに出かねたり」漱石
このようなかっこいい対応ができる人間の境地にいたいものです。
93 何を笑うのか、誰を笑うのかをいつも私は考えます。
やはり「笑い」の芸は一番気を遣う、難しいものなのじゃないかと思います。
95 雑誌「噂の真相」の発行人(編集長)だった岡留安則というひとは、その雑誌にて市井の人、一般の人を批判の対象にしなかった。ある程度の影響力を持つ人だけを対象にしていた。矛先を弱者に向けない
それだけ周りがまだ強くなかったのか、それとも今の人たちが弱くなってしまったから、さらに弱いひとをターゲットにしないと話題にもならなくなってしまったのか、世の中の違いを感じます。
97 自分たちの自由が侵される可能性があるとき、フランス人は熱くなる、日本人は委縮する。 「ラ・マルセイエーズ」が解放の歌で、「君が代」が委縮の歌のように
国の成り立ち、歴史、競争、戦争の歴史の違いもあるのではないでしょうかね。やはり島国は昔から平和だったのではないか。
143 飯沢匡は著書「武器としての笑い」のなかで、「今日でもサムライたちの儒教的思考を受けついだ政治家たちは笑に対して鈍感である。何を笑うかという勉強より、笑われまいという努力に力点がかかっている
政治家にとってもとても窮屈な国になっているということでしょうかね、してみると先だっての自民党若手の発言も、まぁ場所は考えて、もう少し笑いの場となるようなところでやれということでしょうし、百田さんももう体制側のメインの場所にはでないほうがいいのでないでしょうかね。彼の芸の幅も縮めているのではないですか。
150 まず疑問を持つということが大事、怒るという抗議方法もあるかもしれないけれど、方法はそれだけではなく、笑うということで疑問に向きあうこともできるということを知ってほしいし、その想像力を拡げるとどこまでも自由になれる。
やはり大事にしたい文化だし、とくに若い世代にこれがなくなっているのを感じます。
151 落語ってうまいひとになればなるほど上下を分けなくなる。身体の向き、声色を変えなくてもちゃんと何人もの登場人物になりきって、その情景が見えてくる。それを知って、コントで扮装するときのカツラの使用をやめた。
なるほど、彼もがんばっているな、この間は吉原のイメージはもてたか(あ、友人の落語家の一席にて)
155 楽しく笑ってもらうには、人間として涙を流す場面をたくさん味わっておくほど、いい笑いを生み出せるんじゃないかっていう気持ちがある
感情ってやはり大事なのですね。
170 人々に同じ空気を強制して、国旗や国歌に対する態度を型にはめようとするよりも前に、みんなが誇りにできる国、世界から尊敬され、愛され、信頼される国にしていくことのほうがまず先にあるべきではないか」 中川村村長のお話
ほんにこういうリーダーを選びたい。