あらすじ
詩作りにおいて、思考において、人生において、「もしも」が果たす役割はどれだけ大きいことか。「もしも」をバネにして、イマジネーションは動き出す。日常生活においても、「もしも」が思考停止状態から解き放つカギになる。時代の流れをがらりと変えるのも、先見の明を持った「もしも」だ。そんな「もしも」の数々を、詩人のアーサー・ビナードが選りすぐりの名詩を味わいながら紹介。言葉の魅力を存分に伝える珠玉のエッセイ。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
もしも詩があったら アーサー・ビナード 光文社新書
歴史にモシモは無いと言うが
「if・もしも」の広がりを切り口にして
過去を洗い直し
未来の可能性を開くことで
重たくて鈍くなった人生に
活を入れることができるかもしれない
特に詩を描く創造の世界には
欠くことの出来ない新たな一歩なのだ
p213のウィリアムプレイクの詩「ハエに」と
p224のエリザベスコーツワースの詩「かもめ」が
良いね
Wise Man of Gothamがバカの代名詞だと聞いて
もしもバカに成り切れるならばすごいねともおもう
Posted by ブクログ
暮らしの中で生まれた詩と人生が 交差する
暮らしの中で生まれた詩 に 励まされる
一見、何の役にも立たないようなものが
結局は、一番の心の支えになっていた
ことはありがちである
そんな想いが
読んでいる間に
ずっと漂っていました
Posted by ブクログ
詩人・アーサー・ビナード氏による、
「もしも(if)」という視点から、
古今東西の様々な詩をたのしむアンソロジー・エッセイ。
アメリカ人ですが、90年に来日していて、
日本語の文章が巧みです。
これだけ操れると、日本語を使うのがかなり楽しいでしょう。
その高みがまばゆくうらやましく見える読者もたくさんいると思う。
努力と言語的素養のたまものだなあ、
と尊敬の念とライバル心を持ってしまいました。
さてさて、
「もしも(if)」があってこそ創造物が生まれるといって過言ではない。
著者は、「もしも(if)」を、想像力を呼び覚ます装置、と分析している。
「もしも(if)」を用いることによって、
思考停止状態の泉に石を投げ入れ、波紋を生じさせることができる。
そして詩とは、役に立つものとは言えないけれど、
そういう作用を持っていたりもするよね、
というように、あとがきでは締めくくられていました。
もっとも、そういう一石によって発生する波紋は、
琴線を揺さぶる波紋になります。
楽しい、哀しい、面白い、切ない。
そしてもっと複雑な音色を心中に響かせもする。
ものによっては言語レベルが高すぎて、
その詩を理解できるまでいかない場合もありますが、
そういった悔しかったり残念だったりする経験が、
「わかりたい」という意欲に転化して、
一歩も二歩も、いや、五十歩も百歩も、
言語的山道をのぼっていくようなことになり、
見たことのない景色を知ったりもするでしょう。
本書は、紹介される詩句がまずおもしろいのですが、
なにより著者のエッセイそのものに気持ちよさをとても感じました。
読むことの幸せをつよくつくれる文章って、すごいよねえ、と思います。
アーサー・ビナード氏は、本書を購入した段階で存じ上げませんでしたが、
このあいだ、何かのテレビ番組で、何かについてコメントしているところを見ました。
では読もうか、と本書を手にとって著者名を眺めて、あれ?と思った次第です。
なんていうかですね、
この間、谷川俊太郎氏の詩集を読んだばかりですけど、
こういう本をよむと、生活に、清冽だったり激しかったりする小川が流れるような、
自分の中のどこかの渇きが癒えるような体験になりますね。
そういうのって、とっても好いよなあと感じます。
Posted by ブクログ
「もしも」をキーワードに現代の日本を読む。
何を主張したいのか、本編ではわかりにくい。
それらはあとがきに凝縮されている。
「もしも」が効果的に使われている世界の詩人たちの作品を紹介しながら、世界はどうあるべきか、やんわりと問ういている。
紹介されるのは知らない詩人が多くて、とても興味深かった。それらの詩人たちの作品にもっと触れたい。
Posted by ブクログ
詩人のアーサー・ビナード氏、恐るべし。
「もしも」「if」というアプローチから、詩の魅力を教えてくれているが、氏の日本、日本語に対する探究心と愛情が半端ない。
ボキャブラリーもさることながら、古典や和歌にも造詣が深く、文章も日本人顔負け、詩人だけあってその感性も切れ味鋭い。
時々日本人よりも日本を知っている外国人がいないことはないが、まさに脱帽だ。