あらすじ
言葉の力が世界を変える。――彼らが命をかけて向き合った「問い」に、あなたはどう答えますか?
いつの時代も、言葉が世界を変えていく。確信に満ちた言葉は、人の思考を変え、行動を変え、さらには世界まで変えてしまう力を秘めている。自由と平等、移民問題、死刑制度、テロ、気候変動、歴史問題、戦争と平和……世界と人類の大問題を論じ、良くも悪くも世界を動かした演説を軸に、いま考えるべき問いを突き付ける論争の書。
●大問題の本質に迫る――いまを考えるための100年史。
過去100年間に世界に大きな影響を与えた演説を21紹介。20世紀の幕開けから今日に至る激動の歴史において、人々の考え方はどのように変わり、それは現在の世界にどんな変化をもたらしてきたのか。著者による解説とともに演説を読むことで、「現代」を形作ってきた「考え方」の流れと、その中に潜む問題が見えてきます。
●正しいことは何か?――多面的な視点が真実への道。
本書はただの「演説集」ではありません。それぞれの時代背景や内容について明快に解説し、各演説をどう読むか、そこから何を考えるべきかの手掛かりを示します。賛成・反対、さまざまな主張や信念や世界観、理想的視点と現実的視点の違いからわき起こってくる問いの数々。あなたは何を「正しい」と考えるでしょうか?
●言葉はしばしば人を惑わす――判断するのはあなた自身。
本書に収録されているのは、「名演説」として知られるものだけではありません。激しい非難を浴びた演説、死刑囚が最期に残したスピーチ、敵対するブッシュとビンラディンの両者の演説なども含まれます。言葉は世界を「正しく」動かすとは限りません。彼らの言葉をどう受け止め、そこから何を学ぶかはあなた次第です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
マーティン・ルーサー・キング、マハトマ・ガンジー、チャーチルといった有名な演説だけではなく、ビンラディン、死刑囚などの演説。ブッシュやサッチャーの戦争を正当化する演説。などなど、よくも悪くも、現在の世界を形成してきたインパクトのある演説を21本収録している。
もちろん、演説だけでなく、解説もとても明快である。
たまたま、この本で、ビンラディンの演説を読んだ翌日に米軍がビンラディンを殺害したという報道を接する事になり、とても複雑な感じがした。
とうのは、ビンラディンの演説を読むと、そこには、ある種の正義、納得性があるのだ。
そして、そべての演説、例えば、人種差別的な移民排除の演説であれ、戦争を擁護する演説であれ、どれも説得力があるのだ。
言葉のパワーを再認識した。
言葉は無力なものに思われるかもしれないが、言葉はやはり世界を形成しているのだ。
と思うと、日本におけるリーダーの言説のレベルの低さにどっと疲れを感じてしまう。
が、こうした言葉のレベルの低さというものが、やはり現在の日本を形成しているものだと思う。
謙遜や他人への配慮で、何を言っているのか分からない言説を見直して、もっと自分の考えをストレートに語るということが大切だなー、と思った。
もちろん、強い言葉を使うときの責任、リスクを踏まえながら。。。。
Posted by ブクログ
「こんなもん、たかが詞じゃねぇか」と言ったミュージシャンがいた。そう、
言葉なんて「たかが言葉」なのである。
でも、その言葉は人に行動を促したり、考える機会を与えたり、いい方向
にも悪い方向にも力を授けたりする。
アメリカの公民権運動に尽力したマーティン・ルーサー・キングの「私には
夢があります」の一節を含んだ有名な演説を始め、21の演説を取り上げ
ている。
有名なものばかりではない。18歳の時に犯した罪の為、電気椅子に
送られることになったアメリカの死刑囚の最期の言葉は死刑制度を
再考するテキストでもある。
どれもが読み手の心に何かを残す演説である。勿論、疑問に思う内容の
ものもあるが、特に印象に残った演説がふたつある。
第26代のオーストラリア首相だったケビン・ラッドが、先住民族の子供たち
を家族から引き離す政策に対して詫びた「盗まれた世代への謝罪」。もう
ひとつはロンドン地下鉄・バス爆破テロで息子を失った「この子がアントニー
です」で始まる、母親のスピーチ。
そのスピーチからの一節を。
「罪もなく流された血は、いつも全能の神に報いを求めます。どれだけの血が
流れなければならないのでしょう。私たちはどれだけ涙を流さなければならな
いのでしょう。いったい何人の母親の心が引き裂かれなければならないので
しょう。」
人間は異なった考え方に拒絶反応を示しがちである。しかし、相手を信頼し
受け入れることで違った方向に向かうこともある。その助けになるのが、
言葉なのかもしれない。
たかが言葉、されど言葉。言葉に込められた信念を、思想を、理解する努力を
すれば少しは争いがなくなるのだろうか。
Posted by ブクログ
見事な21の選び方だと思う。多様性にとんでいるし、世界的な大きな問題を偏らずに説明もしている。 人とは?敵とは?力とは?そして平和にむけて、とそれでいて一貫性もある。
Posted by ブクログ
様々な立場に位置する人々の演説が載っていて、立場が違えば勿論考え方も違うし、そのどれもが正しい意見の様に感じた。
何を正しいと思うかは結局は自分で考え、自分で選びとっていくしかない。しかし、自分が持っている意見や考え方が全て正しいと思いこんで、盲目的に自分の意見を相手に押しつけるのではなく、相反する考え方をする人も世界には多く存在する事を理解し、相手の意見を尊重していく事が大事なことだと思った。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて思わず買ってしまったが、中身は正直そんなに面白くなかった。
ひとつだけ心に残ったのは、我が子をテロで失った母の演説。往々にして悲しみや怒りは報復に向かうのだが、悪循環を断ち切ろうと演説しているところが感動だ。昨今の人々のコメントと言えば、自分勝手でレベルの低いものばかりの印象だが、このようなことを言える人が世界にまだいて、本当によかったと思う。
Posted by ブクログ
いつの時代も言葉が世界を変えていく。よくも悪くも世界を動かした21の演説。
ただの演説を集めた本、ではなくそれぞれの時代背景を説明してます。あと戦争や平和、正義、権利等の問題を一方向ではなく多方面で紹介しているのも面白いです。ブッシュの演説とビンラディンの演説が一緒に載せられています。
キング牧師の”I have a dream"のような有名な演説もあれば、テロで息子を亡くした母親の演説もあったり、比較的政治家の演説が多かったですがそれに限らず多彩な言葉が並んでいます。
言葉は世界を正しく動かすとは限らない。そもそも正しいとは何か。そんな事を考えさせられる本でした。
載せられているのは以下21の演説。
■自由か死か:エメリン・パンカースト/政治活動家
■私には夢があります:マーティン・ルーサー・キング/公民権運動活動家
■血の川:イノック・パウエル/政治家
■やり直すチャンス:ナポレオン・ビーズリー/殺人犯
■盗まれた世代への謝罪:ケビン・ラッド/26代オーストラリア首相
■引き裂かれた世界:アレクサンドル・ソルジェニーツィン/ロシアのノーベル賞作家
■歴史の掃き溜め:ロナルド・レーガン/40代米国大統領
■われらの対テロ戦争:ジョージ・W・ブッシュ/43代米国大統領
■安全はあなたがたの手中にある:オサマ・ビンラディン/アルカイダ指導者
■気候は安全保障の問題です:マーガレット・ベケット/元英国外務大臣
■われわれは海岸で戦う:ウィンストン・チャーチル/63代英国首相
■この暗く苦いとき:サルバドールアジェンデ/29代チリ大統領
■フォークランド・ファクター:マーガレット・サッチャー/71代英国首相
■国際共同体のドクトリン:トニーブレア/73代英国首相
■カインのしるし:ティム・コリンズ/元英国陸軍司令官
■怒りにまかせて悪をなすな:モハンダス・ガンディー/インド独立の父
■軍産複合体:ドワイト・D・アイゼンハワー/34代米国大統領
■重い心を抱いて:ロビン・クック/英国下院院内総務
■この子がアントニーです:マリー・ファタイ=ウィリアムズ/テロ被害者の母
■新たな始まり:バラク・オバマ/44代米国大統領
Posted by ブクログ
世界を動かした、言葉。
過去100年にわたって行われた演説の中から21を取り上げている。
演説は4つの分野に分けられている。
1.人類はみな人間
2.敵か味方か
3.力と正義
4.平和への道
世界を動かした、という部分に重点を置いているため、
なるべく世界中から、
善悪は問わず、
選出したようだ。
とはいえ、演説自体が西洋文化で生まれたものである以上、やはり欧米人によるものが多くなっている。
だが、決して欧米人がすばらしい演説をしているわけではなく、
ガンディーや、反乱の最中にあるチリ大統領の演説には大きく心を動かされた。
本書を読んで印象が変わったのは、
ブッシュ大統領とオサマ・ビンラディン氏だ。
どちらも世界の問題者のように思っていたが、演説は上手く、説得力がある。
彼らの言葉と実際の行動に乖離があるのか、私が報道に踊らされているだけなのか。
ペンは剣より強し。