【感想・ネタバレ】下剋上受験 両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

試論、2冊同時感想。

米国の繁栄から取り残された、工場撤退後の産業地域、通称ラストベルト(錆びたベルト地帯)。ここの白人労働者層の不満の鬱積が、トランプ旋風の推進力だったことは大統領選の報道で知られているとおり。

その実情を余すことなく描いているという「ヒルビリーエレジー」を読んでいて、日本にお...続きを読むける参考文献は「下剋上受験」だと思った。こちらは、祖父の代から中卒の著者が、娘だけは違う人生を、と最難関中学受験にパパ塾で挑む記録文学(私としては躊躇いなく文学という言葉を使いたい)。

この2冊のテーマは、ある意味において強くシンクロしている。
テーマとはと言われると難しいが、自称「下層階級」に可能な「努力」とはなにか、といっていいかもしれない。
そして、著者の才能もかぶるのだろうか、エリート社会を垣間見た自称「下層階級」が放つ乾いたユーモアのテイストまで一緒なのだ(テーブルマナーネタ、そして受験や就職の面接での痛恨の失敗などなど)。
念のため、日本での出版年次は下剋上のほうが3年ほど早い。

「いまの状態は、彼自身の行動の結果である。生活を向上させたいのなら、よい選択をするしかない。だが、よい選択をするためには、自分自身に厳しい批判の目を向けざるを得ない環境に身を置く必要がある」(ヒルビリー、p304)

「私は今まで努力することを避けて生きてきた。その生き方を反省している。努力しようとしたことはあるがいつも挫折するのだ。結果に届くまでに諦めてしまうのだ。その生き方の中でなんとなく掴んだことがある。確かではないが、なんとなく思うことがあるのだ。『ブルドーザーのようにがんがん努力することは傍目には立派に見え誰もそれを馬鹿にすることはできないが、なぜか届くことなく終わり、その努力だけを褒められ、結果を褒められるには至らない』という理不尽な結末をなんとなく意識している」(下剋上、p152)

もちろん、この2冊の人たちのように家族が支えてくれる幸運に皆が恵まれているわけではない。チャレンジしたくてもその機会さえない人もいる。
しかし、社会が悪い、と善意の補助することでより事態が悪化する場合もありうることも、この、2冊はまた正確に言い当てている。

難関中の受験を終えた父娘の会話には、何度読み返しても涙腺を決壊させられてしまう。土木工事の経験からだろう、このお父さんは「流路を変える」という言葉を何度も使う。娘の人生だけでも変える、そう、過酸化水素水を酸素と水素に変えるけれど自分自身は何も変わらないあの二酸化炭素マンガンのように、私は娘にとっての触媒になるんだ、と。

ヒルビリーはより深刻で、幼少期の厳しい家庭環境がいかにトラウマとして残るか、という点に光があてられている。著者自身、薬物依存の母親に悩まされ続けてきた。
著者が理想の伴侶を得て少しずつトラウマを乗り越え、今かつての自分のような境遇にある子どもたちに想いを馳せる最終章には胸が熱くなる。

社会の分断を「貧しい善玉 対 悪いエリート」の対立構図で語ることを、一国の政党ですら恥じない今の世の中にあって、まだ突破口は残されていることを人々に伝え、必要な支援を惜しまない、そんな社会について考えさせられる2冊であった。

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Posted by ブクログ 2021年05月01日

中卒のお父さんが、娘を難関中学に受験させるという、なんとも破天荒な話。
それも塾頼みではなく、親塾と称してお父さん本人が教える役となるため、猛勉強をするのだから凄い。

中卒とは思えないほどのウィットに富んだ文章力で、するする読める。
これがこの1年と5ヶ月の成果なのか。

途中何度か涙ぐみながら読...続きを読むみました。
頭も体も限界まで使い果たして、父と娘で一つの目標に向けて努力をし続ける。
これ以上できないと言うところまで頑張り続ける。
そうした姿そのものも感動するんですけど、一緒に走り続けたことで、受験中の娘の心中を慮るお父さんの気持ちや、勉強の面白さ、勉強の重要性を知るお父さんが、失われた過去、戻れない昔を思い涙する気持ちに胸が痛みました。

私自身も、過去に頑張れなかった人間。
今は学ぶことの面白さを知ったけれど、あのときは頭の中がむちゃくちゃで、勉強なんて出来なかった。
すごく、共感しながら読んでいました。
努力や根性なんて古いと言われるのかもしれないけれど、身と心を削ってでしか得られないものがあって、自然と涙腺にくる。

勉強することの本質や、お父さんの独自の戦略も面白く読めた。
物事の本質をついた分析で、ハッとさせられるフレーズも多い。
子供をやる気にさせる親の言葉は、子育てをする人にも響くと思います。

とにかく完走したことが本当にすごい。
お父さんも娘も。 

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Posted by ブクログ 2016年01月22日

このお父さんは本気で、死ぬ気で、必死で、娘の事を考えたんだなと伝わってくる迫力の文章。塾・受験・学校の勉強というものを本当によく考察・洞察しています。

ビジネス書並みの考察もあり、”ミスをしないよう注意する”は対策になっていない、ミスをしない方法を考えるのではなく、”ミスを防ぐ方法を考える”のが本...続きを読む当の知恵であるとか。

がんばりを評価してもらおうというのは間違っていて、結果にこだわる。結果にこだわるからそのプロセスが評価されるのだとか。

う~~ん、うならされた。

その他
・会話のキャッチボールではなく、すぐドッジボールになってしまう奥様との会話
・生活のために労働する、それだけのための労働に生きがいがあるはずない、というご本人の深い後悔

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Posted by ブクログ 2015年10月17日

中学受験のことを調べていて出合った本。
タイトルがどぎついので始めはまったく興味は無かったが、著者のブログを読むにつれ、娘さんへの思いと、これから中学受験を迎える親たちへの励ましが感じられ、読んでみることにした。
内容は娘と共に最難関中学を受験するまでのことが書かれているものだが、娘さんへの愛と、そ...続きを読むれがなす、著者の努力、工夫、成長の物語であり、涙しながら読んだ。

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Posted by ブクログ 2015年08月15日

お父さんの「中卒」に対する危機感・コンプレックス、そして桜蔭に対する情熱・執念。
読んでいて、非常に気迫が伝わってくる。
中学受験を控えた娘がいるため、我が家に置き換えて読んでいた。
全ての勉強が終わった、受験前日の夜の娘の一言、そして受験結果がでた後の娘の一言・・・
読んでいて泣きそうになってしま...続きを読むった。

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Posted by ブクログ 2015年03月27日

取り組む、つまづく、原因を考える、対策を打ってみる。
すごく科学的に、愛をもって目標にアプローチしている。
読み応えのある、すばらしい本。

ただ、一点だけ気になるのは、「中卒」を徹底的にこき下ろしていて、自らもその一員と言いつつ、どう読んでも、文章を書くということについて、その「知的訓練が不足して...続きを読むきた経歴」に似つかわしくない一定以上のスキルがあること。
「職業に貴賎なし」の「貴賎」という言葉など知らなかったといいつつ、受験に取り組み始めたころに娘に「…あれは『童話』の中でも『寓話』というジャンル…」などと教えている。
会話の中で「寓話」などという言葉が出る、というのは「貴賎」を知らない、語彙力が足りない「中卒」の日常ではありえないのではないか。
筆者が「形式的な意味」で、本当に中卒であるかどうかは知らない。しかし、自らも所属するという「階層としての」中卒というところから、文章が大幅にはみ出してしまっているところが、どうしても気になった。
その部分で説得力を欠いている、というところ以外は、文句のつけようのない物語。

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Posted by ブクログ 2015年02月17日

中学受験をまったく知らない人が中学受験について知るにはよい本だと思います。

結局のところ、子育ての要は手間だな、と改めて認識しました。
その手間を親が直接かけるのか、あるいは、両親や兄弟・親戚を頼るのか、さらには、経済力を利用して他者にお願いするのか、といった選択肢はいろいろあると思いますが。...続きを読む

この本の著者の桜井さんの偉いところは、子どもと一緒に勉強をしたところだと思います。
そういう姿勢は、必ず子供に伝わると思いますし、最終的には、子どもの幸せにつながると思うんですよね。

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Posted by ブクログ 2015年01月23日

頭の下がる思いでした。子どものためにここまで出来るってすばらしいと思いまいた。文中に書かれているテキストも書店で見つけてみました。色々吟味して自分に役立てたいです。話題の本だけに、読んでみてよかったです。そして、巻末に紹介されていたブログも拝見しています。参考になります。なにかと参考にしています!!

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Posted by ブクログ 2014年10月13日

自身も「親塾」を完遂した者として、筆者の気持ちがよく理解できました。ただし私の場合は「失敗」したものの中学受験経験者であり、そこには大きな差があることは間違いなく、心から感服しました。
選ばれた教材も、親も同じように問題を解くという点でも共通点は多いと感じましたが、それだけに、実際にはこの文章の裏に...続きを読む更なる壮絶な苦闘・苦悶があったであろうことを想像しました。
この挑戦が厳しかっただけに、終えられて、御嬢さんが通過点として満足できる成果が上げられたことを祝福します。

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Posted by ブクログ 2014年09月09日

父親の娘への気持ちがよく伝わっただけでなく,受験勉強とは何かがわかる本。特に,最後の反省のシーンは非常に納得。知識は整理をして入れていくという習慣がないと失敗をする。

*何度も痛い目にあった。反省した。一応がんばってみたこともあった。でも実感がわかなかった。辿り着く感覚を知らないから努力が無駄に思...続きを読むえて仕方なかった。それでも一度痛い目にあう方がいいのか?辿りつく感覚を知るほうがいいのではないか。 38頁
毎日がんばっていることを,これを評価してもらおうとしてはいけない。俺のような三流の人間は結果を出すことに慣れていないからついがんばりを評価してもらおうとする。この考えが染み付いているのだ。この染みは簡単には抜けない。だからお前は父さんの二の舞になってはいけない。つまり、毎日がんばっていることを評価してもらおうとする人間になってはいけないんだ。プロセスが大事だなんて言葉を信じてはいけない。結果にこだわるから評価されるプロセスになるんだということに気づかなければならなない。・・・今夜もがんばったなんて満足の仕方はダメだ。私は真夜中まで勉強しているという満足ではダメだ。今夜も一近づいた。今夜はこれができるようになり結果に少しだけ歩みよった。そういう満足の仕方をしなければならないんだ。

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Posted by ブクログ 2014年09月01日

僕は私立中学受験についてよく知らなかったが、こんな世界もあるんだ、と知ることができた。単純に、そういう世界に縁がなかった人にとっては、視野が広がる。

国語の解法についての内容もあるにはあるが、算数との格闘についての記述が濃い。
数学を解く、ということをおもしろく感じるとはどういうことか、が分かる気...続きを読むがするようになる。
それは、「数がしゃべっている」とか、「数の表情」という言葉に端的に表れている。

また、「ヒューマンエラー」をふせぐための工夫や、その重要性についても語られている。

算数ができるようになりたい人や、高いレベルの仕事をがんばってやりとげたい人には、大人にもおすすめできる。

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Posted by ブクログ 2014年08月08日

最後は読みながら涙が止まらなかった。娘さん、本当によくがんばったと思う。絶対に賛否両論あるだろうけれど、受験についてだけでなく、今、暮らしを営む中で大事なことが朧げに見えてくる、そんな一冊だった。

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Posted by ブクログ 2017年06月27日

受験というワードはどうしても気になってしまう。
受験生を持つ(持っていた)親ってそんなもの。

お父さんは中卒だったけど、凄く研究熱心だし根気もあるし、頑張ってたら絶対大学には行ってたと思う。
こんなに子供と一緒になって勉強しようという親はなかなかいない。

お子さんも凄い。途中で投げ出さず、お父さ...続きを読むんと一緒に頑張って。小学生でその意気込みは、これからもずっと人生頑張っていけるはず。

レビュー書くのに、作者を見たら、参考書も出してたとは。

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Posted by ブクログ 2017年05月14日

桜井真一氏は本質を見抜く目を持っている。

コツコツ努力しているのに届かない子と楽々受験を突破していく子の違い。超一流の壁は「アウトプットを前提としたインプット」ができているかどうかだという桜井氏の結論は正にその通りだと思う。

また、受験で親が子にしてあげられるのは、理想を掲げて目標を持たせること...続きを読むと勉強の楽しさを教えることに尽きるのだろう。桜井氏は、正にそれをやっていた。

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Posted by ブクログ 2017年03月15日

最近ドラマもやってるけど気になってた原作も読みました。
だんだん子供に勉強教えたりすることも増えたので心得として?読んでよかったかな。
この作者、中卒とかって自虐してるけど色々発想がすごいなー。情熱も。
元々は賢いんだろうな、と感じます。
奥さんの事バカにしてる感じが嫌だけど。。。

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Posted by ブクログ 2016年07月09日

この本はただの中学受験ノウハウ本を超えて、かなりの感動ドキュメンタリー。文章もうまい!
2人のママ友に勧めてみたが、どちらも感動して泣いたと言ってた。泣きはしなくても、ここまでの親子の頑張りには、素直に頭が下がる。ただ、マネはできないわ。。。

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Posted by ブクログ 2016年01月31日

途中から著者は中学受験に精通した塾講師でフィクションでないかと思ってしまった。そんなことが頭を掠めながらも面白かった。
中学受験は受けたことないだけに、受験について未知である著者のリアクションは疾走感を持って読み手も体感できる。しかし著者は頭が良すぎる。算数の計算のコツに気づいてトイレで隠れて涙する...続きを読むシーンが好き。

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Posted by ブクログ 2015年09月18日

中卒の親が娘を私立女子中最高峰の桜蔭学園を受けさせるまでの奮闘記。
ただ勉強させるのではなく自分も問題に取り組み、難解な問題をどう娘に分からせるか、どうしたら娘が解けるようになるか悪戦苦闘する。
私もそうなんだ~と感心しながら問題に取り組んだ。
父親の娘への思いにはホロリとさせられる。

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Posted by ブクログ 2015年04月10日

中卒父親子の中学受験体験記。なかなか出来ないな。しかし大変だ!
2015.4.10

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年03月22日

中卒の父親が娘を一流私立中学に合格させる話。
前半は「何故娘を中学受験させようとしたのか」という経緯と、「中卒の両親による負のスパイラル」の愚痴が混在しており、愚痴の部分はつまらない。
中盤以降は、受験勉強を塾任せにせず、一緒に取り組む親の姿に共感を覚えた。また、塾任せにしていては金ばかりむしりとら...続きを読むれて結果がついてこないという意見には同感できる。
全体を通して、コピー機をリースしたり大量の参考書や問題集を買い込んだりと正直親がここまでするかという部分も見受けられるが、1月以降の最後のラストスパートにつながっていくあたりは読み応えがあった。
塾が発行している雑誌に書いてある、受験生の親としての心構えやハウトゥを学ぶ気よりは、本書のような一つの体験談・ノンフィクションから参考になりそうな部分を実践していけばいいのではないか。

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Posted by ブクログ 2015年01月30日

親子の愛情がたっぷり詰まったお話。感動した、なんて言葉で片付けてはいけない。どうやったら人をやる気にさせるのか、そんな事も考えさせられた。今の学校教育ってなんなのよ〜。

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Posted by ブクログ 2014年12月03日

最近、受験ものが流行っているが、ちょっと一線を画していると思う。両親とも中卒の小学5年生が桜蔭を受験する話。親としてできる限りのことをするところは、お金で塾に行かせる親と違い感動的。

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Posted by ブクログ 2014年10月30日

お父さんの熱心さが想像以上だったというか、ここまでできる親御さんってなかなかいないだろうし、自分自身が親だとしても到底できないと思いました。
文章にも時々ある「中卒」であったがためになめた辛酸の多さが、やはりここまで突き動かす原動力になったんでしょうか…。
娘さんの置かれている状況を冷静に見つめ、塾...続きを読むに安易に丸投げせずに親子での二人三脚を決め込まれたのは本当にすごいです。
そして娘さんの勉強に付き合うことでご自身も「学び直し」され、過酷な時間を過ごす中にも時折新たな発見に心躍らせ興奮されている様子は、とても羨ましくも感じました。

先日読んだ「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」でも感じたことですが、どちらも親御さんが子どもと向き合っている真剣さがすごいです。どこの親も「うちだって真剣だ!」と思うでしょうが、「ここ(=2冊の本に出てくる親御さんほど)までできるか」と問われるとそう簡単にはできない域のような気がします。それくらいの熱量を感じました。

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Posted by ブクログ 2014年10月23日

ただの中学受験本ではない。
親としての姿勢が書かれている。勉強を教えているんじゃなく、生き方を教える。
著者は自身を中卒と蔑視しているが、学歴など関係なく親として本当に尊敬できる人物だと思う。
まだ小さい娘をもつ親として、大きくなったら同じ目標に向かい共に歩める親になっていたい。

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Posted by ブクログ 2016年03月24日

くどい。中卒だ、中卒だ、だから、何なんだ。と思うくらい中卒だから中学受験は・・・・とくる。
しかし、努力する、最後までやってみる。素敵なことだなって思った。中学受験いいことかもしれないなんて思った。

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